※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『亜空間通信』881号(2004/10/25)
【10月27日午後1時15分~東京高裁813号法廷、小泉レイプ事件控訴審の判決へ裁判官忌避の書面】
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
このところ超多忙、1ヶ月に3回の裁判が2ヶ月も続くと、その広報もままならない。わが電網宝庫には、一応、以下の日程を発表している。
■10月27日午後1時15分~東京高裁813号法廷、
地裁敗訴の小泉レイプ事件控訴審、判決
この判決言い渡しを目前に控えて、10月22日に、法的な手続きとしては異例であるが、あまりに酷い訴訟指揮なので、やり直しを求め、それを受け入れなければ、裁判官の忌避を主張するために、以下の準備書面と証拠を提出した。書面を提出して置けば、最高裁に上告する際、最高裁にも渡るのである。
2004(平成16)年(ネ)4062号 名誉毀損・損害賠償請求控訴事件
準備書面
控訴人 木村愛二
被控訴人 小泉純一郎
2004(平成16)年10月22日
東京高等裁判所第15民事部 御中
2004(平成16)年(ネ)4062号 名誉毀損・損害賠償請求控訴事件
準備書面
控訴人 木村愛二
被控訴人 小泉純一郎
2004(平成16)年10月22日
東京高等裁判所第15民事部 御中
本件、控訴審の審理は、手続き違反が甚だしいので、最初から、やり直すべきである。
本件では、本年、9月22日、第1回口頭弁論で、原告の発言中に、裁判長が何やら叫び、原告にも傍聴人にも、その発言の意味が、まったく分からなかったのであるが、後刻、書記官に問い合わせたところ、結審、10月27日に判決言い渡しと、調書に記載しているとのことであった。
原告の発言についても、裁判官の発言についても、調書には、一切、記載がないとのことである。
控訴人が提出した証拠の認否も行われていない。
被控訴人は、準備書面を提出し、まったく口頭では述べていないのに、陳述の扱いになっているが、その文面は、以下のごとくで、まったく、原告が提出した控訴理由書の具体的な記載事実にたいする反論にはなっていない。
控訴人の控訴理由書に記載された内容は、いずれも控訴理由とは言えず、それ自体失当である。
すなわち、控訴理由書に記載されている内容は、要は、「原判決が控訴人の主張を認めないことは許されない」ということに尽きるものであり、控訴の理由のあることを裏付ける何らの法的主張はない。
控訴人は控訴理由書で、具体的な証拠を挙げて、詳しく述べたが、個別的な事実に対する具体的な反論は、全くないのである。
以下、とくに主要点のみを抜粋する。
「原判決における不当な政治的訴訟指揮と手続き違反」
原判決は、前後の事情から判断して、立法府の選出による行政府の長を庇うため、最高裁の強権発動により、突如、結審、原告の請求を棄却する判決の言い渡しの手順に、飛躍したものであり、およそ、司法、立法、行政の三権における司法の役割を放棄し、法治国の基礎を揺るがすに至る政治的犯罪行為であり、司法の自殺行為と断罪せざるを得ない。
被控訴人は、6月10日、69歳の長老、平野貞夫議員の質問に答えて、「よくもこうも全くでたらめな問題が提起される」、「よくもでたらめの裁判を起こす人がいるなとあきれている」、「でたらめそのものなんだから」などと、新たな名誉毀損の発言を繰り返した。しかし、被控訴人の方から控訴人への名誉毀損の訴えを起こす気はないとの意思表示をした。
控訴人は、このような状況から判断して、すでに6月10日の内に、原審が政治問題化し、立法府、行政府の司法府への隠密作戦が、最高裁の強権発動により、強行されたと判断するのである。
以上のような最高裁の強権発動の直接的な結果は、第2回口頭弁論の期日において、被控訴人が提出した準備書面に対する控訴人の反論の機会を奪い、すでに提出されていた甲号証の認否の手続きも行わずに、いきなり、結審を宣言するという決定的な手続き違反となったのである。
以上のような次第で、原判決には、事実の認定と、控訴人の訴えの根拠についての認識に重大な誤りがあり、その結果、被控訴人の違法性を否定して、控訴人の請求を棄却するという不当な結論にいたっている。よって、原判決を破棄の上、控訴人の請求を認容するよう求める。
なお、原告は、本準備書面と同時に、原告の著書、『最高裁長官殺人事件』の一部の写しを書証として提出するが、この著書は、フィクションであるものの、司法を巡る暗闇の実情を踏まえたものである。
以下は、元検事の作中人物、陣谷益太郎に関する部分のみの抜粋である。
「この先をお話しする前に断わっておきますが、実は私、すでに陣谷さんに呼び出されました」
絹川は両眉を上げて目をむき、とぼけ顔。一同の顔は反対にサッと引き締まる。
陣谷益太郎。現職は弁護士であるが、それ以前の最高位は最高検次長だった。絹川にとっては、東京地検特捜部の大先輩である。東京地検特捜部の前身は戦後に設置された隠退蔵事件捜査部であるが、陣谷は、その発足以来の検事だった。当然、その種事件に関しては勘も鋭いし、各分野に特殊な人脈を持っている。
だが、陣谷の影響力の秘密は裏舞台だけのものではない。日本弁護士連合会、略称〈日弁連〉では副会長であり、常に少数派の落選会長候補でもあるのだが、その少数派がくせものだった。
東京には地方弁護士会が3つある。老舗の東京弁護士会、そこから分裂した第1弁護士会と第2弁護士会である。そのうち、第1弁護士会は、裁判官や検察官のOBの比重が一番高く、右派の傾向が強い。司法資格を持つ裁判官や検察官は、定年や途中退職ののち、ほとんどが弁護士に転業する。弁護士は弁護士会への加入が義務づけられており、弁護士会への入会から、さらにはお得意の確保まで、先輩の引きによることが多い。勢い、第1弁護士会は、現役の裁判官や検事に対しても根強い影響力を持つ。陣谷は、その第1弁護士会の会長として、日本弁護士連合会の最右翼勢力を代表しているのである。
[中略]
検事総長から電話がかかってきた。
「陣谷弁護士が至急君に会いたいそうだ。一緒にパーティーに出てもらえんだろうか」
言葉遣いこそ丁寧だが、実際には有無をいわさぬ命令口調である。パーティー会場はホテル新世界の芙蓉の広間だという。
冴子は会場に着くなり陣谷を目で探した。話が済み次第、様子を見て適当に抜け出すつもりだったのである。陣谷は舞台横手で、憲政党の幹部連中や法務大臣、法務省OBらと談笑していた。冴子と一緒に会場にはいった検事総長も、そちらを目指して歩き始めていた。冴子は早速、検事総長のお供の風情でつき従い、陣谷たちに近寄った。
陣谷は冴子に目を止めて軽く会釈したが、すぐには動かなかった。冴子も周囲の顔見知りにひとわたり愛嬌を振りまいた。主客の清倉誠吾も姿を現わし、冴子にウインクを寄越した。冴子が応えてニッコリ笑ったとき、背後から軽く肘をつっ突かれた。振り向くと陣谷が立っていた。普段から底知れぬ感じの不気味な老人なのだが、このときは特に、冴子でさえ一種異様な圧迫感を覚えるものがあった。
「いやあ。相変わらずお美しい」聞き馴れた台詞が、いかにもわざとらしい。
「お上手、お上手。その手には乗りませんよ」
「なにを、なにを。人の言葉は素直に聞かなくっちゃ。私も是非一度、ダンスのお相手をお願いしたいと思っているんですが、生憎と、こういう野暮な演説会ばかりで残念です。ウハッハハ……。空手の方はどうですか。上達しましたか」
「はいはい。すでに凶器の登録済みですから、ご用心ください」
「怖い、怖い。いよいよ名実ともに巴御前ですね。そのうちに、日本のサッチャーは空手5段なんてニュースが拝見できるのかもしれませんな。楽しみにしてますよ」
「ご冗談ばっかり」
「ところで、あなたにお見せしたい本がありました。ちょっとあちらに……」
陣谷は有無をいわさず目で冴子を促し、会場脇の扉を押した。廊下のソファに冴子を座らせ、自分はクロークから本を1冊取ってくる。部厚い英文の法医学書であっ
た。
陣谷は冴子の隣に座って本を広げ、さも本の中身について話しているような芝居をする。冴子も調子を合わせ、笑顔を絶やさないようにした。本のページの上で陣谷の両手の指がしきりに動くのが、重々しい言葉遣いとは裏腹の、心中のあせりを表わしているようだった。
「先日も絹川君に注意したんですが、お耳に達しましたかな」
「はい」
「先ほど、警視総監から弓畠長官のご最期の状況についての報告をいただきました。あなたが見事に処理をされたそうで、ご苦労さまです。残る問題は、なにかがヴィデオ・テープに収録されたという可能性です。内容如何で危険なことになります。ヴィデオ・テープを確実に押さえると同時に、その存在については秘密を守れるメンバー以外には絶対に漏れないようにすること。これ以上はいいません。ほかのメンバーにも徹底させてください」
「はい。分かりました」
[中略]
冴子は、陣谷の態度や会話の内容を、できるだけ正確に伝えようと努力した。
陣谷の話は聞いた直後に反芻し、念のためトイレにはいってメモまで取っておいたのである。冴子はこの際、細かいニュアンスが重要だと思っていた。陣谷は《お庭番》チームの協力を必要としているが、詳しい事情を告げるつもりはない。冴子がそういうと、
「つまり、マスターズ・ヴォイスに乱れあり、という状況ですね」絹川がニヤリ。
「しかし、問題は、我々も危険な仕事を請け負う以上、事態を正確に知る必要があるということ。肝腎な点は知っておかないと、余分な危険を冒すことになりますよ」
「私にも予感があるんです」と智樹。「弓畠耕一の個人的なスキャンダルの裏側に、生アヘンをめぐるさらに大がかりな長期にわたるスキャンダルが見え隠れしている。連鎖反応を恐れる連中がいる。陣谷さんが動くということは、最高検OBも関係してい
るということでしょう。しかし、それだけでしょうか。司法関係は決して権力の主流
ではありません。もっと強力な組織が背後に隠れているような気がするんです」
「そうなのね。でも……」冴子が首をかしげる。「私が陣谷さんから受けた感じは違うのよね。昔のアヘン謀略の古傷に触れられたくないとかじゃないの。あの人の雰囲気には、たった今、自分が人を殺してしまったみたいな絶望感があったのよ。ほら、法廷で殺人犯から受ける感じがあるでしょ、あれよ。……それに、陣谷さんの名前は、今までのアヘンの話には出てこないでしょ。たとえ当時の地検の隠退蔵事件特捜部の立場で関係していたとしても、あれだけの古狸がなんの物的証拠も残っていない昔話だけで舞い上がるとは思えませんわ。マスコミ対策だって、結構お得意なんですから」
「うん」絹川も細い首を振る。「私も今になって、そんな気がしてきた。陣谷さんの動きは最初から早すぎたし、私に対しても、いつになく強圧的だった。うん」
[中略]
陣谷弁護士が黒紋付の羽織袴という出で立ちの老人を、いかにも畏まって案内してきたのである。老人の特徴は衣服だけではなかった。長く後ろに垂らした総髪と口ひげは真っ白。わずかにねずみ色が混じる眉毛は、ひさしのように垂れている。見るからに相当な高齢である。しかし、背筋を真っ直ぐに伸ばしたままで腹を突き出し、1歩1歩、タンク型の小肥りな身体を前に進める。眼光には山猫を思わせる鋭さが残っている。
「何者ですかね」と智樹。
「知りませんが……」と小山田。
老人が着席したのは友人知人席の最前列中央通路側であった。
それまでその席に座っていた白髪の律義な感じの男は、あらかじめ席を確保する役だったらしく、陣谷が肩に手を触れるとすぐに立って席を譲った。
[中略]
陣谷さんと一緒に大日本新聞の正田社長がぴったり脇にくっついていた。
[中略]
告別式の会場の中であの老人につき添っていたのは、陣谷弁護士と大日本新聞の正田社長の2人だけでしたね。
[中略]
陣谷弁護士からの極秘情報だと断わって、智樹らの秘密グループの活動状況を道場寺に伝えていた。〈明日が告別式だが、最高裁の弓畠耕一長官の失踪、死亡には謎がある〉〈ヴィデオ・テープを撮られたらしい。足がつく恐れがある〉といった調子である。
「憲政党の下浜安司、清倉誠吾、江口克巳、都知事の筋沢重喜、大日本新聞の正田竹造、弁護士の陣谷益太郎……。この連中は見逃しますか」
[中略]
「検察庁の線は警察よりもガードが固いんじゃありませんか」小山田が深刻な顔。
「OBの清倉、陣谷、あの2人が現役の人事権をガッチリ握っているそうだし……」
[中略]
今度名が出ている中では、陣谷弁護士が東京弁護士会の会長選挙で選挙資金を受け取っている。正田竹造もテレヴィのネット局買収で世話になっている。まさに一蓮托生ですね。
[中略]
陣谷弁護士、下浜安司、江口克巳……そのあたりはまだ生き残りの現役だ。
[中略]
「昨日から今朝にかけて、陣谷先生がシャカリキで連絡を取られたようですわ」
冴子がシャンパンをおいしそうに飲みほしてから、涼しい声を響かせた。「マスコミ関係は大日本新聞の正田竹造さんが押さえる。警察関係は下浜安司さん。政財界は江口克巳さん。皆さん、自分の名前が出ては大変ですから、それはそれは積極的でした」
元検事で悪徳の名の高い弁護士が被控訴人の代理人となって、裁判所を脅かし、最高裁判例を振りかざしているのが、本件の原審、及び控訴審の実情である。事件の重要性と緊急性に鑑み、直ちに、やり直すことを求める。
以上。