西岡昌紀医師から渡辺武達教授へのメッセージ 差別迫害は明白

「ガス室」神話に関する記事への民衆のメディア公開論争

 解説:木村愛二

 [pmn(メール番号不明)]で渡辺教授の創価学会系雑誌『第三文明』(1998.9)「『ナチ〈ガス室〉否定と『歴史修正主義』の虚妄」の全文が流されました。

 そこには私自身の「ガス室」問題に関する文章への直接の言及はなくて、具体例としては廃刊事件の『マルコポーロ』記事のみを攻撃材料にしているので、同記事の執筆者の神経内科医師、西岡昌紀に伝えたところ、短くまとめた反論が送られてきました。

 以下、「文責は100%私にあります」という添え書き付きの「インターネット用原稿」を、漢字の数字を横書き向きのアラビア数字に直したのみで、他はそのまま送ります。


渡辺武達教授へのメッセージ

謹啓

「第三文明」1998年 9月号の貴殿による記事を拝読致しました。「マルコポーロ」廃刊事件の当事者として、そして「アウシュヴィッツ・『ガス室』の真実」(日新報道、1997年)の著者として、以下の諸点を指摘させて頂きます。

1、貴殿の記事は、私や木村愛二氏が、ナチスドイツのユダヤ人迫害自体には全くもって批判的な立場である事を何故か明確にしていません。これは全く不当な事であると申し上げざるを得ず、私はこの点については貴殿に強く抗議するものです。即ち、『マルコポーロ』の記事でも、前出の私の著書「アウシュヴィッツ・『ガス室』の真実」でも、私は、ナチスドイツがユダヤ人を差別迫害した事自体は明白であり、私はナチスのそうしたユダヤ人政策を弁護する者ではない事は、再三明確にしています。更には、「週刊金曜日」、「創」などの誌上でもこの旨の投書をしているにも関わらず貴殿がこの点を故意にか否かは不明ですが、述べていない事は、全く不当な手法です。

2、その様に、ナチスドイツがユダヤ人を差別迫害した事自体は明確に認め、批判した上で私が異議を唱えているのは、今日のいわゆる「定説」が主張する以下の2点です。

(1) 第二次世界大戦前又は大戦中、ドイツは、ユダヤ人をユダヤ人であるというだけの理由で「絶滅」しようとした。………「絶滅」である。

(2) その「ユダヤ人絶滅」の目的で、ドイツは、ヨーロッパの数ヶ所に「絶滅収容所」を作り、「ガス室」による大量殺人を行った。

3、私が、今日まで「定説」側の歴史家やマスメディアによって「真実」とされて来た上の2点に異論を唱える理由は後述しますが、その前に指摘しておきたいのは、特に、上の (1)が、シオニズムの正当化につながる主張だということです。即ち、「ドイツは、あの大戦中、ロシア人も殺したし、ポーランド人も殺した。しかし、『絶滅』の対象とされたのは、ユダヤ人だけだった」というのが、上の (1)の政治的意味なのであり、これが、ナチスの批判というポーズをとったシオニズムの正当化である事に、日本の知識人は、あまりにも無頓着であったと私は考えています。あなたもそうでしょうか?

4、繰り返しますが、ナチスドイツが、ユダヤ人を差別迫害した事は明白です。しかし、そのナチスドイツと言えど、ユダヤ人をただユダヤ人であるというだけの理由で「絶滅」しようとしたとする「定説」あるいはシオニスト側の主張には全く証拠が存在していません。(後述)

  「マルコポーロ」1995年 2月号の記事及び前出の自著の中で、私は、ナチスドイツは確かにユダヤ人を差別し、アウシュヴィッツ等の収容所に収容したが、その目的は、これまで言われて来た様にユダヤ人を「絶滅」する事ではなく、実は、対ソ戦に勝利した後、ヨーロッパの全ユダヤ人をロシア等に強制移住する為の準備であった、と論述しています。そして、その様な戦後のユダヤ人強制移住計画(それは不当な差別政策であり、私はその様な政策は全く支持しません)が、しかしながら、ドイツの敗退によって頓挫した結果、収容所の衛生状態が戦争末期の混乱によって悪化し、チフスの爆発的な発生を引き起こし、多くのユダヤ人の悲劇的な死につながった事を私は論述しています。貴殿が、私のこうした見解に異議を唱えるのであればそれは貴殿の自由ですが、その前に私の見解が上の様なものである事を読者に正確に紹介するべきではないでしょうか?

   この点、貴殿の記事は、大学教授によるとは思えない程不公正(アンフェア)な物です。

5、上の様な私の主張には、多くの論拠が存在します。それらは、前出の自著「アウシュヴィッツ・『ガス室』の真実」(日新報道)に、詳細な資料リストと共に述べられていますので、貴殿には必ずお読み頂きたいと存じますが、その一部を挙げれば以下の様な物です。

(1) 戦後、これだけ「ドイツはユダヤ人絶滅を企てた」と言われて来ながら、当時のドイツ政府(又はヒトラー)が、その様な事を計画、命令した事を示す文書は一枚も発見されていない。

(2) 「ユダヤ人問題の最終的解決」という言葉は、戦後連合軍が押収したドイツ政府文書に確かに見られるが、良く読むと、この語はユダヤ人の強制移住計画を指す語として使われており、「絶滅」を意味してはいない。

(3) 又、当時のドイツが、「ユダヤ人絶滅」計画などの為に全く予算を計上していない事をヒルバーグ等の「定説」側歴史家自身が認めている。

(4) 戦後、これだけ「ドイツはガス室で大量殺人を行った」と言われて来ながら、その「ガス室で殺された死体」は一体も解剖によって確認されていない。これも「定説」側の歴史家ヒルバーグが自ら明言している事である。

(5) アウシュヴィッツ等でソ連軍が押収したドイツ側文書の中に「ガス室」の設計図は結局見つかっていない。これは、「定説」側の研究者プレサックが認めている。

(6) 「ガス室大量殺人」に関する「定説」の主張には、科学的に不合理な内容が余りに多い。ほんの一例だが、トレブリンカ等の収容所には「ディーゼル・エンジンで一酸化炭素を発生させるガス室」が有り、大量殺人に使われたとされているが、ディーゼル・エンジンの特長の一つは、一酸化炭素を極めてわずかしか排出しない事であり、余りにも不合理である。

(7) 連合国は、戦後の戦犯裁判の陰で、ドイツ人被疑者に拷問を加えて「自白」を得ており、これらの「自白」は信用しがたい。

(8) アウシュヴィッツほかの「ガス室」が有ったとされる収容所に入れられていた元収容者(ユダヤ人など)の中には、実は、「ガス室」や「大量殺人」に否定的な証言をする人々が少なくない。

(9) 「ガス室」を目撃したと主張する元収容者の中には、自分の「証言」を後に追及され、撤回した人物がいる。

6、論拠はまだまだ有りますが、それは、前出の自著「アウシュヴィッツ・『ガス室』の真実」(日新報道)にゆずります。なお、私のこの本を出した出版社日新報道は、かつてあの藤原弘達著「創価学会を斬る!」を出版した、「あの」出版社です。

 末筆となりましたが、貴殿のますますの御活躍を期待致しております。敬具。

 1998年 9月 8日(火)     西岡昌紀(内科医)

連絡先・ファックス(03)3431-9564日新報道気付

 以上。


3の丸:渡辺教授公開質問と応答に戻る