陸上自衛隊第10師団長 廣瀬清一様
2月5日、12日、20日。3陣にわたり、この10師団からイラクへ向けて、500名の自衛隊員のみなさんが出発しました。私たちはこの正門前で、2週間にわたってすわりこみを続けてきました。そして出発の日も、やはりこの正門前で、「イラクへ行かないでください」という訴えをしました。どれだけの隊員とご家族の皆さんに、私たちの言葉が届いたのでしょうか。隊員の皆さんが出発してしまった今となっては、むなしい気持ちもつのります。
自衛隊の皆さんは当事者ですし、専門家ですので、私たちよりも現地の状況はよくご存知だと思います。たとえイギリス軍やオーストラリア軍がいたとしても、サマワの自衛隊宿営地が危険であることは十分知っておられるだろうし、「人道支援」が派兵の口実だろうということも、私たち以上に感じておられるかも知れません。それにもかかわらず、イラク行きを「希望」された隊員のみなさんは、おそらく、「いかなる状況下でも仕事をりっぱにこなす」を心の支えとして、行動されているのだろうと想像します。中日新聞に連載されている「サマワ便り」でもそのことがうかがわれます。
2月20日、安全保障協議委員会(いわゆる2プラス2)で、日米両政府は、「テロの防止・根絶や大量破壊兵器の不拡散」を共通戦略目標として合意し、日米同盟を世界規模で強化すると表明しました。いったいこの政府は、自衛隊と日本をどこに連れて行こうとしているのでしょうか!アメリカ軍との一体化が目的なのです。イラク派兵はそのための一歩なのです。私たちはそう受けとめます。アメリカは国際法を無視し、なんの大義もないままイラクを攻撃し、10万人ともいわれる犠牲者を出しました。イラク国民議会選挙の前には、米の支配をうけようとしないというだけで、ファルージャを攻撃し、7000人もの市民を残虐なやりかたで殺害しました。私たちはこうしたことを決して許せませんし、忘れません。自衛隊の派兵はこの米軍に手を貸すことだと誰もが思っています。
また航空自衛隊は完全武装の米兵を輸送しています。自衛隊のみなさんは過酷な状況のなかにあります。そんななかでも、やりがいを見いだそうとされているみなさんにとっては、とても受け入れにくいことかも知れませんが、あえて訴えます。みなさんの文字通り生命を賭した「りっぱな仕事」の向こうにはいったい何があるのでしょうか? それは米軍との一体化であり、平和憲法の形骸化、改悪の道です。みなさん、「そんなことは自分たちの考えることではない」と思わないでください。残念ながら、みなさんの仕事への熱意がこの道を踏み固めているのです。それは自衛隊員のみなさんが望んでのこととはとうてい思えません。私たちはやりきれない想いを持って、「死んではならない」と何度でもくりかえします。
以上、私たちのイラクへ行かれた自衛隊員のみなさんへの想いを述べました。
廣瀬清一師団長様
私たちは「取り返しのつかない事態となる前に、イラクから撤退してください」と再三お願いをしました。まだまにあいます。自衛隊はイラクで米軍の手伝いをしてはいけません。また、そんなことのために部下の隊員を死なせてはなりません。イラクへ行かれた隊員のみなさんの胸のうちを想ってください。ただちにイラクから撤退するよう上申してください。心よりお願いします。
廣瀬清一師団長より小泉首相、大野防衛庁長官に意見具申してください。
イラクから自衛隊を撤退させてください。
2005年2月26日有事法制反対ピースアクション