秘書の小部屋 2003.4

2003年4月30日(水)曇り、雨が降るらしい

社内の戦争報道症候群が一段落しました。CNNの流れっぱなしによる脳味噌の痺れも取れてきて、見かけの平穏が戻りました。

後遺症は大きいです。あちこちがぐちゃぐちゃになりました。冬はとっくに終わり、もはや初夏だというのに、暖房器具がごろごろ通路を塞いでいます。なぜか大量の毛布も廊下の隅に山積み。はて、誰か泊まり込んでいたのかしらん。冬用の分厚いカーテンも窓を塞いで日光を遮っております。

少しは春らしく(もはや夏らしく)しようと秘書が気をきかせて取り外そうとすると、「花粉が入るからだめっ」。だめって言ったって、あんた、窓は閉まっておりますがな・・・それとも吸血鬼にでもお成りですかな。

そんなこんなで、社内をなんとかしようと考えるのは止めました。また戦線に異状が発生するかもしれないし・・・

片づけ魔の秘書としては憤懣やるかたないのですが、仕方ありません、こき使われていた合間を縫って自宅の片付けに精を出して憂さを晴らし、自分ちだけは初夏仕様にいたしました。ストーブは、廊下側のガスのメーターボックス(意味もなく無駄に広い。設計者出てこい。)を物置き替わりに突っ込んで、誰かに持って行かれたらどうしよう、と一瞬不安になったものの、考えたら二つとも拾ったストーブでしたんで、それ以上心配するのは止めました。

お布団も取り替えて、カーテンも・・・ 秘書んちのカーテンは1年中夏物でした。ぐすん。

さて、しばらく前から、秘書んちのベランダに鳩の一家が住みつきました。分譲した覚えはないのですが、仲睦まじく愛の巣を構えております。これは由々しき問題です。

朝もはよから目覚し替わりにデデッポーデポッポーと鳴くぐらいは大したことではございませんが(5時頃おこされるのは、ちと辛いかも)、秘書は団地に住んでおりますゆえ、上の階に鳩がいる、と言うのは大多数の住民にとっては、羽が飛ぶ糞が落ちるその他極めて不愉快な出来事でございまして、秘書んちは1階ならまだしも4階でございまして、同じ4階に住む方々がその上の5階に住みついた鳩の居住権を巡って上の階の方と少々ナニしましたのを見ておりますゆえ、秘書も1、2、3階の方々に団体交渉などされたくない、と思うのでございます。

しかし、なんで秘書のところに住み着いたのでしょう。お隣でも良かったのに・・・

実は秘書が原因を作ったのでした。さる冬の日、お魚を煮たものの、ちっとも美味しくなくて、でも捨てるのは気が引けて、ふと思い付いてベランダのプランターの土を掘り返して、密かに埋めたのでした。肥料になるんだ食べ物を粗末にしたんじゃない、と自分に言い聞かせて、完全犯罪成立。その後何食わぬ顔でスーパーのお惣菜売り場でイカ天買って来て晩御飯のおかずにして・・・

ふと気が付くと、あらん、プランターが掘り起こされて穴があいて骨が散らばっておりました。そっと室内から見張っていたら、鳩の一家がせっせと発掘していました。次の日もその次の日も発掘隊はやってまいりました。遂に埋めたもの全部が掘り返されて。プランターには大きな穴があきました。秘書は、おのれの愚行を反省しながらベランダの掃き掃除をして、集まったゴミを穴に入れて埋め戻しました。ぐっ。

それから鳩様は我が家のベランダに駐留し続け、またふと気が付いたら、ベランダの隅に板を渡して物が置いてある一角のその板と床の間の12、3センチ程の空間がちょうどよかったようで嵌まり込んで生活していました。秘書が窓を開けてベランダに出ると、ええーっ人間が来たわお話が違うわよ、みたいな雰囲気で1羽はい出してよたよた歩いてベランダの狭い柵にムギュっと詰まってスポンと抜け向いの電線に逃げて行き、そのあとまた1羽もう1羽、と鳩出し手品みたいです。

鳩の世界も住宅難でしょうが、ここに定住されたら秘書が困ります。イラクの人たちだって、「解放軍」のアメリカ軍に、フセインはいらんがアメリカもいらん出てけ、とやっております。鳩の愛の巣に、愛の結晶の卵など残っていないことを確認して出入り口を塞ぎました。

鳩は遠慮しいしい住み着きましたが、アメリカさんは我が物顔で居座り、地元住民が石投げたくらいで銃を乱射します。また子どもが犠牲になったようです。アメリカさんにとって、イラクの人々はアブラムシ程の価値もないのでしょうか。

2003年4月29日(火・緑の日)晴れ

うらうらと暖かい日です。巷は大型連休に突入いたしておりまして、行楽ムードの皆様がそぞろ歩いております。イラク戦争の報道も波が引いてしまい、彼の地では何一つ解決してはいないのに、戦争終わったよお良かったねえと脳が日本腫れです。(塩ジイでしたかしら、イラク戦争がうまく終わってくれて良かった良かった、とニコニコしておほざきになっていらしたのは。)

秘書もお弁当もって近場へお出かけして溜まったストレスを発散して・・・みたかったです。

本日も秘書は眠い目をこすり重い頭をふりふりお仕事に励んでおります。前世に何も悪いことをした覚えはないのに、この仕打ちはなんなのでしょう。土曜日も日曜日も仕事をしておりました。

これもみんな仕事中毒のあの御仁が悪いっ・・・とつい口癖で叫んでしまいました。いけないいけない。今回は実は内職に励んでおるのです。会社の仕事してる振りして休日出勤してせっせと私腹を肥やして・・・ととと、肥えるほど実入りのいい内職ではありません。1文字打っては何銭の、文字どおりの内職です。ストレスで秘書の胴回りが肥えつつあります。(新しいお洋服買わないと、着られるものがないっ。)

統一地方選挙も終わってしまいました。地元の市では、現職市長さんが6選目という記録的多選を果たしました。24年間同じ市長は良くない、とは秘書は思いませんが、でもやっぱりちょいと飽きましたなあ。どっかにいい対立候補はいないものですかなあ。(我が社の編集長に出馬を、とか本気とは思えない声もありましたが、真に受けちゃいけません。)

それはそうと、「仰天痴呆自治」の本はどうなったんでしょ。ハッパかけなくちゃ。

2003年4月21日(月)晴れ

御無沙汰いたしました。この前お目にかかってから2週間が過ぎました。その間、色々ありましたねえ。

バグダッド市内に1トン爆弾4個も落として大穴開けて、全くなんちゅことをしやがる、と思っていたら、あれよあれよという間に英米軍が乗り込んできて、サダム像がひっくり返されて、はい戦争終わり・・・の割にはドンパチやってて、イラク軍はどこへ行ったんざんしょ、と思ってたら、今度はシリアが問題だとか言い出して、もうイラクの大量破壊兵器って何のこと?っちゅうもんです。ヤクザの因縁づけそのまんまですがな。

我が社の編集長もハイテンションフルスロットル24時間体制で暴走しまくりまして、ここに来てようやく擦り切れてきました。もちろん社内中が巻き添え喰らいまして、秘書なんぞも土日がなんぼのもんじゃ、と情け容赦なくこきつかわれておりました。それでも社内の人間はまだ幸せだったかもしれません。

電話魔と化した編集長にのべつまくなし電話をかけられて時には大音声で怒鳴られておりました関係各方面の皆様、声がでか過ぎる、という点については、秘書が代わってお詫び申し上げます。日頃注意はしているのですが、情報緊急スイッチが入って脳内が沸騰した瞬間に、音量調整ツマミがぶっとぶ傾向があるようです。

ふと気がつけば八重桜がボテボテ重苦しく満開です。ボリューム全開の選挙カーが候補者の名前を連呼して走り回っています。今度の選挙には、なんだか行きたくありません・・・

2003年4月7日(月)晴れ

鉄腕アトム君は今日生まれたんだそうです。

・・・この表現では、何回目のお誕生日?、って聞きたくなりますね。日本語は誠に曖昧です。

手塚治虫センセの傑作漫画鉄腕アトムの舞台は未来の日本でした。発表当時には2003年は遠い未来だったのです。とうとう現実が追い付いてしまって、大抵の人がちっちゃい頃からお友達だったアトムが生まれる日を迎えてしましまったのです。

バラ色に輝いて見えた未来でしたが、科学はそれなりに発達しましたが、人間自体はそう進歩するものではありませんな。戦争などという野蛮な風習は根絶しているかと思ったら大間違いでした。むしろ、クラスターだの劣化ウランだのモアブ(MOAB)だのを開発した分、野蛮さが増幅したようです。

2001年宇宙の旅も、シャトルが2回も爆発しちゃったもんで、熱が冷めてしまいました。

おりしも地に足のついた生活をしようという、スローライフのブームがじわじわ。薮猿率いるアメリカ帝国さん、石油大量消費文明が諸悪の根源だということに、いい加減気づくべきですぞ。

2003年4月6日(日)晴れ

やり直しのお花見。万全を期して、午前中休日出勤をいたしまして、午後から酒ビン抱えていそいそと公園へ。んまあ、凄い人出でした。制服私服合せたおまわりさんも一杯でした。花見にも戦争の影が落ちています。

室内へ引き上げて、CNNの映像を肴の酒盛りは、お尻が落ち着きません。

余談ですが、テレビでアナウンサーが「共和国防衛隊」と言うたび、「地球防衛軍」とか「地球征服友の会」とか「スペクター」とか「ドクター・ノオ」を連想して、顔がにやけるのを隠すのに苦労しています。不謹慎・・・

2003年4月5日(土)土砂降り

やっぱりお花見をしなくては春がきません。名所井の頭公園の桜は丁度見ごろだし、いっちょ風流を楽しむ会を、と企画しておりましたのに、親の仇のような雨降り。秘書の何が悪いのでしょうか。(休日出勤を渋った位、大したことじゃありませんでしょ・・・)

2003年4月4日(金)晴れ

米軍に救出された若き女性兵士ジェシカさんはヒーローだ、いやヒロインだ。何発も銃弾を受け背後からナイフで刺されても果敢に戦い捕虜になり手も足も骨折したが特殊部隊が収容されていた病院を急襲して奪還された。将来の夢は学校の先生になることで、そのための学資稼ぎに志願して・・・アメリカ中が奇跡の生還に大喜びした。凄いな凄いなスーパーウーマンだ。これからの女は心身共にタフでなくっちゃ。

と、秘書があんぐり口を開けていたら、編集長がいちゃもんをつけた。

「話ができすぎている」

まったく、このおっさんは物事を素直に受け取れないのか、とピュアな心の持主の秘書は舌打ちして(だからおやぢってやつは)と心の中で叫んだ。

それなのに、ジェシカちゃんのお父さんとお母さんのインタビュウとかいうものが現われて、両親の言うことには「銃創も刺された傷もない」そうだ。どういうこった。

2003年4月3日(木)晴れ

春とはいえまだまだ寒いです。

朝、ストーブの前でお尻をあぶりながら新聞を読んでいたら、お尻に火がついてブスブスと・・・ではありません。いくら秘書でもそんなドジはしません。アメリカ軍にくっついてイラクに行っている従軍記者のレポートを読んでいましたら、これが結構おかしいのです。

アメリカ軍の迫撃砲が敵陣に命中すると、米兵と一緒になって歓声上げちゃってたり、1日中ポルノを眺めていたりする米兵にチグリス・ユーフラテスの古代文明(学校で習いましたよね)を説いて相手にされなかったり、自分の墓穴みたいな穴掘りに精を出したりと、まるっきりお笑いのタネです。

が、笑っている場合じゃありゃしません。イラクとの時差の関係で夜テレビをつけると、戦争のライブ中継映像が流れてたりします。その昔、浅間山荘の銃撃戦のライブ映像はかなりの高視聴率だったそうですが(秘書は見てません)、こんな映像、ライブでも録画でも眼前でも見たくはありません。

なあにが民主主義国家アメリカですか、なあにがイラクに民主政権を、ですか。そりゃ秘書だって、大統領はフセインですよ、と言われればちょっと遠慮したくなります。だからといって、ひとんちに土足で上がり込んで欲しくないです。

ブッシュさんが本当はイラクの民衆の運命には関心がなくて、イラクの地下に眠っているものの方が大好きだ、なんてこと知らない無邪気な秘書でさえ、アメリカのゴリ押し爆撃で傷つき死んでいくイラク市民を毎日見ていると、(イラク負けるな頑張れ)と言いたくなってしまいます。

2003年4月2日(水)雨

お花見もしてないのに桜が散ってしまうざんす。つけっぱなしのCNNテレビの大音声が社内に響き渡るので、気も散りっぱなしざんす。英語と同時通訳の日本語が一緒くたに聞こえてくるので脳味噌もくたくたざんす。編集長はボルテージが上がったり下がったり、あちこちに電話しては喋りまくり怒鳴りまくりがんがん説教垂れているざんす。秘書の日常から平穏という言葉が消え失せたざんす。あーっ、戦争はいやざんす。

さて、編集長は花粉症です。この間ちらっとみたら、帽子に「重症の花粉症。危険を犯して参加」の紙が貼ってありました。なんじゃこれ、と思ったら、反戦デモに参加したときに貼ったんだそうな。夜というのに、サングラスにマスクに帽子では、あぶないおっさんと思われかねません。でも近頃は編集長と似たよな格好の人が多いんだそうで、前みたくうさんくさくは見られないようです。

しかし、夜な夜などこぞの集会にお出かけするもので、ちょっと擦り切れ気味です。そんな時、間抜けな発言を目にし耳にするとたちまち沸騰して・・・ あちこちぶっちぎれそうになるので、ちょいと秘書は困っております。何故って、堪忍袋のヒモくらいなら新しいのをつければいいんですけれど、脳血管でも切れた日には・・・

2003年4月1日(火)晴れ

本日四月馬鹿の日。

年中大馬鹿の某国大統領の誕生日ではございませぬ。

罪のない嘘をつきあって楽しむ日の筈でして、秘書もその昔はいろいろと人様をかつぎまわったものです。イギリスなんぞは、日本で言えば天下の大朝日新聞様や大岩波書店様クラスのマスコミが、毎年手の込んだ嘘ネタを流して真面目くさった方々を笑い者にして楽しんでいたとか聞いております。今思えば古き良き時代だったのでしょう。

近頃は罪深い嘘が蔓延し、特にメディア関係の大嘘というものがまかり通りまして、道理が引っ込んで無理がゴリ押し、やっちまったもんが勝ちよ、みたいな情けない世の中になってまいりました。嘆かわしい・・・

血なまぐさい情報がインターネットに乗って地球を駆け巡る今、いくらなんでも今年はエイプリルフールはあるまいと思っておりましたら、どかーんととんでもネタが出てまいりました。「アメリカはメディアの犠牲者」とCNNで解説者がしゃべったんですとぉ。ぉぉぉおお。本場イギリスはどげな嘘ネタを流すのでしょう。

余談ですが、英米の宿敵扱いのフランスでは、四月馬鹿を、四月の魚と言うんだそうです。嘘放送網に引っ掛かるバカ魚は、フランスよりアメリカの方が大漁な気がしますが・・・