イラクからの撤退を求める申し入れ書 |
上田基地司令様及び隊員の皆様
サマワの陸自に撤退命令が出たことにより、当事者の隊員やご家族は撤退活動時の危険があるにしても、まずは出口が見えたことにより安心なさったと思います。陸自の「人道復興支援」が終了する以上、輸送協力にあたった空自のC130も同時にクウェートから撤退するのがイラク特措法から見てもスジだと私たちは考えます。陸自が撤退した後の空自の任務があるとすれば。多国籍軍という名のアメリカ軍への協力以外にないからです。このような重大な変化を伴う命令を国会が終了してから出すことで国民的合意の形成を無視し、問答無用なやり方を選択する小泉政権をゆるすわけには行きません。6月29日の日米首脳会談でブッシュ大統領にクウェートの空自部隊を手土産として差し出すつもりかと言われても仕方ありません。後始末は、9月以降にできる新政権に丸投げするつもりです。新政権への変わり目の時期に「何をアメリカで約束しようが我々は認めない。」と言う声を大きくし、全国からその声を政府に突き出せば、撤退に向けた出口を作り出すことは可能だと信じて本日も正門前におじゃましました。
「命令があれば、それを実行するのみ」と言うお立場だと思いますが、上田基地指令や隊員の皆様が一市民であり、一県民であり、一生活者であることも事実です。そこから発信される声を私達は、切望します。基地の外へ発信してください。それがやがて撤退に向けた出口を作り出す力の一つになると信じます。このままでは出口が見えないままズルズルと破局へ向かってしまいます。憲法9条を持ち出すまでもなく、イラク特措法から見ても生命の危険な地域へ行くことなど禁じられていますし、「命にかかわる業務命令は憲法違反であり何人も拒否したことにより罰せられることはない。」と言う1968年の最高裁判決は、最終判決として今も生きています。
米軍との調整が付き次第、早ければ来月上旬にも輸送業務の拡大が命令されようとする今、候補地の一つになっているアル・アサド基地について述べざるを得ません。既に、3月に空自の調査隊7人が基地に入り、調査を終え、準備はできていると報道されています。バグダッドからファルージャ、ラマディを越える二百キロキロ地点にあり、悪名高い海兵隊とその航空部隊員一万人以上が居住し、アンバートル州全体を制圧することを任務とし、今もそこからイラク人への攻撃を続けている一辺7キロもある巨大基地であり、くり返し攻撃を受けています。6月22日の衆院イラク特別委員会で外務省の吉川中東アフリカ局長が述べたように、今、バグダッドやラマディに対し7万人規模の包囲掃討作戦が着手されようとしています。しかもバグダッドと、このアサド基地があるアンバール州での多国籍軍の戦死者は、アメリカ軍の6月21日現在の発表によれば1521人です。イラクの中でも最大の激戦地域です。そこにC130を送り込む準備を日本政府は開始しました。もうごまかしようもなく空自部隊は、イラク占領を続けるアメリカ軍の一翼を担うことになります。小泉首相はそれを確約しにワシントンに行きます。私達はワシントン行きに断固として反対します。しかも日本政府は早くも12月14日で期限が切れるイラク特措法の延長の検討にはいると報道されています。出口なしの状態を日本政府は空自隊員の皆様にさらに押しつけ続けるつもりです。陸自撤退以後ここ小牧基地が日本国内の唯一最大の支援基地になってしまいます。愛知県民の滑走路がそのために使われ続けます。この状態を何とかストップさせたい一念で本日の申し入れにやってまいりました。どうか隊員の皆様、疑問の声を上げてください。上田司令には、部下の安全を守ることが最大の責務であるというお立場から上部機関に対し意見具申をしていただきたいと強くお願いいたします。
よろしくお願いします。
2006年6月24日 有事法制反対ピースアクション