航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2006年9月23日) |
航空自衛隊小牧基地司令 浮須一郎様
航空自衛隊小牧基地の隊員・家族の皆様
航空自衛隊のイラクからの撤退を求めます。
イラクは復興どころか、毎日毎日首都バクダッドをはじめイラク全土で人々が死傷しています。治安状態の改善の兆しさえ見えません。サマーワからの陸自撤退は遅きに失したけれども陸自隊員に戦闘による死傷者がなく、隊員がイラク人の人々に発砲することもなく日本に帰還できたことは幸いでした。C130輸送機と空自隊員が輸送任務に就くであろうバクダッド空港はまさに戦闘地域です。そして米軍の兵員・物資を輸送するC130輸送機は占領を続ける米軍と同じと見なされ攻撃目標となるであろうことは必定です。
ヒズボッラーがイスラエル兵を捕虜にした事件に端を発した8月のイスラエルのヒズボッラーとレバノン攻撃に対して、ヒズボッラーとレバノン攻撃に対して、ヒズボッラーはイスラエル軍と対等に戦闘を交えていました。兵器武器弾薬は圧倒的にイスラエルに分がありましたが、イスラエルには正義と地の利がありませんでした。
1937年7月7日の盧溝橋事件、翌8月9日の上海の日本海軍陸戦隊大山事件、8月13日の日中が交戦した第2次上海事変、8月15日の海軍航空隊の中国南京への渡洋爆撃、同日付の陸軍動員令による第三師団第六聯隊(名古屋)、第六八聯隊(岐阜)らによる8月23日未明からの上海揚子江呉淞への敵前上陸作戦によって日中両軍兵士と中国民衆に多大な死傷者がでました。日中両軍の上海郊外での激戦が続いた1カ月後この愛知にあった「名古屋新聞」9月23日の1面の見出しに「相つぐわが大空襲に南京市猛火に包まれる」とあり、「白相、田中両部隊長の引き揺る海軍航空部隊は2隊に分かれて22日正午及び午後零時半またもや南京を空襲、中央党部、航空委員会その他軍事施設を粉砕」と書かれ、9月25日の1面見出しは「『南京爆撃影響なし』蒋介石、なほ強情」とあり、「日本の侵略に対する中国の抵抗は時間の制限を持たぬ、日本の侵略が継続される限り、日支間の敵対行為はつヾくより外はないであろう、中国は日本の暴力が中国に圧迫を加えることを甘受するものではない、従っていつになったら敵対行為がやむかと言うことは日本及び列強の態度にかヽっている。今日の戦争が長引くとも中国は無限に抵抗し得るものと信ずる、中国の実力と資源とはまったく無際限である」と書かれていた。
2003年3月20日からの米英軍のイラク攻撃は「イラクには大量破壊兵器がある、フセイン大統領とアルカイダと葉関係がある」との理由でしたが、両政府とも今やこれがまったく根拠のなかったことを認めています。米英軍のイラク攻撃は侵略戦争であり、つづくイラク占領も一片の正当性もありません。3000年の歴史をもつイラクの民衆がこの米英の占領に抵抗しないはずがありません。ドイツ軍占領下でのフランスのレジスタンスと同様に米英占領下でのイラク民衆の抵抗運動です。
空自隊員にあっても、その任務が米軍の占領継続任務と一体となった空輸活動である以上、イラク民衆の攻撃対象とならざるを得ません。空自隊員をこのような立場に追いやったのは小泉首相です。国民が戦闘行為に巻き込まないために日本の憲法は作られ、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意し」とその前文にあります。
為政者が戦争に民衆を動員するときには、あらゆる手段を用いてその道筋をつけます。戦場におかれた兵士は自分の命を守るために通常では決してしないようなことまでもします。これは私が、出征した元日本軍兵士や、南京や各地の中国人生存者から聞き取り、資料から学んだことです。だからこそ自衛隊員を海外にとりわけ戦闘行為の虞のある海外に派兵してはならないのです。出動命令が下った以上誰かが行かなければならないなら、おれ外交と隊員はイラク行きを決意されたことと思われます。C130郵送機にはミサイルの被弾を回避する装置もあるでしょうが、隊員の精神的負担はどのような者か想像ができません。覚悟のできた隊員であっても、その両親や家族の新郎はいかばかりでしょうか、想像をこえます。
イラクを侵略し占領を続け、いまだに「テロとの闘い」などと嘯いているブッシュ政権に明日はありません。アメリカ国民の半数以上がイラク戦争を正しい者とは見ておりません。兵士の帰還を求めています。イラク占領に従軍することは戦争犯罪に荷担することであるとエーレン ワタダ陸軍中尉はイラク派兵を拒否しました。兵士の帰還を求め、出征を拒否する兵士にアメリカの良心と未来をみることができます。強大な軍事力を持つアメリカがイラクで何をしたのか、それは民衆の日々の暮らしの破壊でしかありません。
航空自衛隊員が戦争の惨禍をイラクの民衆に加えることのないように、そして空自隊員に死傷者がでることのないように願っています。
イラクでのC130輸送機の輸送実態とその危険性をつぶさに知っている自衛隊員と知る立場にある基地司令こそ、隊員の命を守り、加えてアメリカのイラク占領を終わらせるような方策を次期首相に意見具申してください。
〈ノーモア南京〉名古屋の会