2005年2月5日
陸上自衛隊守山駐屯地基地司令 殿
私たちは、本日2月5日から予定されている自衛隊中部方面隊の第5次派兵に抗議し、防衛庁前で抗議行動を行っています。小泉首相と大野防衛庁長官に宛てた抗議文と同趣旨のものを名古屋で派兵反対の運動にとりくむ仲間に託します。守山駐屯地基地司令は、イラクへの派兵をやめるべきです。
そもそも、イラクを復興支援が必要な状態にしたのは、世界の反対の声を無視し国際法や国連憲章を踏みにじって2003年3月にイラク攻撃を開始した米英政府です。また、この攻撃をいち早く支持した小泉首相にも責任があります。この侵略戦争により、10万人以上のイラクの人々が殺され、これに倍する人たちが傷つけられ、住居を奪われ、生活を破壊され、劣化ウラン弾の放射能汚染をも心配させられる状態になりました。さらに、イラクに大量破壊兵器が無かったことも明らかになり、このイラク攻撃がブッシュ・ブレアのでっち上げ戦争であることも確認されています。そして、戦闘状態は今も続き、米軍はファルージャでの大虐殺に見られるように多くの民間人を殺傷し、収容所でのイラク人への拷問、虐待の事実も露呈しています。
それにもかかわらず、このような米英の侵略戦争に加担して、小泉内閣は自衛隊を派兵しました。憲法第九条の平和条項に違反し、自衛隊の専守防衛原則に違反し、非戦闘地域にと限定したイラク特措法にも違反しています。
昨年1月に北部方面隊から自衛隊が派遣されてから、早くも1年を経過しました。陸上自衛隊約500人はサマワで給水、インフラ整備、医療支援を行い、航空自衛隊約200人がクェートからイラク南部に人道支援物資、自衛隊用物資、多国籍軍用物資などをC-130H輸送機で空輸していると報道されています。航空自衛隊による軍事物資や兵員の輸送は、人道復興支援とはほど遠い軍事的な活動であり、陸上自衛隊も状況に応じて「安全確保支援」と称して兵站支援もおこなう任務を帯びています。これらの戦争を手助けする後方支援(兵站支援)は戦争の相手側から見れば武力行使と一体なのは、戦時国際法での常識です。兵站支援は事実上の参戦を意味しています。だからこそ、自衛隊が派兵された後、日本人がイラク武装勢力の標的になり、外交官二人、ジャーナリスト二人、旅行者一人が殺され、また、自衛隊駐屯地に何度も迫撃砲が打ち込まれているのです。
去る1月30日にイラクで暫定政権のための議会選挙が実施されました。しかし、事実上の米軍による占領下での選挙であり、スンニ派の不参加呼びかけにもかかわらず強行され、選挙に反対する勢力による攻撃で多くの死傷者を出し、宗派と民族の対立が増しており、イラクの今後の推移は予断を許しません。
現に、昨年秋から、米英軍を支援していた30ヶ国のうちスペインやタイなどの7ヶ国がすでに撤兵し、さらに、オランダ、ハンガリー、ウクライナ、チェコ、ポルトガルも撤兵の予定を表明しています。サマワを警備していたオランダ軍も3月に撤退を予定し、その後は侵略戦争を開始した英軍に引き継がれるそうですが、自衛隊員の危険が増すことは間違いありません。多くの国が撤退をしている今、選挙が終了した今、日本にいる多数の人が自衛隊派遣に反対している今、自衛隊を撤退するチャンスではありませんか。
こんな時期に、陸上自衛隊第10師団(司令部・名古屋)を中心とした中部、近畿、中国、四国地方の約20駐屯地からの第5次イラク派兵が2月5日から行われようとしています。500名もの部隊のうちで当初でさえわずか50人であった給水活動の要員がさらに警備に回され30人に減ずるとも報道されています。ナンセンスとしかいいようがありません。自衛隊員が殺されたり人を殺すことになることを私たちは憂えています。
全国各地の派兵中止を求める多くの仲間の声をよく聞いてください。対米貢献、海外での軍事プレゼンス拡大、国威発揚、石油確保、経済利権を目的とし、侵略戦争に加担して自衛隊第5次派兵することに私たちは強く抗議します。
イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会(反安保実IX)