有事法制反対ピースアクション

2003年11月15日申し入れ書

小牧基地司令はじめ1700名自衛隊員のみなさまへ
                     申し入れ書    2003年11月15日

航空自衛隊小牧基地
 溝口博伸 基地司令様
 自衛隊員の皆様


 私たちは「軍事力で平和はつくれない!」という信念のもとに集い、地元愛知を中心として活動している『有事法制反対ピースアクション』という市民グループです。皆さまとは立場を異にしますが、日頃の任務に対する基地司令をはじめ皆さまの誠実な態度に敬意を表します。
 本日は、差し迫った事態に直面し、やむにやまれぬ思いで皆さまに申し入れを致したく、お邪魔しました。どうか耳を傾けて下さるよう強くお願い申し上げます。

 近々、小泉首相の命令で皆さまの部隊が、戦地イラクへ派遣されます。5月1日のブッシュ大統領による戦闘終結宣言以降6ヶ月間、戦闘はおさまるどころかC130やヘリコプターがミサイルで狙われ、とうとう11月2日にはCH47チヌークが撃ち落とされ、米兵16人が戦死するという、制空権もない事態となっています。米軍司令官のショックも大きいのでしょうが、最も深い悲しみと衝撃を受けたのは、「休暇が取れたからこれから帰るよ」と連絡を受けたばかりのアメリカ本国の家族や恋人たちであったと思います。ブッシュの戦争の大義を信じる人々がアメリカでは半分以下になっている今、イラクでの戦死者はアメリカ人にとっても「犬死」であり、何ら死ぬ理由のない戦死でしかありません。

 侵略された側には、抵抗する権利があります。国連や赤十字ですら、占領政策の協力者として攻撃されていることは、皆さまもご存じのことと思います。これがイラクの現状です。アメリカの占領か続く限り、いくらイラクの復興支援を唱えても、イラクの人々にとっては占領協力としか写らないでしょう。小泉首相の命令で皆さまが派遣されようとしているのは、そういう場所であることを、目をそらさず、しっかりと受け止めて下さい。私たちは、「イラクへ行くな。殺すな。殺されるな。」と強く訴えます。

 このような状態であるにもかかわらず、なぜ小泉首相は自衛隊派遣にこだわるのでしょうか。最近では、小学生でもこう言っています、「ブッシュにほめてもらいたいからだよ」と。けれども、本当の理由は、戦死を乗り越えて行動のできる自衛隊に作り替えたいと言うことでしょう。自衛隊が人を殺しても、殺されても、政府への信頼が揺るがないような国家に作り変えたい。これが本当の目的であると確信できます。
 しかし、自衛隊法によれば、海外での任務は本務ではなく、付け足しの「雑則」にしかすぎません。”専守防衛”とは政府が国是としてきたことで、侵略軍隊の占領政策に加担することが、専守防衛の域をはるかに超えていることは誰がみてもわかることです。
 「小泉!雑則勤務で隊員の命を弄ぶな!」と、私たちが強く叫ぶゆえんです。

 溝口基地司令様
 基地司令には、部下である隊員の命と安全を守る義務があります。たとえ、志願して行く隊員であろうと、他の国民・市民と同じように生命および自由、幸福を追求する憲法上の権利があります。軍事組織であろうと、かけがえのない命を粗末にしてよいはずがありません。私たち国民・市民も、そのようなことを自衛隊員に求めてよいとは思いません。
 皆さまの活動を根拠づける自衛隊法によれば、皆さまの本務は「防衛出動と治安出動」の二点に限られています。海外任務は、この“本務に支障のない限り”と断り書きがしてあります。だから、PKO法ができて10余年間の中で、辞退者がでても、そのことをもって罰せられずにきました。
 しかし、今回に限っては単なる“海外”ではなく、殺し、殺されている戦場です。
 自衛隊員・同僚・上司・ご家族のかたたちがよく話し合いをして、今ならば「家庭の事情」や「家族会議の結果」という理由で行くことを辞退できることを周知徹底して下さい。隊員や家族の不安・心配に対し、理解と配慮をもって、部下たちの気持ちや立場に寄り添った対応をすべきであると強く申し入れます。

 最後になりますが、私たちは政府に対し、ぎりぎりまでイラク派遣を断念するように働きかけます。これは、日本だけにとどまらず、アジア全体の問題であり、歴史の問題でもあるからです。日本の「軍隊」が海外派遣されるのは、近隣諸国民衆に緊張と脅威とを強いることになるからです。そして、もし、自衛隊員が不幸にもイラクの人々を殺すような事態となれば、これまでの中東やアラブ諸国の「親日感」は吹っ飛びます。小泉首相は「国益」だから自衛隊を出すと行っていますが、これで国益となるのでしょうか。国益に反することになるのではないでしょうか。このような非現実的で無責任な首相の命令のために、自衛隊員の命を粗末にしないで下さい。イラクの人々の命を奪わないで下さい。
 イラク派遣への志願をやめても、誰も罰せられません。誰も損をしません。小泉首相とブッシュ大統領が失望するだけのことです。
 以下、私たちは基地司令に対し、強く申し入れます。

一 政府は、今回の派遣で自衛隊員が「殺されるかもしれない」と答弁しています。死亡退職金と死亡弔慰金も増額しました。命は金で買えません。人の命を軽んじる政策に服従しないで下さい。

二 自衛隊員全員に、日本国憲法の理念と自衛隊法にのっとり、志願しない自由があること、派遣辞退できる自由があることを周知徹底して下さい。

以上

有事法制反対ピースアクション一同
名古屋市昭和区白金1-13-10
T&F 052-881-3573


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