有事法制反対ピースアクション

イラクと周辺諸国から航空自衛隊の完全撤退を求める申し入れ書(2006年7月22日)

航空自衛隊小牧基地  上田基地司令様、および隊員の皆様

 政府がサマワからの撤退を発表して2月あまり。7月20日にはクウェートから陸上自衛隊の第一陣が帰国しました。その間の撤退の様子は写真入で何度も大きく報道されています。その一方で航空自衛隊の報道はどうでしょうか。陸自の華々しさに比べて報道されるのは派遣と帰還の報告だけです。
 この国の政府は、陸自は撤退させるが空自は残し、加えて空自の任務の拡大を決定しました。けれどこの事実は陸上自衛隊撤退の報道の陰に隠れて、なかなか表立ってはきません。むしろ全面撤退と思い込む人のほうが多いのではと考えてしまいます。確かに「人道復興支援」が終わったなら、すみやかに全面撤退するのが筋ではないでしょうか。
 今のバクダッドは何度も何度も砲撃を受けています。報道によればバクダッドは地元民さえ近づかないような場所になっているといいます。空自広報担当者は「現時点で考え得る最高レベルの技術で対策を取った」と発表したそうですが、そもそもそんな装備をしなくては行けないような場所のどこが“非戦闘地域”なのでしょうか。このような場所へわざわざ出かけるのは自殺行為としかいえません。
「命令されたら任務を遂行するだけ」というのは、公務員のサガかも知れません。しかし、いまこそ現場の声を上に届けるときではないでしょうか。陸自が撤退している今このときに、現場を知っている人間が、率直な声を上げることが本当に必要です。イラクに派遣される回数が増すごとに、疲労感も危機感も募っていることと思います。隊員たちも、自分が拒否すれば誰かが行くことになるから任務についているのが実情ではないでしょうか。「これ以上は隊員たちの安全と、命の保障はできない」と基地司令からも意見具申してください。
 額賀長官は「何かが起こったときに新しい法律を作るのではなく、そのときの状況判断で自衛隊の活用ができる環境を作っていくことがこれからの課題だ」と、恒久法の制定を示唆しています。いまの空自の任務拡張は、恒久法のための布石にしか見えません。このまま行けば、国連と言う名の米軍の手足になってしまいます。
 運んだ物資や人員が戦闘に用いられればその輸送は兵站であり、立派に戦闘行為です。陸上自衛隊が引き上げた今、物資や人員を運ぶということは、主に米軍関係の輸送を引き受けることです。米軍に対するイラク市民の感情は決してよくはありません。その米軍に力を貸すことは、空自にたいして同じ感情を持たれても不思議ではありません。「輸送だけを担っているのだから、攻撃の対象になるのは問題外!」とはまさか思って見えないから、被弾対策に様々な装備を施しているのだと思います。
 でも考えてください。政府は自衛隊をイラクに派遣するとき「復興支援である」「戦闘地域には派遣しない」と明言しました。任務が終ったなら速やかに帰国するのが筋というものです。ましてや危険が解っている中に飛び込むなどもってのほかです。陸自が撤退している今、任務に就いた隊員こそが、現場からの声をあげてください。空自も撤退するよう訴えてください。政府の狙いは、自衛隊の海外派遣を恒久的なものにすることのようですが、そのことのために隊員が手を貸したり、犠牲になったりすることを望みません。

2006年7月22日 有事法制反対!ピースアクション
                      名古屋市昭和区白金1−13−10


有事法制反対ピースアクション