秘書の小部屋 2002.11

2002年11月30日(土)晴れ

お晩でごんす。お久し振りでやんす。この前日記を書いてからもうぼちぼち十日経ちますなあ。いよいよ秘書はクビになった、と思いましたでやんしょ。隠さなくたっていいざんす。人の不幸は蜜の味、って昔から言います。世の中聖人君子ばかりじゃござんせん。

グワチッ。(イテテテ。少しぐらい日記サボったからって殴らんでもいいじゃないか。ホントにもう。)

さてと、秘書がプッツンしてたのには、それなりの訳があります。えーと、まずは身の上話から。

ついに失業生活が終わりました。といっても旨い話が転がりこんだのではありません。失業手当てが切れて、再就職の見込みは全くなくて、だもんで、じゃウチ来る?、と声がかかったのは木村書店。やっとアルバイトから社員になれる、と喜んだのは束の間。社会保険は?と聞くと、ワハハ。福利厚生は? イヒヒ。給料は? ワッハッハ・・・って具合で何一つマトモな返事がありません。代わりに、2刷に入った「9・11事件の真相と背景」が、どーんと秘書の机に積み上がりました。即ち、現物支給。ぐっ。唐草模様の風呂敷までセットになってるのが悲しい。

ほんじゃま、と秘書風呂敷包みを背負って行商にでようとしたら、編集長が慌てました。出かける前にちょいとやっていってほしいことがある、と。

宣伝チラシ作ってね。この次の本のも。定価のとこに税金のシール貼るからそれもね。あ、そうそう名刺がきれたから、新しいデザイン考えて。短冊も必要だなあ。折込む小さい営業案内もね・・・

そうこうするうちに、いつも記事を投稿しては倉庫代わりにしているサイトがサーバー移転で混乱して、憎まれ愚痴の記事に行方不明が発生していることが判明し、大変だ自前の記事として入れろ、という騒ぎになり、ああ、それから秘書は巨大迷路の続きの悪夢にさまよい混むことになりました。ドアを開けるといきなり壁、ならまだいいほうで、開けるといきなり何も無い宙空間だったり、先へ進んだはずがもとの通路へ戻っていたり、同じ部屋に違う名前で3つも4つもドアがついていたり、壁だと思って寄りかかったらずぶずぶっとめり込んて異空間へ投げ出されたり、足元が突然崩壊したりで、へろへろになっておりました。

(思えば数カ月前、編集長が嬉しそうに、投稿してリンク付けとけば自分で作らなくて済む、なんと合理的だ、とのたもうた時に、秘書は「サーバーが移転したり倒産したりしたらどうするんだ。都合で消されちゃう事だってあるかも知れない」と不安を覚えたのだった。でも、口に出せば、じゃ君作りなさい、という話になりそうで恐くて黙ってた。こういう態度はしばしば最悪の結果を招く。)

ととと、どこまで話しましたっけ。ま、とにかく、社員になった途端こき使われまくっております次第です。その間何があったか、おぼろげな記憶を辿ってみます。

11月25日 ここのところ連日寒くって冷たい雨が降ったりしてました。相変わらず吹きっさらしの秘書ルームは足元がジンジン冷えます。涙ぐんでいたら、床暖房入れてあげよう、ということになりました。喜んでいたら、ほれ、と編集長がもってきたのは、無用になった電気あんか二つを段ボール箱を潰して挟んでガムテープをぺたぺた貼った物体です。工作大好きな編集長御自慢の作らしいのですが、あのう、そのう、それではあんまりです。秘書の人生この先段ボール人生、と暗示されているようです。ひくっ、ひくっ。

11月29日 今日も秘書はこき使われています。お目目がちかちか、頭がぼーっ。あーあ、人生こうして過ぎていくのでしょうか。前途には暗雲が立ちこめ黒煙がモクモク炎がボーッきな臭い。
きな臭い?
火事だ!あたふた秘書が駆け付けると電子レンジのそばのお皿の上の物体が煙を吹いています。傍らには編集長。「やあ、キノコ雲だ」とか言ってる場合か。水かけろ。
秘書がおやつ用に冷蔵庫にいれておいた餡マンを編集長が「発見」して、最近覚えた「レンジでチン」技術を駆使したらしい。今様旧石器人にしてはメカニカルなその試みは誉めてやりましょう。しかし、ちゃんと説明書きを読んで欲しいものです。1個30~40秒だぞ。5分もやったら、焦げるを通り越して炭化するに決まっておるわい。
ぶんむくれてお家に帰ったら、これまたお家が焦げ臭い。同居人が編集長と似たようなことしてました。どいつもこいつも全く・・・

その他の日々 何だかんだと連日お出かけの編集長、表向きは本の宣伝をしてくることになっているのですが、秘書のみるところ、毎晩怪気炎をあげているらしい。さっさと次の本の原稿書かんかい。

ところで皆様、秘書の現物支給の分だけでも結構ですから、本お買いになってください。読み終わったら新古書店に持ってってもいいですけど、それでは元がとれません。読後感を付けて人様にお勧め下さい。貴重な情報ありがとう、と感謝されてあなたの株があがります。そうしてどんどん売れたら秘書の給料もあがって晩御飯に好物の蕪のシチューが鱈腹いただけます。編集長は気をよくして次の本を出して、また売れて秘書の給料が増えて・・・ 景気も上向きます。これぞとっても簡単本買うだけでできる日本経済再生。
お近くの方なら紀伊国屋書店吉祥寺店で買えます。売り切れで店頭に並んでなかったら、大きな声で「取り寄せて下さい」と言いましょう。

2002年11月21日(木)晴れ

Windows ME パソコンのメビは、愛松と同じく軽さが売りのシティボーイかと思っていたが、どうも内気な女の子らしい。それが証拠には、我が編集長が触るとまともに動きゃしない。

電源入れたら真っ黒け画面の上にちびっと明るいものが現れるもそのまんま、ウンともスン言わない。再起動したくても電源が切れない。あるいは終わろうとしたらそのまま固まっちゃう。電源入ったと思ったら、いきなりブルースクリーンだして「ウインドウズの保護エラーです」とのたまう。ウインドウズユーザーの方なら御存じでしょうが、これはマックの爆弾マークと同じくらいの威力ですぞ。

で、編集長のわめきを聞きつけた秘書の出番となる。

どれ、ちょっとおどきなさい、と取り敢えずセーフモードで立ち上げて再起動して、めでたしめでたし。といかない場合が多々ある。再起動しても青い画面のまんまニコリともしない。さあ、困った。あれこれ頭をひねり回し、そうだMEにはシステムの復旧というのがある、と気づいて早速実行。めでたしめでたし、ではなかった。アンチウィルスソフトが入っているばっかりに、一週間に一度はウィルス定義を更新しているばっかりに、訳のわからない状態になってしまう。困り果ててウィルスソフトを引っこ抜き再起動して再インストールして新定義をダウンロードして最新状態にして・・・と、いい加減うんざりしますな。

で、ふと、ある日気がついて、強制的に電源切った後、電源プラグを引っこ抜いてみました。昔どっかで読みました。妙なメモリがクリアされて問題解決することがあると。

つまり記憶喪失ですな。あらん、ここはどこ私は誰、と立ち上がったメビをなだめて再起動させれば、今度こそめでたしめでたし。それにしても編集長はメビのどこ触ってるんだろ。

2002年11月20日(水)晴れ

本が出来上がって印刷屋さんがトラック横付けして運び込んでくれて社内にどーんと積み上がってあおりをくらって山積みしていた狸皮が荷崩れして散乱して廊下を埋め尽くして秘書の領域まで侵食して、お陰でいま秘書は斜めになって社内を蟹歩きしている。うー。

第2刷で、奥付に少々手違い発見。なに大したことじゃありません。第3刷で直す予定なので、これも将来コレクターズアイテムとして高値を呼びますぞ。11册まとめて買って10册は丁寧に梱包して金庫にお仕舞いください。あと1册はじっくり読んで人様に感想を聞かせてお薦め下さい。感謝されること請け合い。これであなたも情報通!(なーに言ってんだか)

2002年11月19日(火)晴れ

世の中には信じがたい話がごろごろしています。私は宇宙人と会った、楽しい(かどうかは知らないが)一夜を共にして今お腹には宇宙人ベイビーが! なんてのは信じなくてもなんの差し支えもないのですが、ホントのようなウソのようなホントかなの話には困ってしまいます。

例えばです。我が社の変な酋長こと編集長が、あの、お行儀作法に口喧しい小笠原家の端くれだなんて、張り倒してやりたい程の冗談かと思いましたら、本当だっていいます。どう考えても、おちょくられているとしか思えませんが、証拠物件らしきものがあったりします。

世の中理不尽です。

かくも心優しく礼儀正しく人品骨柄いうことなしの秘書が、馬と一緒くたの骨格標本にされるのに、この●をこくは●をほじるは居眠りするはトボけるはゴミをまきちらすは面倒くさいと土足で上がり込むは(雑巾がけする身にもなってみなさい)する御仁が、由緒正しい小笠原家の端くれですって。家名を汚すとはこのことです。

本来僕はお坊っちゃまなんです、とすまして言いますが、つむじもへそも秘書の見るところ相当お曲がりあそばしています。聞けば、御幼少の頃色黒であられた編集長は、ことあるごとに色白のお兄様と比べて(この子は嫁の血筋だ)と言われ続けて(つまりよくある嫁姑問題に巻き込まれて)御成長あそばし、いつしか世の不合理には徹底的にたてつく性格におなりになったのであります。

ちょいとした編集長の虎馬物語。チョンチョン。

2002年11月18日(月)晴れ

ぐつぐつぐつぐつ朝から編集長が煮えています。実はいろいろメンドくさいことが続いて(編集長の大嫌いな事務処理。大嫌いなものでテキトーにほっぽらかしていたツケが大回りして大当たり。)そこへ間の抜けた電話が入って、とうとう大噴火。こういう時に下手な抑えの利くお方ではありません。

放っておくに限るのですが、あいにくと今日は年金者組合と言う名の老人会の寄り合いがあります。室内で煮えたぎっているより健康的でありましょうと思いつつ、送り出しましたら、2時間もしないで早々と御帰館あそばしました。なにがあったか推して知るべし。

そんな所でのおつき合いが今日までもった方が奇跡、と秘書は思っています。我が道をゆきなさいまし。

2002年11月17日(日)晴れ

目が覚めたらなんでか10時でした。2回目覚しが鳴った筈なのですが、記憶が定かでありません。ジ、くらいで即効叩きのめしていたんでしょうか。まだまだいくらでも寝られますが、天気も良いのにこのまま寝てたんでは大損こいた気がするのはやっぱり貧乏性のせいでしょうか。もあーっと起き上がって、そうだ、と気がつきました。今日は近くの保育園でバザーをする日でした。行かなくっちゃ。

急いで朝御飯を食べて(肉マンと餡マン半分ずつ)、小銭かき集めて大きなお買い物袋持ってそうそう脱いだ靴を持ち歩くためのビニール袋も入れて、さあいっぱい買うぞ。しぶる同居人も引っ立てて勇んで出発。

が、ない。欲しいものがない。買いたいものがない。ないないない。どうしたことでしょう。秘書の物欲に陰りがみえはじめたのでしょうか。何を見ても心が動かないのです。素敵なタオルセットも(500円もするのお)と手に取る気にもなれません。鍋の1000円はいくら新品だからといって論外です。中古の300円の鍋は形はいいんだけれど柄が気にくわない。ああっもうっ。

で、手ぶらで引き上げ、このまま帰るのは悔しいので新古書店に行って、マンガを物色。マンガ文庫1冊350円也はためらいもなくお買い上げ。鍋とマンガとどっちが生活に役立つかよーく考えてみましょう。金銭感覚が歪んできた気がします。

2002年11月16日(土)晴れ

本日秘書お休み。だって働き続けて疲れちゃって・・・と言いたいのですが、言ったら世の真っ当な労働をしている人々からの罰があたります。(どうせ道楽でアルバイトやってんだよん、お金なんて関係ないわさ。ぐすん。)

先日通知が来て、秘書の住む団地は改装工事をしたのですが入れ替えた台所設備が実は基準を満たしていないのにベターリビングの認証マークを貼ってしまったのでそれは不都合なので剥がして別のシールを貼りますので御協力を、ということでありましたので、お休みして待機してたのであった。そんなん、お知らせと一緒にシール配って、貼り替えといて下さいね、でいいじゃん、と秘書は思ったのですがそうはイカの鉄板焼らしい。(ゴチッ。下らないしゃれを自慢げに言うんじゃないと小突かれた音。)

そもそも何で基準が満たせないか。それはこの団地が異様に狭いからです。ただでさえ小さい“団地サイズ”がさらに変形しているので基準を満たしようがないのです。秘書の部屋は4.5帖ということになっていますが、どう考えても普通サイズの畳なら3枚分です。お陰で秘書の特製ベッドは幅が75センチ。チビだからいいじゃん、という問題ではありません。人間寝る場所が狭いと発想もせせこましくなるのです。お陰で秘書の野望はすっかり消え失せて時給900円ならまいいかと妥協しちゃって、という問題でもありません。

豊かな日本の貧困を一身に背負っているよな秘書ですが、問題は秘書はそれでもマシなほうだ、ということ。秘書よりもっと悲惨な人間が大増殖しています。最近町中を歩いていると、この人仕事どころか住む所が無いんじゃ、と思われる人と結構すれ違います。これは日本の恥であります、日本社会の恥であります、日本の社会構造の恥でります。責任者、責任とれ! という問題なのでしょうか、はて。

2002年11月15日(水)晴れ

何となく気の抜けてしまった社内。所在無さそうにうろうろしていた編集長の顔がぱっと輝きました。どっかから送られてきた会報に目を通していた時の事です。本日都内の公園で集会があるらしい。本を売りに行って来る、といそいそと支度を始めました。愛用のカートに本とチラシを積み込み、お天気が心配なので大きなビニールも入れ、そしてハンディマイク。マイク? 本売るのになんでマイクが?

ついでに1発かましてくる、とのこと。う、ついに復活してしまいましたか、大好きな街頭演説が。思えばこの5月、脳硬塞で入院騒ぎを起こして以来、秘書が二度とやっちゃいけません、と厳禁してきたのに、この寒い日に復活させようってのですか。ええ加減にせえよ。秘書はついていかんぞ。

ま、しかし久し振りに大声張り上げてすっきりしたのかニコニコと帰って来ました。肝心の本は、あまり売れませんでした。演説に熱が入って売る気がなかったんではないか。聞けば、角丸と中核が、違う革マルと中核が対峙して呼び込みをするので、売り込みどころじゃなかったらしいです。

2002年11月14日(水)晴れ

しがない会社のしがない秘書は今日も日銭を稼ぐためにせっせとキーボードひっぱたいて終わりのない悪夢のようなお仕事に精を出します。もちっと優れた脳味噌に恵まれていたなら、“頭脳労働者”と称して優雅にキーをもてあそび思いつきを文章にし時には誤変換さえ気の利いた“洒落”として織りまぜて各方面に高く売りつけ、日本言論界をリードするこの私は一流の文化人、とか乙に澄まして頬杖ついて脚なんか組んじゃった写真とらせてたりしてるんでしょうに。一度売り出しちゃえば、たとえミミズの寝言のようなたわ言でもみなさん有り難がって大金はたいて下さるでしょうに。

あーあ、秘書は何が楽しくて、人様の判じ物みたいな筆跡の誤字脱字ならまだよい文脈がすっ飛んじゃってるような原稿と称するなぐり書きを、適当に直しといてよ、と気楽に言われて四苦八苦ワープロ清書せにゃならんのだ。何が悲しくて1文字**銭で計6392円、とか請求書書いているんだ。ぎゃあっああ!

バッチンッ!

ブレーカーが落ちました。秘書が沸騰したからではありません。昨日さんざん秘書をなじったお方がヒーターやらなんやら付けたまま電子レンジで“チン”を試みたのでした。む。

昨年も散々やらかして、結局アンペアを最大限増やした筈なのにどうしてでしょう。秘書は編集長に詰め寄りました。増やしたんですよねっねっねっ。増やした、3系統で計50の筈だ。えーとこれとあれとそれとそれと・・・合わせても30ぐらいだ、何故だっ。

結論。部屋にそれぞれ1系列ではありませんでした。3部屋まとめてその1。その2は南のエアコン用、その3は北側のエアコン用。その1にすべてつないでいました。思うに1ケ所は20の筈です。すぐヒーターをエアコン用につなぎ変えました。

しかし、この3系列論、編集長の記憶に基づくものです。全面的に信用するのは非常に危険です。1度自分で実地調査をしてみなくてはなりません。それまではこまめにヒーターのスイッチを切ることにします。

昔おばあちゃんが言ってました。アイロン使う時はヒューズが飛ばないよう、他のものをみんな消したって。戦後と言われた時代の話でした。我が社はきっと戦後体制のままなのです。

2002年11月13日(水)晴れ

寒いし眠いしお金はないし、やんなっちゃう。お腹もすいたし、どれパンでも焼いて、そうだ牛乳も暖めて、とトースターのスイッチ入れてレンジのダイヤル回して、ああやっと人心地つく、と思ったとたん、バチンッ。

ブレーカーが落ちました。1200Wのヒーター付けたまんまでした。新松とフジ太が付けっぱなしでした。えーん。

編集長が鬼の首でもとったように嬉しそうな顔して、それみたことか、と秘書をなじります。自分だって何度もやったくせに。

発送騒ぎが一段落して(在庫がなくなりかけている。第2刷ができあがるのは20日)、気が弛んだ途端の出来事でした。買った兜の尾は閉めるものらしいです。

フジ太は黙ってスキャンディスクを始めました。新松は何ごともなかったかのように澄まして立ち上がりました。WindowsとMacとどっちが頑丈なのでしょう。一度殴ってみようかと思います。

2002年11月12日(火)晴れ

毎日書くから日記で、1週間にいっぺん書くのは週記? でも7日分ちゃんと書いてるからやっぱり日記・・・ というつぶやきは聞かなかったことにして下さい。秘書だっていろいろ忙しいんですから。

と、居直ってはいけないません。ここは素直にぐうたらを反省しなくては。“忙しい”を口実にすると、事態が混乱を極めるのは、先日の発送騒ぎで思い知ったばかりです。忙しいんだから、と当座の処理をほっぽりだしたものだから、いざという段で大きなツケがまわりました。もう二度とこんなことにならないように、と秘書は深く堅く(編集長に任せてはいけない)と誓いました。

なのに、ここに来て“もしかしたら”というかすかな不安が芽を出し、“もしや”と社内の巨大迷路を探し歩いたら、未処理の郵便払込票数枚を発掘してしまいました。どうすんじゃいこれ、と言ってる場合ではありません。この春に編集長の脳硬塞入院という予想外の事態があって、一時我が社が大混乱したけれど、いつまでもその後遺症を引きずっていてはいけません。二重の遅れのお詫びを入れて早く発送しなくては。

2002年11月11日(月)晴れ

鬼の不在時は命の洗濯をするものと昔から決まっています。秘書も、お洗濯お洗濯、と自転車引っぱりだして駅の向う側へお出かけ。本屋さんで新刊本の読書に励んだり安売り紅茶を大量に仕入れたり宝くじ買ったり今年の売れ筋セーターをじっくり眺めたり(今度バザーがあったら似たの買おう)と、久し振りに伸び伸びしました。自由っていいな。

2002年11月10日(日)晴れ

疲れたざんす。今日明日と編集長は地方へ出張するので、秘書は束の間ちょいとお休みができます。このところ土曜も日曜もあったもんじゃなかったので、とってもうれしい。好きなだけ寝ましょう。

というささやかな秘書の幸せはぶち壊されるに決まっているものらしいです。うとうと朝寝を楽しんでいたら、ピルルルピョルルルタリラララ、と耳をつんざく電話の呼出音。うげー、と起きてみれば、「昨日の書類はどこ?」

誰からかは言うまでもありません。さっさと行っちまえ。

2002年11月9日(土)雨少々

いよいよ本日は講演会です。準備万端ゆっくりお茶飲んで余裕を持ってお出かけしましょう。いつもいつも出掛けにあれこれとっちらかしたままなのはもう嫌です。

という筈でありましたた。賢明な皆さんにはもうお分かりでありましょう、出発までがどういう状況であったか。

資料のコピーをとりに行った編集長が帰って来ません。約束したお客さんは来ちゃうし時間は迫ってくるしで、秘書はまた持病の癇癪を起こしそうになりました。あたふた帰ってきた編集長が言うには、コピー機の紙が詰まるはトナーが切れるはコインが詰まるは中断するものでカウントが分からなくなるは後ろから爺さんが急かすは、大変だったー。

みーんな普段の心掛けが悪いからです。それに人様のことを爺さんって言えますか。よおく反省しよう。

行きの電車で相変わらず繊細な秘書はゲロッピ寸前になるし、昼飯は鮨食わせてやると言われてついてきたのだが皿がくるくる回るのでゲロッピ直前の目も一緒に回り4皿しか食べられないし、荷物は重いしで、秘書受難。

講演会は、編集長の他に講師が二人。計三人で賑やかでありました。こういう席では普段は半目を開けたまま眠る秘書もお目目ぱっちりでありました。常連にも評判がよろしかったようだ。マッド・アマノ氏の星条旗パンツの話は可笑しかったです。本もたくさん売れました。終わってからの懇親会も相当盛り上がっちゃったらしいです。

2002年11月8日(金)晴れ

講演会準備進行中。チラシを用意せい、というので、じゃかじゃか1日中印刷をしています。インクジェットプリンタでカラーチラシを大量プリントというのはちょい重荷であります。お高いインクカートリッジがすぐ空になります。3800円もしたのに、とぶつくさ言いながら取り替えようとしたら、替えがない!

ひえー、と思いつつ、以前編集長が、インク切れたと言ってからもかなり印刷ができる、と言ってたのを思い出しかまわずリセットしては印刷してたら、なんと100枚以上刷れてしまいました。300枚対応のカートリッジで100枚以上と言うのはどういうことでしょう。

即、ゴミ箱をひっくり返し、このあいだ捨てたカートリッジを回収しビニール袋に保存したのは言うまでもありません。

2002年11月7日(木)晴れ

アドビのイラストレーターの女神様は夜遊びが過ぎて目の下にクマがうんぬん、と言ったら、お友達のところの女神様はつるんつるんの美女だという。挙げ句「使う人に似てくるんじゃないの」

失礼な。

聞き捨てならないので、調査開始。で、あちこちでかぎ回って判明したことは、バージョン8までは、夜遊び過剰はたまた生活苦のお疲れクマつき女神様。9からは反省したのかはたまた若返り美容整形コラーゲン注入したのかすべすべ女神様。目つきもまともです。10は9を維持しています。

原画は8に近い。何があって誰が何を言って女神様は変身してしまったのでしょう。ボッティチェリが知ったら憤慨するんでないか。

2002年11月6日(水)晴れ

数年前編集長は、コンピューターのコの字くらいしか知らないでマニュアルも読まないで“暴走族”と自称して電脳電網生活に突入しました。その間発し続けたデジタル情報が溜まりに溜まった電網憎まれ愚痴は、編集長の脳血管と同じで、もうぐっちゃぐっちゃであります。本人だけは分かっているようだが、なんとかのなんとか、といわれた秘書が足を踏み入れると、もうえんえんとさまようことになります。

いい加減にしてくれ! と言いましたら、では片付けるように、との御下命。秘書、草むしりを言い付けられて、こんなちっちゃなシャベルじゃ捗らない、とごねたら、工事現場のスコップ渡されて、墓穴を掘らざるを得なくなった気分。

2002年11月5日(火)よく晴れて寒い

一段落したので、社内の模様替えにいそしみます。大幅改装したものの机の配置なんかは前のままなので、相変わらず秘書は廊下みたいな所に座っています。後ろを白熊がうろうろ行ったり来たりで落ち着かないし、大体吹き抜け地帯なので寒い。こんな所で凍死するのは嫌です。

編集長がいるとつべこべうるさいし、ちょっと手伝わせれば、強制労働反対! とか言い兼ねないし、営業部長は手伝わせているうちにあまりの使えなさに秘書が切れてしまいそうになるし、で、皆が出払ったところで、このチビッこい秘書が、えいやっよいこらさっと机を引きずって並べ変えてしまいました。これなら編集長室がよく見渡せるし、雰囲気も事務所みたくなったし、よしよし。

が、日課のプールから帰ってきた編集長、何ごともなかったようにすましています。それどころか、チラシ刷れたかね(いつ頼んだ?言われた覚えないぞ)、と寄ってきた時もしらっとしています。

編集長、と秘書おもむろに口を開いた。何か変わったと思いませんか。へ、と言いたげな編集長、しかし全く気づいていない。何かって? あ、頭切った?(切っとらん! 頭切ったら一大事だ。頭髪も切っとらん。)

机を動かして社内が片付いたと思いませんか!

あー。

秘書的絶望空前絶後後悔山積前途悲壮展望暗黒懊悩深刻将来性皆無嗚呼嗚呼嗚呼・・・

2002年11月4日(月・昨日文化の日で代休)晴れ

世間様は3連休。秘書は相変わらずの貧乏暇なしですが、今日は断固としてアルバイトお休み。

(また恒例の秘書の身の上解説。秘書はアルバイト秘書です。本業は別にありま・・・した。失業しました。でも、未だに“アルバイト”です。単なるアルバイトがなんでここまでタヌキのおじさんの後始末しなきゃいけないんだか。それに、木村書店ってなんだ、綺羅星無限堂ってなんだ。秘書が応募したときは、憎まれ愚痴社って名前だけだったぞ。だいたい社長秘書って話だったぞ。お茶いれたりコピーとったりする筈だったぞ。おまけにアルバイト代だって、木の葉っぱみたいな・・・)

いけない、過去を振り返ると脳味噌が煮え立ちそうになります。今日はぐっすり眠って、リフレッシュして煩悩を振り払って生まれ変わるのです。明日から真面目に仕事を探しましょう。明日はきっと今日よりいい日・・・

2002年11月3日(日)曇り

今日こそ発送せいよ、と朝から秘書は編集長にぴったりくっついてマーク。最近この御仁は、“仕事してる振りをする”という高等技術を身に付けたものですから油断も隙もありゃしません。傘貼り浪人よろしく糊でせっせと封筒に宛名を貼り付けている、よしよし、と後ろを向いたとたん、電網波乗りに出かけちゃって、面白い情報だ是非発信しなくては損だ、と電子山羊さん郵便を始めます。

講演会はいつでしたっけねえ、9日じゃありませんかねえ、今日こそ発送しなくても間に合うんですかねえ・・・

すったもんだやったもんだ、挨拶状をいれ忘れた、数が違う、封筒が足りないっ(秘書は土壇場の修羅場は大嫌いです。編集長は大好きらしいけど)。ようやくメドがついたのは、日もとっぷり落ちて、良い子の秘書はお家に帰って洗濯もの取り込んで晩御飯食べてお風呂に入ってテレビを見てお休みなさいする時間でした。秘書の青春を返せーっ。

2002年11月2日(土)晴れ

今日こそは発送する。そう力説するものですから、秘書もそれなりに体調整えて準備体操もしてきました。文案作ったでしょうな。え?まだ? 宛名印刷は?まだ?なに、パソコンのデータがあいうえお順になってないから探すのが大変だって。そういうことは早く言いなさい。振り仮名ふれば済むことでしょう。なに、遅延のわび状も作りたいだって。わかったから早く書け。

秘書むっつり黙々と振り仮名振りをします。今日こそは送らなくちゃ。ああ、疲れるな。いつもいつもこうだ。みんなみんなどいつもこいつも後始末を秘書にさせやがって、秘書をなんだと思ってる。秘書だって幸せになる権利はあるんだい。ブツブツブツ・・・

一人でぐつぐつ煮えたぎってしまったのが秘書の不覚でした。周囲が見えなくなった僅かな隙をついて編集長逃亡。静かだ、と気づいた時には、姿が消え失せていました。プールセットもありません。表に飛び出して、植木に水やっている守衛のおじさんをつかまえて聞きました。

「さっき自転車乗ってすっとんでいったよ。どうしても行かなくちゃならない用があるってたよ」

おのれ。帰って来たら段ボールに叩っこんで地獄の三丁目に発送してやる。

2002年11月1日(金)雨

11月ですよお。どうするんですかあ、編集長。まだ、いっこも発送してませんでしょ。そろそろ手が後ろに回りますよお。秘書は知りませんよお。

と、他人事みたいにしらばっくれていられればどんなに幸せか。思えば、このしがない憎まれ愚痴社を信用して大勢の方が予約して下さり送金もして下さった。それから既に半年以上が過ぎました。ああだこうだとつべこべ言い訳ばかりの編集長の尻を思いきり蹴飛ばし、時には火を付けたりもして、やっと発行にこぎ着けました。

振りかえれば辛い道のりでした。ようやく現物を手にしたあの感激。読者の皆様に早くお届けしなければ。それがそれが・・・ これだけ待たしたんだから一週間くらい遅くたって・・・とか思っちゃいませんよねっ。言っときますけどね、秘書はいい加減は大嫌いですからね、我が社はちゃんとした会社ですからね、アホウドリだとかウソだとかサギだとかは売ってませんからね。さっさと発送せんかい。

と、秘書が説教垂れてるところへ郵便到着。お葉書に目を通した編集長、いきなり、おっほおっほとゴリラ語を発した。動物園の檻のなかのお友達から御招待が来たのか、おい?!

それは、なんと編集長を講師に講演会をする旨の通知でありました。名を聞けば主催メンバーを聞けば、おお、ちょいとした研究会です。なんかの間違いではありませんか。うちのこんな変酋長みたいな、いや編集長みたいなのがそんなとこ行っていいわけありません。なんかの間違いです。

本当でありました。

さあ、それから調子に乗ったこの御仁が何をのたもうたか。「よし、この案内も入れて発送しよう。間に合ってよかった。」だって。なら、はやく案内の文案作らんかい。