「学生YMCAの夏期ゼミに参加して今思うこと」 社会事業大学 原 恵里子
夏期ゼミから早3、4ヵ月たったが今思い返してもすげー経験だったと思う。濃かったなあという気持ちと新鮮だったなあという気持ちで一杯だ。何がそんなにすごかったのか。まるで怒涛の3日間で、悩みの中に沈んでいたような感じ。
その悩みとは、夏期ゼミのテーマそのものの「Are you ready? こわす関係 つくる関係 そして始まる私の関係」で、人間と人間の関係性の悩みだった。私の人とのつきあい方がそのまま今回の夏期ゼミに反映され、それに対して聖書研究講師のゆりさんは気付かせてくれた。また、一緒に参加していた人達も、同じように人と自分との関係をゆりさんに気付かされ同じように悩み続けた。私は一人では悩まなかった。多くの人と一緒に悩んだ過程があってはじめてこの夏期ゼミが私に強い印象を残しているのだと思う。
夏期ゼミという場ではプログラムの最後にそれぞれが考えたり感じたことをグループで劇にするスタンツというものがあり、その時ゆりさんがあるセリフに怒り、そのことをスタンツ終了後に感想として伝えてくれた。ゆりさんが怒ったことを考えない訳にはいかないと感じている人が多かったので、次の日の閉会礼拝を作るメンバーはゆりさんが怒ったことと、じゃあ、自分はどうだったのかを考えていった。私のいたグループは意図的に同性愛の内容を取り上げなかった。私はゆりさんを傷つけることになることを恐れたからだけれど、多分彼女を傷つけることによって私が傷つくのが怖かったというのが一番の理由だろう。
対話は一人では成り立たない。ゆりさんが自分の性について多くの人の前で話したことはとってもしんどかっただろう。多分傷つくことも本当に多いと思うが話してくれた。拒否されるのは辛いけれど何も反応が無いのも辛いだろう。なのに私は答えようとしなかった。そのことに気付いたのはゆりさんが怒り、そのことを閉会礼拝のメンバーと考えていたときだった。いつも人と衝突することを逃げている自分の姿が浮き上がってきた。
また、私にとってゆりさんの生き方は一つのモデルになる。ゆりさんを知って、最初は理解できなくて苦しんだけど、考えれば考えただけ自分だと思っていた「自分」が分からなくなってきて、でももっと生き方の幅が広がって楽になってきたことを、3ヵ月たった今思う。
夏期ゼミって本当に不思議な場だなあー、と感じる。一人では考えないであろう事を多くの人と考えることができ、また自分自身が問われ、他の人を問う。苦しさの中に、やっぱり楽しさがある。その楽しみは、価値観の幅の広がりとその場を共有する人達との出会いだと思う。ま、今年はしんどかったけど行ってよかったなー、と思える夏期ゼミでした。