【第五部】市民社会をつくり変える仕組についての提案
E市民が市民を支える制度づくり
−寄付税制のあり方の提案−
土井智生(市民立法機構準備会運営委員)
今、ご紹介にありましたように、この3月20日まで会社員をしておりまして、社会貢献ということで寄付の担
当をしていました。そこで、NPOからの要請をいかに断るかが私の仕事だったわけです。そういう立場から
何か話せるだろうということですから、今までの方のように長年研究をしてきてある程度の結論が出てい
るというような話では全くありませんし、これからプロジェクトを始めるということですので、問題提起すらで
きるかわかりませんが、お話をさせていただきます。
まず1の「寄付の出し手と受け手」についてですが、寄付を要望するNPOは無数にあります。今日、経団
連の分類でも11分類があって、環境、医療、スポーツ、文化、この文化芸術の中には、演劇もあれば音楽
もあるということで、無数とは言いませんが、非常に多くの方々が週に何件と我々の所にいらっしゃいま
す。そうしたNPOが行くところには企業の他に、そうしたNPOに助成をしている助成財団もあります。その
他にも寄付の出し手として、個人もあります。ところが、頼みに来る受け手の方は、出し手についてかなり
無知というか、むしろブラックボックスでわからない点があるのだろうと思います。我々も断るだけが能では
ないので、そういう方々に、こういう書類を用意するといいですよとか、こういう手がありますよとか、こうい
う所に行ったらあなたの要望するものはどうだということを10年間説明してきました。ですから、我々の方
は、出し手についてよくわかっていますが、NPOの方ではなかなかまだわかりにくい。そういう背景もあっ
て、山岡さんを事務局長とする日本NPOセンターという両者をつなぐ組織ができたわけです。世の中に
は、企業が色んな面で寄付を出さないのは税制によるのではないかという錯覚があり、この寄付税制が
テーマになったのもメンバーの方が税制に相当問題がありそうだと考えられたからだと思います。しかし、
私は税制が変わったからといって、企業が寄付を出すとは思いません。企業内部事情というか産業界全
体という税制より別の条件に左右されるのではという気がしています。ただ企業の中でも非常に面白いこ
とがありまして、経団連で出した社会貢献白書の96年版がありますが、その中に現在の寄付税制につい
ての問題は何かという記事で、半数の企業の我々のような人間が企業の寄付金枠が足らないと答えてい
ます。現在、企業の免税になる寄付金の枠がありますが、その範囲で企業は寄付をしても寄付をするか
税金で払うかという違いなので、寄付をできるにもかかわらず、半分はやはり税制に問題があるというわ
けです。それでは各企業がどの程度その免税枠を使っているかというと、その免税枠を100%使っている
企業は10%にも満たないわけです。全体として、調査対象の企業は寄付金枠の50%ぐらいしか寄付をし
ていないという状況で、現在の寄付金枠の中でも理論的に言えばまだ企業はもう2倍出せるという状況が
一方であるわけです。ですから企業の担当者も矛盾しているわけで、寄付金枠をもっと広げろと言いなが
ら、自分のところは出していないという実態があるわけです。そういう意味では法人については、あまり税
制に問題がないとかねて思っていました。
但し個人の場合は、皆さん寄付をなさっているかどうかわかりませんが、多少問題があります。法人の場
合は、要するに寄付であれば無条件にある一定の枠までは免税になるのに対し、個人の場合は法人が
行う一般的な寄付をしても概して免税にはなりません。国とか自治体とか特定公益増進法人という免税団
体に対しての寄付だけが、免税になります。これは相当幅が大きく、所得の25%までは免税になります
が、そんなに寄付をしている人はほとんどいないと思います。枠はあっても対象の方が逆に限定されると
いうことで、このあたりは改良の余地があると思います。それからもう一つは、いわゆる国の個人所得税
についてで、本来ならばそれに連動する住民税については自動的に免税になりません。住民税について
はこれも非常に極限された対象しか免税にならないという点は修正してもいいと思います。それから縁起
のいい話ではありませんが、皆さんが財産をつくって死んで、その遺産を寄付しようとすると、すんなりい
かないケースがあります。お金ならまだいいのですが、土地とか建物になると問題があるわけですから、
そういう点で個人については色々修正すべき問題点があると思います。
3番目に「税制か風土か」とあるのは、要するに今の日本での寄付が少ないのは、税制の問題か、それと
も別の要素なのかという点です。税制が変わってそれが寄付を増やす要因になるかどうか、ちょっと私に
はよくわかりません。この辺りは後でお聞かせいただきたいと思いますが、特に日本で寄付をしているの
は圧倒的に法人、企業です。アメリカでは、寄付の過半数が個人、残りは企業と財団による寄付で、日本
の場合は詳細な調査はありませんが、9割は企業だと言われています。すると個人はあまり寄付をしてい
ないようですが、個人の寄付の出し方というのは、統計にのりにくい形で出しているのかなという気もしま
す。例えば、みなさんが市民立法機構に寄付をしていただく、これは絶対どこの統計にも出てきませんし、
免税にもならないから寄付をしたということにはなりません。しかし、だいたい我々は身近なところで比較
的、顔の見える範囲で、あるいは衝動的に24時間テレビで寄付をするとか、神戸で地震があったとか、タ
ンカー事故で鳥が重油にまみれてかわいそうということで、寄付をしたりしています。私も個人寄付のパタ
ーンがよくわからないので、実はその辺について、もう少し調査があればいいと思います。
要するになぜこの問題が出てきたかというと、ここに書いてあるように「市民が市民を支える制度づくり」と
いうのは、市民がある活動をした時、それを色んな形で知恵を出す人もいるけど、ある人はお金を出してく
れと、そのお金を出しやすいようにするには、どうしたらいいのかということだと思います。そこでこの準備
会の運営委員会で出たのは、今我々は税金で大部分を納めています。さきほどから税の問題がありまし
たが、税を支払った後、それが我々の意図どおりに使われていないのではないか、官僚が別の論理で使
っているのではないかということです。とすれば、全部とは言いませんが、ある部分をダイレクトに我々の
社会で大事だと思える所へ金を出せるような仕組みはつくれないかということです。そのためにどうしたら
いいかわかりませんが、これには二つの効用があると思います。一つは変な話ですが、どこかに困ってい
る人がいれば、その人に我々の余裕のある人が直に渡す。すると、その間に官僚とか別の組織が入らな
いので、100のものが100に生きてくるという効果があります。中間に他の色々な組織が入れば、100払っ
たとしても、経費がかかるため、実際に困っている人の手元に届くのは40ぐらいになってしまいます。今は
違いますが、赤い羽根募金で、一頃は経費が膨らみ8割まで赤い羽根の組織を養うのに使ったということ
です。そこまではいかないにしろ、官を通すとそういうことがあり得るわけです。もう一つは、直接寄付が渡
れば、こっちの人は有り難うと言うし、こっちは関係が目に見えているので満足感というか出し甲斐がある
というメリットもあります。もちろんデメリットもあって、恣意的にそういう所へ寄付がいくと、寄付がいくとこ
ろといかないところがあって、なにが公平性かは別として、平等性という点からは問題があると思います。
その辺をどうしたらいいか、いずれにしろ今税金を10納めているとしたら、1が妥当か2が妥当かわかりま
せんが、それはその指定納税という形でできないかということです。国の場合は、さらに漠然としています
が、自治体であればかなりできるのではないでしょうか。これに関して、ある程度、情報を公開した上で、
その市なり各部局なりに対して用途を指定することで何かできるかもしれませんし、あるいはもう少し財団
的なものに寄付すればいいのかも知れません。そういうことが何か考えられないかというくらいが漠とした
話として出ていたのですが、要するに出す方からすれば、この活動の一連のねらいは、本来市民のもの
であるべき色々なものを、妥当な要望に沿うように、最も効果的に使うにはどうしたらいいかということが
一連のねらいです。その中でもお金というのは大きな流れですから、そのお金を税金で納めたら後は知ら
ないというのではない形を何かつくれないかということで、その辺について皆さんのご意見をお聞きしたい
と思います。ただ日本人というのは、どちらかというと税金もそうですが、出しっぱなしの所が多いと思いま
す。神戸のお金がどうなったかを皆さんご存知ですか。1500億集まったと言われていますが、その後どう
なったかわからないわけです。報告書はできているのでしょうか。以前、市役所か県庁の人が、別のある
会合で寄付を募りたいがどうだろうと言われたので、それはいいが、その前に集まった1500億円がどうな
ったかの報告がないと、企業としても出せませんと言うと、あれはもうほとんど残っていないと言われまし
た。残っていないことはいいのですが、何に使って残っていないのかがわからないわけです。私が寡聞で
知らないだけで、すでに何か報告書になっているものをご存知の方がいれば教えてください。以上は余談
でしたが、そういうこともあるので、皆さんも個人的に寄付をされたと思いますが、私はそういう懸念があっ
たので全部相手を決めて、数十万のものをすべてどこにいったかがわかるような形で寄付をしました。そ
の方が礼状も来るし、満足感もあります。まとまらない話でしたが、他の方から補足してもらうとして、これ
でご報告とします。
(司会)ありがとうございました。土井さんのお話をお聞きいただければわかると思いますが、このテーマを
選んだのは何もわが市民立法機構への寄付を増やそうと思ってのことではありませんし、取り上げたから
といって増えるものでもありません。政府は政府で必要ですが、むしろこの社会を政府以外の民間の社会
的な働きで機能するシステムを作れないだろうかということです。やはり活動をするためにはお金が必要
ですから、それを税ではなく、ダイレクトに出せないかどうか。先ほど不公平の話がありましたが、我々が
寄付の出し手という立場で、このグループはいい活動をしているから寄付したい、あのグループは口だけ
で何もしていないから寄付しないという、一種のマーケットで選別するわけです。我々は日本国政府が嫌
いだといって、国外へ逃亡するわけにはいきませんが、NPOにお金を出すのは自由に選択できるわけで
す。そこでNPO、NGOの世界にもマーケットの原則をある程度入れながら、きちんと働いているところには
きちんとお金がいくという仕掛けをつくれないかという提案でした。全てを税で集めて補助金を出すのでは
なく、確かに中間搾取の問題もありますが、もう少し競争ということを考えられないだろうか。これから新し
いシステムをつくっていく時に、民間の組織、それはNPO法で考えているような法人格の問題もあります
が、それと同時にファイナンスの問題と両方考えていきたいということで議論をしているわけです。
(村山)我々はすごく小さなグループで、地域で古着のリサイクルや医療機器のリサイクルをして10年にな
ります。その中でいつも感じるのは、企業はよく献金や寄付をしますが、どうしてステータスが見えそうな市
の部局や新聞社に寄付をして、どうして一般のところに寄付しないのでしょうか。
(土井)3つ理由があると思います。一つは、寄付する時に、ワンマン経営者が決めるのならいいのです
が、われわれのような立場の人間の場合、社内で色々な所に決裁を仰ぎ、了解をとる必要があります。す
ると、そうした所に寄付をするのが一番無難なわけです。市民立法機構に寄付しますというと、なかなか
OKは出ません。もう一つは、企業の種類にもよりますが、自治体などからは商売上の注文をもらっている
というところがあります。自治体で、どこどこの橋をかけたから、建物を建てたから、見返りに寄付をしてく
れという話がありうるわけです。もう一つは担当者の不勉強だと思います。われわれみたいな担当者でも
1、2年ぐらいではどこが何をしているかわかりません。だから我々が心がけたのは、色々な場所に出か
けたり、最初の電話でだめだと思っても、まずお会いしてお話を聞いて丁重にお断りするとか、色々な場を
経て、色々な団体を見ていくわけです。会社としてはあるところにウェイトを置いて、草の根だからやらない
というのではなく、うちは福祉の分野に出したいとか、環境の分野に出したいとかがその企業によって
色々あるわけです。ただ、こういう言い方はいけないんですけど、大企業のように専門部署がない会社の
場合、会社の中でたらい回しにされて「何かうるさそうなおばさんが来たから誰か会え」という話になりま
すし、会ったところで、慣れた人でなければどうしていいかわからないということがあると思います。
(村山)それでは、よく言われるメセナということを、企業はあまり考えていないということですか。
(土井)いや、考えております。例えばメセナとは芸術文化に対する支援ですが、そういう予算は多いよう
でも限られているわけで、私のところでも10件来られててお応えできるのが2件でした。しかし、寄付を要
望する場合でも、企業への持って行き方があると思います。先ほども申しましたように、企業寄付は、自分
の金を出すわけではありませんので、社内のみんなが納得しなければ出せません。そのためには、普段
どういう活動をしているかがわかるようなきちんとした書類を持っていくことも必要です。それから、あちら
の企業が出したなら、うちも出そうかという横並びということもあります。ですから、来る方もある種のノウ
ハウを身に付けなくてはいけないと思います。これが最初に書いた出し手と受け手の話で、企業だってこ
ういう時代ですからある程度のことはしたいと考えています。それは寄付を出すことによる満足感というこ
ともあるし、やらねばならないだろうということもある。ただどこに出すかとなれば、限られた予算でやって
いくから、面倒くさい企業は、行政などに寄付をしてしまうわけです。そうした状況を変えるために経団連を
中心に我々も勉強会をやって、いわゆる草の根まで寄付が行き渡るような仕組みをつくろうと日本NPOセ
ンターをつくってバックアップをしています。逆にそういう時代になっているということです。ただこうした企
業の動きはまだ東京中心だと思います。地方の場合、そこに本社があるようなやりやすい面と、逆に本社
に聞かないとというやりにくい面もあると思います。
(村山)それでは地方分権となると、会社を遠く地方に出した時に、そこに決定権がない会社は出してはい
けないというような市民の強さを出していかなければ、今中央から独立している会社がだんだん少なくなっ
て、大きな会社が中央から出てくるというケースが多いわけです。
(土井)企業としては、逆に地域に密着という点で、私のいた会社も原則地域主義をとって、アメリカに行け
ばアメリカのやり方にしたがって、基本的にある範囲のことは地域でやっておりました。非常に大きくなっ
て、本社に相談しなくてはならないことがあれば、本社は相談を受けるけれども、企業も地方分権をしてい
かないとやっていけません。私のいた会社も全国にありましたから、一度、各支社がどういうことをやって
いるかを調査してみたところ、地域のお祭りに参加するとか、工場見学に来ていただくとか、似たようなこ
とをやっていますし、特に寄付を出す相手は福祉施設になりがちです。
(安斉)寄付は企業の社会貢献の典型です。経団連を含めて色んなところから企業にすごい数の寄付の
要請がきて、そういう要請に応じるケースも依然多いのですが、最近の動きとして、自分の会社として、我
が社はこういう所に寄付をしていこうと、外部の人も交えて社内にそういうことを検討する委員会をつくっ
て、独自性を出していこうという動きがあるのは、一つ新しい形だと思います。それから我々が調べた範
囲では、今地域の話も出ましたが、寄付の分野でかなり多いのは、今土井さんからも紹介のあったような
地域社会の活動のための寄付です。それから企業が独自に使っていく社会貢献事業の場合は、芸術文
化、いわゆるメセナに対する支援が比率としては多くなっています。その辺が、最近の特徴です。
(司会)ありがとうございました。
(糠沢)私が思うに、寄付はよく見てみると集まるものと集まらないものがあって、早く集まった例は湾岸戦
争後に見られた緒方さん〈国連高等難民弁務官〉への寄付などです。あれがなぜそんなに早く集まったか
というと、日本人が非常にアメリカに言われて悔しい思いをしたからです。日本は血を流さないし、お金も
出さないとアメリカに言われて怒ってお金を出したからだと思います。目標額が14億円で、集まったお金が
16億円。第二期も法人部門は、超過達成して今23億円ぐらいになっています。さて、どうして個人の寄付
が集まらないかという土井さんの話の方に結びつけると、この寄付の23億円の99%は法人です。どうして
アメリカと違って、個人から寄付が来ないのかというと、結局日本の金持ちはたいした金持ちではないから
だと思います。結局、社長といってもたいした給料ではありません。松下電器の社長でも年間報酬は1億
円ぐらいに行かないと思いますが、アメリカの場合、20億円とか30億円、高い人は100億円以上の報酬を
もらっているわけです。そのほかに、個人の寄付が少ない要因は、おそらく経団連でも調査していないと
思いますが、これがわかればノーベル賞ものだと思います。それから皇族関係の寄付も早く集まります。
これは、日本人には皇族に恥をかかせるわけにはいかないという気持ちの人がまだいるということの表
われでしょう。
もう一つは、寄付を担いでまわる奇特な方にお金が集まるのは、その人に義理を感じているからです。前
に非常に松下さんにお世話になったとか、東電の平岩さんにお世話になったとか、そういうお世話をお返
しするということが、寄付の集まりのいいものには感じられます。やはり義理と人情がポイントだと思いま
す。そこがアメリカと違うところですが、アメリカでもその人に対する過去の関係が物を云うのはあまり変わ
りません。アメリカでたくさんお金が集まるのは、お金を集めるプロがいるからという理由もある。そのプロ
はものすごく高い給料を、アメリカのユナイテッドウェイでも我々よりも3倍ぐらいの月給をもらっています。
こうしたプロは、集めた寄付のうち4割ぐらいを事務局費としてもらうようです。つまり、100万円ぐらいもら
ったら、40万円はその人たちの給料になるということです。日本の場合、例えばトットちゃん(黒柳徹子さ
ん)などのNGOの事務局費は4%ぐらいだと思います。日本では、寄付を集める人が、寄付してもらったお
金を自分の事務局に流用することを非常に嫌がります。そのことが非常に悪いことだと思っていますし、
10%でも20%でも使ったら悪口を言われると思います。ですから、お祭りの寄付でも非常にきれいに清算
をしている。要するにアメリカはプロがお金を集めているのに対し、日本は主婦の余業みたいなに善意の
アマチュアがお金を集めているわけです。アメリカでは、職業として確立しているわけで、プロにかなうはず
がありません。日本人には考え付かないような色々な手を使ってお金を集める。日本の大学は企業から
あまりお金をもらっていませんが、アメリカの大学は企業からごそっとお金を持って行きます。要するに、
職業意識で一生懸命お金を集めている。
しかし日本でも、あるものについてはお金が集まっているわけですから、日本人も頭を使って企業に接近
し、個人に接近するしかないと思います。私の年齢ではよく私の友達が亡くなりますが、そうすると帰りに
ご返礼としてハンカチをいただきます。そうしたハンカチが20枚も30枚も家にありますが、非常に無駄だと
思います。また、香典返しで、天ぷらセットなどもいくつかあっても全て棚の上に眠ってしまうだけですか
ら、私はそうしたことを止めて、「つもり寄付」というのを提案したいと思います。つまり、本当はお返しすべ
きところ、例えばこれを聾唖学園にあなたの名前で寄付しましたとかいう「つもり寄付」をしたら非常にいい
のではないでしょうか。財界の偉い人が死ぬと、最近少し合理的になったとはいえ、通夜、お葬式、それか
ら社葬と3回やっています。3回やると大変なお金がかかります。お坊さんが25人ぐらい歩き回るのが非
常に高いわけですから、そうしたことを止めて、人の時間も無駄になるということで、ああいうのをやったつ
もりで、皆さんからのご厚意をうけてこれを寄付しましたというふうにすると世の中よくなるのではないかと
思いました。
(司会)糠沢さんのお葬式の時には、あらかじめ予約しておいて市民立法機構に全部寄付をお願いします。
(土井)そうしたことは、ガンセンターがやっています。ガンセンターでは、ガンで亡くなる方が多いので、す
でにシステムができていて礼状もつくられています。このシステムの欠点は「あなたが死んだときは」とな
かなかPRできない点で、おめでたい結婚式をうまく使えないでしょうか。結婚式のお返しも大概つまらない
ものが多いので、こちらはPRできそうな気がします。
(司会)最後はこういう話になりましたが、税金を払うばかりでなく、やはり自分たちの気にいったところを
支える仕組みができないか議論をしたい。しかも企業も大事ですが、個人がそれを支えるように、そのた
めのプロジェクトチームをつくって、もう少しつめた議論をしていきたいと思います。
総会でもお話しましたが、そのための予算が全く検討つかない状況ということで、運営委員会にお任せい
ただきましたけれども、活動としては、こうした研究・提案をしていきたいと思っておりますので、今後ともよ
ろしくお願いいたします。今日は、一日どうもありがとうございました。