2月20日、守山第10師団から第3次の派兵が行われました。バス3台でこれまでで一番人数が少なかったようです。家族のバスも4台で守山・春日井だけでした。
イラク派兵の中止と撤退を求める申し入れ書
陸上自衛隊第10師団 廣瀬師団長 様
イラク派遣準備でご多忙の中、たびたびの申し入れを受け取ってくださって感謝しております。私たちは、今戦地イラク派遣の真っ最中であることを、一日たりとも忘れるわけにはいきません。先月、2週間にわたる正門前での座り込みの中、私たちのあいさつに答えてくださった若い隊員の顔を忘れるわけにはいきません。2月5日と12日、バスに乗って名古屋空港に向かった隊員や家族の顔を忘れるわけにはいきません。
昨日2月19日付の中日新聞紙上で、編集局長の小出さんは次のように述べています。「国際空港は大人気だ。来年は万博がある。中部は、春よ春だが、同じ時期に同じ地域の若者たちが戦乱の地で危険な任務に当たっていることを片時も忘れたくない」と。
イラクが泥沼から底なしの泥沼に変わりつつあることを認識する私たちは、黙ってみているだけではすみません。復興支援の目玉であった給水活動も2月4日で終了しています。何度でも繰り返しますが、何一つ大義もなく、自衛隊法にもイラク特措法にも違反する命令に絶対に従うべきではありません。派遣された隊員一人一人の生命を第一に考え、行動していただくことを強くお願いする以外にはありません。イラクの底なし沼は、志願された隊員に対して「犬死」を強制します。沖縄から出撃した海兵隊員ですら、すでに50人以上の戦死者を出しています。他人事ではないのです。もはや猶予はないと思っている私たちは止むに止まれぬ想いからの申し入れであることをどうかご理解ください。
2月3日の記者会見において、陸上自衛隊の森勉陸幕長は、スーダンPKOの派遣問題で、「武器使用が認められないと、スーダンでの本体任務の遂行は難しい」と発言しました。泥沼のイラク情勢と比べたら、スーダン内戦はとりあえず停戦が成立しています。そのスーダンにすら任務遂行が難しいのであれば、軍事的判断として「これ以上イラクでの任務遂行は難しい。従ってただちに撤退すべきである」と宣言するほうが断然整合性があります。周囲全て敵だらけと見てしまう部下を、交戦権を持たないままイラクへ駐留させることは、日々死を強制することに等しく、犯罪的であると言わざるを得ません。
今年に入ってからバグダットを中心としたイラク中部から南部へ向けて大量の武器・弾薬が武装勢力によって送られていると言われています。サマワでもいくつかの民家から大量に発見されています。2月14日、サマワ警察当局は自衛隊宿営地への攻撃を計画していたというシリア人やイラク人を拘束しています。取り返しのつかない事態になる前に、日本政府は、せめて撤退に向けたシグナルだけでもイラクの人々に出すべきですが、目をつむったままです。時間的な余裕がない以上、責任者として、せめて部分撤退に向けた何らかの発言をすべきです。アメリカが勝手に作ってしまったこの泥沼からいつ引き上げることができるのだという、部下の疑問に答えていく時期です。これまで何度も申し上げました。犠牲者が出てからでは遅いのです。今こそ師団長の勇気ある発言を必要としています。
今日出発される隊員の皆様が戻って来られるのは5月の下旬です。気の遠くなるような時間に思えてきます。たとえ職務であろうと、数時間後には戦場へ立たされる皆様の胸中、ご家族の心中を思いますと、身を挺してでも止めたい気持ちがあります。イラク派遣は絶対に認めることはできません。が、どうか5月下旬まで一発も撃つことなく、撃たれることなく、全員が無事もどってくることを心から望みます。
私たちは、一日も早く日本政府が撤退を決断することを要求し続けます。大勢の人たちへの呼びかけも続けます。皆さまが戦場にあることを決して忘れないために、取り返しのつかない事態となる前に、廣瀬師団長の勇気ある決断を心より期待し、今後も繰り返し申し入れをさせていただきます。
2005年2月20日
有事法制反対ピースアクション