横浜の学童保育請願書内容(98年度)
子どもたちに生き生きとした放課後を!
横浜市会議長 中村 達三 様
学童保育の増設と事業の改善に関する請願書
1998年 月 日
請願理由
1963年に開設された横浜市の学童保育事業は、今年で35年を迎えました。この間、わずかづつではありますが学童保育が着実に発展してまいりましたのは、学童保育に対する市民要求の強さであるとともに、議会や行政のご尽力の賜物でもあります。学童保育は、今年4月より施行された児童福祉法に位置付けられ、第二種社会福祉事業法で運営されるようになりました。しかし横浜における事業内容は依然として変わりなく、私たちが望む学童保育とは大きな隔たりがあるのが現実です。
国がエンゼルプランを策定し、さまざまな施策をすすめているにもかかわらず、少子化現象はさらに進み、子どもの数は減り続けています。(横浜の特殊出生率1.26)これには幾つかの要因があるとはいうものの、特に子どもを生み・育てる環境が整備されていないことが、その大きな原因となっていると思われます。このような背景の中で運営されている横浜の学童保育事業は、今より一層の充実が求められており、市の責任において行われなければならないことは明らかではないでしょうか。
◆市内には、現在154ヶ所の学童保育(委託148ヶ所、未委託6ヶ所)があり、約5,300人の子どもたちが放課後をすごしています。しかし、358校の小学校数からみてまだ43%にすぎません。学童保育が近くにないため、入りたくても入れない子どもが大勢いるのは、当市の制度に不十分な点が多く残っているからといわざるを得ません。
1.学童保育は「地域の協力ですすめる」もの、と規程されており、委託に必要な4条件(1. 保育場所、2. 1〜3年生の児童20人以上、3. 2人の指導員、4. 運営委員会の設置)の整備は、すべて住民の責任とされています。とりわけ、施設を確保することは至難の技であり、高額の家賃や建築費負担の苦労、立ち退き問題など絶えることがありません。また、4年生以上の児童でも学童保育は必要であり、今日の社会環境の悪化等を考えると学童保育がなくては、親が安心して働くことができません。学童保育を必要としている児童がいる場合は入所を認め、委託条件の人数とすべきです。
2.指導員の身分が不安定で、待遇がまだ遅れていることも学童保育運営上の大きな悩みです。指導員の賃金は、年々引き上げられてきたとはいえ、まだまだ生活を維持する賃金にはなっていません。何年働いても勤続給がない、退職金、諸手当、生理休暇なども制度化されていないなど、制度には大きな欠陥がたくさんあります。学童保育の指導員は子ども達の安全を守り、それぞれの子ども達の状況に応じた対応を行い、成長を助けるという大切な仕事をしています。このような仕事にふさわしい待遇に改善すべきです。
◆一方、計画的に増え続ける「はまっ子ふれあいスクール」の充実と、立ち遅れている学童保育事業との落差を「一本化」することで埋めるのではなく、それぞれの事業の特徴を活かして発展させること、とりわけ学童保育事業は、児童福祉法に基づいて市の責任において行うことが求められています。
◆横浜の子ども達と働く父母をめぐる以上のような現状にご配慮いただき、本市の学童保育事業を児童福祉法に基づき、市の責任で行うよう改善していただくことを請願いたします。
請願団体 横浜学童保育連絡協議会 紹介議員 印
横浜市従労組学童保育指導員支部
連絡先 横浜市中区翁町2ー7康和建設ビル2F
TEL045-662-7244 FAX045-663-4118
(代表) 吉光 隆
佐藤 和幸
(以上表面)
請願項目
学童保育事業の改善、未委託学童保育への補助、子どもたちが自由に利用できる施設の充実のために、以下に掲げる各請願項目を実施してください。
- 学童保育事業を、事業目的が異なる「はまっ子ふれあいスクール」と一本化することなく、児童福祉法に基づき市の責任において行うこと。
- 委託条件の対象児童は、現行「1〜3年生」を1〜6年生とすること。
- 学童保育の施設は、市の責任で用意すること。
- 市が家賃・地代を負担し、建築費・施設維持費を補助すること。
- 市立小学校の余裕教室・多目的スペース及び敷地の一部を「はまっ子ふれあいスクール」と同じように学童保育として利用させること。
- 公有地および地区センター、こどもログハウス、コミュニティハウス等の公の土地・施設を学童保育が継続して使用できるようにすること。
- 指導員の賃金を大幅に引き上げ、労働条件を改善すること。
- 現行2名の指導員を3名にすること。障害児の在籍しているクラブには人件費を増額すること。
- 未委託学童保育の委託化を市が責任を持って促進するとともに、当面補助金を支給すること。
- 児童館・公園・グラウンド・プール・スポーツ施設など、すべての子どもが身近に自由に利用できる施設をつくること。
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学童保育と「はまっ子」の事業目的の違い
<学童保育>留守家庭(共働き家庭、母子・父子家庭)の児童の放課後の生活を保障し、親の就労を支援する事業。
<はまっ子ふれあいスクール>放課後、すべての異年令児童の遊びを通じた交流を促進し、児童の健全育成を図る事業。
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(以上裏面)
請願書の審査について
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