書名:
〈不在者〉たちのイスラエル |
占領文化とパレスチナ | 著者: 田浪亜央江 | ||
価格(税抜): 2,400 | シリーズ: | 発行: 2008年6月 | ISBN: 4-7554-0173-2 |
□□□ シオニズム批判を超え、内在的理解に挑む、□□□ □□□ はじめての〈イスラエル文化批評〉□□□ 世界中から「帰還」したユダヤ人が、民主主義を標榜しつつ、 アラブ・パレスチナの歴史と文化を収奪・吸収して発展してきたイスラエル。 止むことのない戦争を支えるキッチュで矛盾に満ちたシオニズム文化の実像を、 追放/不可視化された〈不在者〉の視点から論じる。 ------------------------------------------------------------------------------ 推薦・鵜飼哲(フランス文学・思想。主著『抵抗への招待』) 「冷静なまなざしと熱いハート。繊細な知性と極上のユーモア。 しばしば単純な二分法に抵抗する日常の出会いを通して、 政治が、歴史が、文化が幾重にも塗り込められた イスラエル社会の表と裏を著者は見事に描き出す。 難民化したまま帰還の権利を奪われたパレスチナ人。 二級市民として不可視化されたイスラエルのアラブ人。 本書はこれら〈不在者〉たちに包囲されたユダヤ人国家の〈今〉を問う、 新しいルポルタージュ文学の傑作である。」 ------------------------------------------------------------------------------ 『〈不在者〉たちのイスラエル 占領文化とパレスチナ』 目次 序章◎イスラエルの〈不在者〉と私たち └─イスラエルと〈不在者〉 イスラエルの民主主義・マイノリティ運動 鏡としてのイスラエル 【 第1部 ● ユダヤ社会と国家 】 第1章◎愛国気分が充満するイスラエルの春 〜キッチュな国旗と記念日と └─ペサハ 妄想と現実 ポップでキッチュなイスラエル国旗! 愛国モードに抗する、オルタナティブ 第2章◎歴史の破壊と断絶の場 〜「キブツ」から過去を凝視する └─それはキブツからはじまった 私欲と堕落のキブツ? 誰が「共存」を望むのか? 第3章◎ニュータウンのフォークダンス 〜シオニズム文化の神髄、ここにあり? └─「ユダヤ人スポーツ」 イデオロギーと現実 踊る人々のシオニズム ダンスによるユダヤ化とダンスのユダヤ化 第4章◎揺らぐ「国民皆兵」 〜軍隊と女性たち └─彼女の話を、まずは聞く 兵役に就く人・就かない人 枠組みを突破する「志願者」 【 第2部 ● マイノリティーズ 展望と混迷 】 第5章◎ラマダーンで実感するイスラエルの孤立 └─非ムスリムの見るラマダーン イスラエルのラマダーン 国家によって作り出されるコミュニケーションの分断 第6章◎イスラエルの「イスラーム運動」〜もたらされた変化と見えない未来 └─スタジアムに溢れた興奮と俗っぽさ…… イスラームと、非ムスリムとの距離 「イスラーム運動」とアル=アクサー・インティファーダ 外部の目 歓迎と警戒と 第7章◎断絶? 多様性? アラブの女たちの願望の行方は └─村で最初の「教育を受けた女性」 娘たち 混迷世代? 都市と村 多様性と断絶と 第8章◎移民の流れを見てあらためて思う、「シオニズムって何だ!?」 └─距離を置いた隣人 何で来たんですか? 責任者出せ! 【 第3部 ● 文化/空間の収奪 】 第9章◎キッチンから見えるイスラエル └─キッチン恨み節 環境破壊とシオニズム イスラエルのアラブ人による自発的取り組みに触れて 第10章◎観光地に集約される「イスラエルらしさ」 └─一つの町、二つの世界 ハイファとアッカで起きたこと 進む観光化とアラブの不在化 第11章◎破壊と横領と差別を隠蔽し得る「芸術の魅力」とは └─差別的法律の中のアイン・ハゥド 厳しいけれど豊かな暮らし? 芸術村 抽象的な美と幸福 第12章◎風景に見る人種差別 〜空間を変える「文化」の力 └─取り囲まれる「土地の日」の町 「監視塔」から呼びかける共存? 人種差別を支える「文化」の力 【資料1】イスラエル年表 【資料2】イスラエル「独立宣言」 ※日本語訳 あとがき |