提供:横浜学童保育連絡協議会
第16回横浜学童保育研究集会報告集より
第10分科会身近な小動物の飼い方-親子で学ぼう- 抜粋
講師 横浜市野毛山動物園飼育係
初めに講師の方から、生き物を飼う事についてお話しがありました。「なぜ人間は生き物を飼うの
でしょうか」と。「飼われてくれる」生き物たちの立場になって、接してほしい、と繰り返し話され
ていました。講師の方から、ハムスター・ウサギ・カメ・金魚・ザリガニ・カブト虫・小鳥などにつ
いて詳しく具体的なお話しを聞くことが出来ました。一部資料を載せますので参考にして下さい。
☆カメ ☆ハムスター ☆ザリガニ ☆カブト虫
カメ
爬虫類の中でもカメは昔からペットとして扱われてきた親しみのある動物ですが、水槽に水を張って
パンくずを入れるだけなど、多くの人に飼い方にかなり疑問を感じざるをえません。まずどういう動
物なのかを知り、それに合わせた環境作りから始める必要があるでしょう。
◎イシガメ・クサガメ・アカミミガメ(ミドリガメ)
◇飼育施設 水槽でも飼育できますがどの種類も甲長20cmを越えるので、60cm水槽なら1頭
が限度です。陸と水を半分ずつにし、水深は十分体を沈められるようにします。境目は傾斜や階段
をつけよじ登りやすくしておきます。陸地で立ち上がったとき水槽の縁に前肢がかかると脱出しま
すので、その場合は蓋をしておきます。
陸地はコンクリートブロックやレンガなどが扱いやすく清潔ですが、腹甲に傷がつかないような
人工芝などをしいてやります。
気温水温とも20度ー30度の間を保ち、通常は25度にしておきますが、水温の調節は熱帯魚
用のサーモスタットとヒーターが適しています。
最後に水槽にトルーライト(フルスペクトルの蛍光灯・太陽と同じ波長の光を発する)を載せれ
ば完成です。ライトは夜は消しておきます。
◇日光
一部の種類を除いて日光浴は爬虫類にとって不可欠です。寒い冬以外は時間を決めて直射日光
(ガラス越しではダメ)を当ててやりましょう。タライなどを利用し、半分を日陰にしてやります。
天気の良い日は1時間でも陽に当ててやりましょう。ただし温度の上がり過ぎには注意してください。
◇餌
市販のカメの餌はこれらの種類にとって優れた配合肥料ですが、宇宙食と同じで味気ないもので
す。時々生レバー・油の少ない肉・ドッグフードなどで補強してやります。成体なら週に1ー2度
の給餌で十分です。
餌をやると水が汚れますので、その翌日に水を換えるようにするとよいでしょう。放っておくと
間違いなく病気になります。交換する水はあらかじめ暖めておきます。
◇冬眠
かなり難しく冬眠中に死なせてしまうことがよくあります。十分暖かければ冬もそのまま飼育す
ることができます。経験を積み、繁殖などを試みるようになってから勉強してみてください。
◇病気
爬虫類の病気を治せる獣医は、正直はところ皆無と言って過言ではありません。普段のケアをし
っかりして病気にさせない努力が必要です。また、初期の段階であれば早期発見により回復するこ
とも可能です。この場合、温度、栄養のバランス、日光によって動物自身の体力をつけて治させる
ことになります。要は正しい飼い方をしていれば、これらの種類は簡単に病気にはなりません。
◇注意
アカミミガメ(ミドリガメ)はもともとアメリカ合衆国のカメですから、決して逃がしたりしな
いようにしてください。現在、日本の生態系を崩している原因の1つになっているのです。
またアカミミガメはかなり気が強くケンカをするので、他の種類と同居させないようにしてくだ
さい。また人に噛み付くこともあり、その場合かなり深い傷を負うことになりますので、小さな子
どもがいるような家庭では十分注意してください。
◇注意その2
動物の病気が人間に影響を及ぼすことがあります。人に近い動物ほど共通な病気が多い反面、そ
うでない動物が身近には少ない病気をもっている場合があります。
カメの場合はサルモネラ菌で、消化管内に常在しています。これを大量に摂取すると腹痛に悩ま
されることになります。水槽の水を飲む人はいないと思いますが、一緒にお風呂に入るようなこと
はやめたほうがよいでしょう。
もちろんどんな動物でもさわった後には手を洗う習慣を身につけましょう。
ハムスター
小さなハムスターは家庭で飼育しやすい動物の1つと言えるでしょう。ただし人が扱いやすいか
といえば疑問があります。飼育するのと手乗りにするのとは別だからです。もちろん正しく扱えば
十分可能ですが、決して簡単ではないので覚悟は必要です。しかし、小さい分スペースの問題や衛
生面で、ペット向きではあると思います。
飼育の手引き書が多いので、ポイントのみの記述にしておきます。
◎飼育施設
ハムスター用のケージが市販されています。床にはおが屑、新聞紙を細かく切ったもの、あるい
は市販の床材を用います。トイレ用のバットを準備し、動物が自分で決めた場所を見つけてそこに
置くようにします。 歯を削る枝や木片を入れ、安心できるように巣箱をつけてやります。給
水器は専用のものを用意してやります。 皿形のものは体が濡れる等して、湿気に弱いハムスター
を弱らせることになります。
また寒い冬は大の苦手ですから、冬眠に失敗して死なせるよりは25度に保っておく方が無難です。
◎餌
専用の餌が市販されていますが、野菜やヒマワリの種も与えるようにします。野菜は緑黄色野菜
やいも類などバランスが大切です。水っぽいものや濡れたもの、ネギやニンニクなどの刺激物は避
けます。ヒマワリは高カロリーなので、寒い冬を乗り切る秋以外は大量に与えないようにします。
この時期は煮干しやチーズなども喜びます。
◎繁殖
雌雄を同居させるとほぼ間違いなく繁殖しますが、子どもの数が多いので家庭ではやめたほうが
よいでしょう。妊娠すると雌雄のケンカが始まるので別飼しなければなりませんし、子どもが幼い
ころは神経質になっているので触れることなどできません。成長すると雄同士のケンカや知らない
うちに妊娠していたと言うことになりますので、ケージを大量に並べてしまう結果になります。
◎馴致
本来人に触られることは好きではありませんので、時間をかけ徐々に馴らして行きます。嫌がる
ことは絶対にやめましょう。人間嫌いになると遠慮なく噛み付いてきて、手に負えなくなります。
こうなってはもうどうしようもありません。とにかく人間と触れ合うことが生活の一部と認識して
くれるまで、根気よく優しくつき合って行くしかありません。
☆注意
どんな動物にも言えるのですが、動物の意志を尊重し、人間が動物に合わせて行く心構えが大切
です。しつけのできるペットはイヌだけだと思ってください。
ザリガニの飼い方
はじめに
ザリガニは丈夫で、何でも食べ、とても飼いやすい生き物です。大きさは20cm以上にもなり、
また繁殖させることも簡単です。昔は田んぼなどにたくさんいました。最近では数が減ってきてい
ます。しかし、ペットショップなどで売っていますので、簡単に入手できます。
飼う前に用意するもの
・水槽(無ければバケツや発泡スチロールの箱でも飼えますが見にくいので、できれば水槽が一番
良い)
・ろ過装置(無くてもよい。無い場合は水換えをこまめに)
・石や半分にした植木鉢を等隠れられるもの
これらを図のようにセッティングし、水を半分位入れます。大きな石を入れ、水面から石が出る
ようにしたり、流木を入れるのも面白いです。
エサ
ペットショップに行くと「ザリガニのエサ」が売っていますが、何でもよく食べます。ミミズや
煮干し、魚肉などを与えます。又、キャベツなども食べます。水を汚さないように少量を与えるよ
うにしましょう。冬はあまり食べないので、与えてみて食べないようならエサを取り除きましょう。
脱皮
ザリガニは脱皮をして大きくなります。脱皮直後は体が柔らかいので、あまりさわらないように
しましょう。又、他のザリガニに食べられてしまう恐れもあるため、隠れ家になるような場所を多
く作りましょう。
オスとメスの見分け方
一般にオスの方がハサミが大きく、赤が濃いのですが。裏返して腹の付け根を見るとすぐにわか
ります。
繁殖
ザリガニのメスは一度に100個以上の卵を産み、それを腹につけます。卵を産んだら産まれた
子が他のザリガニに食べられてしまわないように1匹で飼いましょう。卵は約2−3週間でふ化し
ます。最初のうちは危険が近ずくとすぐにメスの腹に戻ります。エサはイトミミズ(乾燥したもの
で良い)や金魚のエサなどの人工飼料を与えます。
ザリガニにはさまれたら
振り回すとよけいに強くはさむので、地面に置くか水の中に戻しているとはなしてくれます。
はさまれないように気を付けましょう。
カブト虫編
飼う準備をしましょう。
用意するもの
飼育箱(フタのできるもの)・土または腐葉土か木くず
枝(カブト虫がしっかりとつかまれる太さ)
リンゴ、モモ、バナナなどのエサ(スイカなど水分の多いものはさけます)
飼い方
・成虫
飼育箱に用意した土などをいれます。
エサは傷みやすいので毎日替えます。
けんかするので飼う数は少なめにします。
土が乾いてきたら、霧吹きでしめらせます。このとき、ムシには直接かけないようにします。
・幼虫
10月頃、成虫を飼っていた箱をひっくり返すと卵からかえった幼虫がいるかもしれません。
腐葉土や木くずを食べて育つので、飼育箱いっぱいにいれて飼います。
月に一回くらいふんを取り除いて、腐葉土などをたします。
腐葉土などはいつもしめった状態にしておきます。
冬越しは暖房などはもちもんいりませんが、凍ったりしないところに置きます。
五月のはじめころサナギにさせる準備をします。ふんを取って、土と新しい腐葉土を足します。
ミミズやアリが入らないように注意をします。
あとは成虫になるまで、絶対にさわらないで様子を見ます。
六月の終わりころから成虫になりだします。
どんな動物でもさわった後には手を洗う習慣を身につけましょう。
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