送信日時 : 2001年 5月 9日 水曜日 8:32 AM
件名 :[pmn 14731] 伝説を創るノンフィクション作家?
『日本経済新聞』は日曜日の「詩歌・歴史・文芸」欄に「マッカーサー伝説/元帥とその妻」を連載しています。さる6日で31回目です。いずれ、一冊の単行本に成るでしょう。執筆者は未知の方、工藤美代子さんで、記事の末尾には(ノンフィクション作家)とあります。
妻、ジーンを中心とした話なので、斜読みしかしていなかったのですが、天皇の地位を決める際、マッカーサー個人の気分で決まったかのような記述があって、これは不都合と、一応、日経の読者応答室に電話しました。
簡単に言うと、1945年8月下旬にワシントンで決定した「降伏後における米国の初期の対日政策」(SWNCC150/3)などに従って、GHQが動いたのであって、天皇の地位に関しては、いわゆる知日派の学者も交えて、かなり前から勝ちを見越した対日政策が練り上げられていたのです。降伏調印は9月2日です。
このことは、およそ歴史家なら、常識も常識、手許の青木書店発行の『日本同時代史』にも、そう記されていますし、その部分の参考文献には、私の押し入れ資料、竹前栄治さんの『戦後労働改革』『GHQ』『対日占領政策の形成と展開』などが明記されています。
私は、歴史家でもなく、ノンフィクション作家と名乗ったこともないのですが、戦後の放送「改革」を調べていたので、これらの著作を読んでいます。
気の毒なことに、この「ノンフィクション作家」は、「伝説」を検証すると称して、新たな伝説を創っているのです。しかも、日経の「詩歌・歴史・文芸」欄担当記者は、その間違いに気付かず、私の電話を受けた「読者応答室」の担当者、当然、記者も、はい、そうですか、伝えて置きますといった調子なのです。
確か、『歴史は夜つくられる』という題名のフランス映画を思い出しました。この程度の間違えだらけの知識を振り回して、教科書問題を議論されたら、もう、収拾がつきません。
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