書名:
有事法制とは何か |
その史的検証と現段階 | 著者: 纐纈 厚 | ||
価格(税抜): 1,900 | シリーズ: | 発行: 2002年3月 | ISBN: 4-7554-0117-8 |
「不審船」撃沈が象徴する日本の戦争国家化、そして様々な法律を成立させて国民動員体制が進行している。この時代を撃つために、明治近代国家成立以降、整備されていった有事法制の流れを検証する。 目次 はじめに 6 有事法制論議の背景/国家緊急権/戦前戦後を繋ぐ有事法制 第一章 明治国家の有事・非常時対策を追う 13 1 明治国家の「危機管理」「有事」法体系 14 明治緊急権国家の成立/明治憲法下の国家緊急権システム/有事法制としての統帥権 独立制/軍事権優位の統治構造 2 戦時における「軍政」型法体系の確立 24 国民非武装化政策と非常事態政策/天皇の非常大権/戒厳令の制定/戒厳令の内容 第二章 戦前期危機管理の実態を探る 35 1 明治初期の有事関連法 36 軍事機密保護法制の起点/秘密保護法制の変遷史/強化される秘密保護対策/言論・ 出版規制の開始と軍事機密保護法の成立/相次ぐ秘密保護関連法/有事体制の平時準 備/思想戦対策の一環 2 内務省警保局・陸軍の有事対策 53 内務省警保局の通牒/検挙・逮捕権の濫用/陸軍の防諜政策/憲兵の防諜業務/対国 民施策の実態/国防保安法の特徴 第三章 強化される行政の軍事化 71 1 中央行政機構の有事体制化 72 国家総動員の設置準備/行政機構の権限強化/行政機構の有事対応策/資源局の設置 /内閣行政権の機能強化 2 中央・地方行政機構の有事法体制化 83 企画庁から企画院へ/部落会・町内会の有事動員システム/地方自治の形骸化と地域 動員/軍事的統合の代行機関としての部落会・町内会/地方行政組織の軍事的統制/ 特例措置法の形式 第四章 国家総動員法成立前後の有事法制 97 1 産業動員関連法 98 経済産業動員論の登場/徴発令から軍需工業動員法まで/軍需工業動員法の位置/政 府直轄型の産業動員法/有事動員を目的とする諸政策 2 国家総動員法の成立と展開 112 有事体制の基盤形成/多方面にわたる有事法制の整備/国家総動員法の成立/国家総 動員法と天皇大権/労働力統制/生活・医療・教育の統制 第五章 戦後期日本有事法制研究の展開 129 1 戦後有事法制研究の起点 130 戦後有事法制研究の嚆矢/非公式研究の第一段階/非常事態対策案の作成/三矢研究 の衝撃/本格化する有事法制研究/戦後型有事法制の骨格 2 有事法制の具体的展開 150 有事法研究の公式化/海外派兵への道/危機管理論の登場/総合安保論の展開/平時 の有事化狙う危機管理構想/先行する包括的有事法制/新有事法制の狙い/内閣行政 権の肥大化 第六章 周辺事態法から新有事立法へ 167 1 周辺事態法の危険な構造 168 周辺事態法の成立経緯と役割/国家総動員との対比/国民負担法としての側面/新た な動員法としての役割/危機に晒される人権や財産権 2 日米軍事一体化路線と有事体制 180 アメリカ軍への協力・支援問題/アメリカ軍事戦略に組み込まれる日本/強化される 情報交換と政策協議/対等でない情報交換の現実/危険な安全保障概念の拡大解釈/ 「包括的メカニズム」の実態/「調整メカニズム」の中身 第七章 有事法制の現段階とテロ対策関連三法の成立 195 1 有事法制の基本的性格 196 指揮権問題と治安強化対策/市民社会の有事化/最近における有事法制問題/内閣機 能強化策としての地方分権一括法/アメリカの軍事戦略への連動 2 同時多発テロ事件とテロ対策関連三法 205 テロ対策特別措置法の成立/自衛隊法一部「改正」の意味/海上保安庁法「改正」の 狙い おわりに 221 戦前戦後有事法制の同質性と相違性/有事法制は本当に必要か 参考文献 228 資料篇 236 戒厳令/国家総動員法/周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措 置に関する法律/テロ対策特別措置法 あとがき 260 |