有事法制反対ピースアクション

航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2006年12月23日)

航空自衛隊小牧基地司令 浮須一郎様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

 2006年、最後の申し入れにまいりました。これが最後となればよかったのですが2007年も申し入れを行わなければならなくなりました。政府が閣議決定でみなさま航空自衛隊のイラク派遣期間をイラク特措法の期限いっぱいの2007年7月31日まで延長したからです。残念です。現場、現地に行かない人間は簡単に事を進めます。現場には本当に多くの負担が、かかっているのだろうなと想像しています。

 イラクでの治安はまったく改善されていません。とりわけ、バグダッドのひどい状況がほとんど毎日のように報道されています。11月末に爆弾事件で200人以上の死者が出たばかりですが、12月に入っても相次ぐ爆弾事件で4才の女の子を含む多くの民間人が犠牲となっています。赤新月社の職員、警備員28人が連れ去られるという事件も起きています。53人の射殺体が発見されたとの報道もあります。この混乱の原因と責任はやはり、イラク開戦とその後の米軍による占領統治に求めるほかありません。退任するアナン国連事務総長は在任中に一番残念だったこととして「イラク戦争を止められなかったこと」をあげました。国連事務総長が、そう振り返る「戦争」がイラク戦争です。

 小泉首相の後継者である安倍首相は、この臨時国会で、これからの日本の未来、方向を大きく決定する法律をいくつか成立させました。愛国心を強調した教育基本法の「改正」、防衛庁設置関連4法などです。防衛庁を「省」へと格上げすることを決めた防衛庁設置関連4法は自衛隊員の未来も直接に左右する大きなものでした。これまで、付随的任務であった海外派遣が本来任務に格上げされました。安倍首相は、これから、さらに派兵恒久法を作り、憲法9条の改悪を柱とする改憲まで進めようとしています。自衛隊員の任務はさらに加重され、命を担保にしなければならない任務が増えていきます。戦争に行かないものは簡単に戦争をできるようにしたがるようです。しかし、現地で実際に遂行する側は、さらなる「覚悟」を強要されます。現場で強いられる緊張感を、上で指示するものは本当にわかっているのか、はなはだ疑問に思えます。みなさまの仕事、生活、あえて言えば命に関わることがあまりに性急に国民的議論となることもなく決められることに強い懸念を覚えます。本当に私たち一人ひとりが、冷静になって、少し立ち止まってでも考え、選択していかなければならない重要なことが、あまりに早く進められることに懸念を覚えます。

 イラク特措法に先駆けて成立したテロ特措法は2年の時限立法でしたが、その後2年、1年と延長され、また今年1年延長されました。海上自衛隊のインド洋での補給活動は6年目に入ります。イラク特措法は、4年の時限立法ですから来年の7月31日にその期限が切れます。しかし、またテロ特措法同様延長されていくのでしょうか?溝口司令の残された「どこまでアメリカの戦争につきあうのか」と言う言葉がますます重みを持って思い起こされます。撤退したくても撤退できない「泥沼」に、はまり込むことが心配です。

 この一年、私たちは毎月、申し入れを行ってきました。米軍が、イラクにおいて果たしている役割を考えたとき、米軍への輸送協力はイラクの平和安定に結びつきません。むしろ、イラクの人々の命を、さらに危険にさらすものとなってしまいます。再三の申し入れではありますが、浮須基地司令様。私たちの気持ちを汲んでいただき、イラクからの撤退を上申してくださるようお願いします。

2006年12月23日 
有事法制反対ピースアクション


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