世界&アジアYMCA同盟 常務委員会報告など 森永 希さん (世界YMCA同盟常務委員) |
<2001年12月 学生YMCAメーリングリストよりの転載> お久しぶりです。森永です。 この度、世界YMCA同盟ユースフォーラムに出席してきました。 何回かにわけて報告を出します。 主催:世界YMCA同盟 日程:2001年11月14日 - 11月28日 場所:南アフリカ ケープタウン 参加者:39名 28カ国 日本参加者:篠澤みほ子(東京Yスタッフ) 森永希(九大Yシニア) フォーラムは、3つのモジュールから構成されていました。 Module 1 Community Building Module 2 Social Analysis Module 3 Issue Oriented Groups - Peace - HIV/Aids - Youth Unemployment Action Plan and Evaluation それぞれ報告していきます。 Module1 Community Building このモジュールには、2つの側面がありました。ひとつは、私たち参加者のコミュニティーを作る事、もうひとつは、抑圧された人々が声をあげるために作ったコミュニティーに学ぶ事です。 目次--------------------------------------- 1. 私たちのコミュニティー a 自己紹介 b グループ決め c ファシリテーターグループ d エリアグループ e 基本ルール f 目的と目標設定 2. コミュニティーに学ぶ a MIZAMOYETHU b Apartheid -------------------------------------------- 1. 私たちのコミュニティー a 自己紹介 まず、模造紙に自己紹介と自分の国(地域)の紹介、自分のYの紹介を書き、壁に貼り、全員の前で発表しました。それと同時に、壁に大きな世界地図が貼ってあり、出身地に名前と都市名を記していきました。この世界地図は、他の参加者との会話を促し、相手の事に想像力を膨らませる事ができ、いい企画だなと思いました。 自己紹介では、もちろん学Yの紹介をしたわけですが、「今、日本の学生に差し迫っている問題は何ですか?」という質問を受け、「若い人の失業」と答え、国立大学卒業生の近年の就労状況についてと、20代の失業者数が他の世代と比べて倍近く高い事を伝えました。 b グループ決め これからのフォーラムの基本となるグループを地域バランスを配慮しながら決めました。しかし、他の人とも多く話したいという意見、またファシリテーターの都合上などもあり、このグループはあまり活用されませんでした。 c ファシリテーターグループ これからのフォーラムを中心となって作っていくグループが、地域バランスを考えて作られました。 d エリアグループ エリア(ヨーロッパ、アジア太平洋など)は問題が分かりやすく似ているため、また空間的に近いため、様々な問題を話す時に基本となるエリアグループの確認がありました。もちろん日本はアジア太平洋地区です。またアジア太平洋地区は、9月に東山荘で行われたアジア太平洋ユースフォーラムの宣言文をもとにして、話し合いを進めました。 e 基本ルール このコミュニティーの基本ルールが、作られました。キーとなったのは、 1)Respect Others 2)Communication 3)Conflict Resolution 4)Community Building です。 f 目的と目標設定 このユースフォーラムの目的と目標を参加者の立場から設定しました。 目的 世界的にユースに影響を与えている問題や障害を克服するために、精神的、感情的、社会的、文化的に交流しながらYMCAユースリーダーの持続的コミュニティーを創る。 目標 世界に対する幅広い理解を得る ユースとしての私たちの能力と責任を強める 個人的、国際的な関係と友情を楽しむ 肯定的なユースアクションの基本をつくる 2. コミュニティーに学ぶ a MIZAMOYETHU これは、「力をあわせた闘争によって私たちは達成する」という意味で、いわゆる“不法占拠”をしているスラムに住む人々の生存権に関して運動している団体です。 この代表者の方に話を聞いて、この地区を訪れました。この代表者の英語の訛がひどくて、あんまり何を言っているのか分かりませんでしたが、このスラムには少なくとも1万人が住んでおり、他のアフリカ諸国からの移住労働者も多くいるとの事でした。団体は、ユースや孤児のプログラム、職業訓練を行っていると言う事でした。 訪問したスラムでは、教会があり、みんなで楽しく踊っていました。ほかに、学校などもありました。家のほとんどは貨車のようなものでできていました。売店などもたくさんあり、プールバーなどでは、たくさんの人が昼間から酒を飲んでいました。やっぱりコカ・コーラもみんな飲んでました。悲惨な状況でした。 また、立派な外車も止まっており、これはスラム外に住む人がスラム内で商売をするために来ているんだと言う事でした。 b Apartheid Siphoさんという牧師がみえて、反アパルトヘイト運動を教会がどのように率先していったのかという話をされました。 アパルトヘイトとは1940年代から始まった南アフリカの人種隔離政策で1994年まで続きました。これは、それぞれの文化保存という名の下に推進されていったそうです。 すべてにおいて白人、カラード/アジア、黒人は区別されており、バス、出入口、道路、居住区などから学校や職業まで分離させられていたそうです。アパルトヘイトとはapart + heidというドイツ語からできた言葉で、英語ではapart + classという意味です。 Siphoさんは、自らの経験と教会の運動におけるリーダーシップに関して話をされました。Siphoさんは、黒人の中では裕福な家庭で、高校まで黒人の学校に通ったそうです。そこでは成績もよく、黒人としか話す事もなかったため、アパルトヘイトについてはあまり気にもしていなかったそうです。神学校に入り、白人と同じクラスになって、白人との歴然とした教育の差や社会的差別に気付き、運動に参加したそうです。 Siphoさんは、教会の役割を次のようにいっていました。1)神の民(抑圧された人々)の希望である事 2)正義を模索する事。また、アパルトヘイトではないもうひとつの社会を探る事 3)広報活動 4)預言者的役割。つまり抑圧され、声なき人のために代弁する事。といっておられました。 これは、学Yで詳しく取り上げてもいいかなと思っています。 以上でモジュール1の報告を終わります。 Module2 Social Analysis このモジュールは、グローバリゼーションをひとつの柱として、世界貿易や債務に関して勉強しました。(筆記も多くて、大学生に戻ったようでした。宿題もあった。。。)南アフリカのNGOのAIDC(Alternative Information and DevelopmentCenter)がファシリテートし、特に地元のDonna Andrewsにリードしていただきました。 目次--------------------------------------- 1. 社会分析とは? a. 定義 b. 方法論 c. イメージ 2. 世界貿易とグローバリゼーション a. グローバリゼーションの歴史 b. 反自由貿易の動き c. グローバリゼーションの理論と実体 d. TRIMS、TRIPS、GATS 3. 債務危機 a. 債務はどのようにして生まれたか? b. 構造調整プログラム(SAP) c. 債務帳消し運動 -------------------------------------------- 1. 社会分析とは? a. 定義 Social analysis sometimes focus on isoleted issues. At other time, it focuson the policies dealing with these issues. It might also focus on the economics, social structure of a society and ultimately it reaches beyond issues, policies and social structures to the system in which all of these are interrelated. b. 方法論 次の方法によって社会分析は行われる事が説明されました。 - observation(観察) - clasification(分類) - interrelation(関連づけ) - insight(洞察) - causes (原因) - Hypothesis (仮説) c. イメージ グローバリゼーションと社会分析をイメージするため、3つのゲームがなされました。 1つは、外資工場で働く女性労働者が解雇になり、教会、労働組合、NGO、学生運動などが、どのように働けばよいのかをロールプレイで学びました。 2つめは、グループに別れて、雑誌や新聞からグローバリゼーションをあらわしている記事や写真を切り取り、大きな紙にはって、グローバリゼーションは何かを説明し、質議応答するものでした。 3つめは、貿易ゲームです。 2. 世界貿易とグローバリゼーション a. グローバリゼーションの歴史 1970年代からそれまでの資本主義経済が先細りを見せ始め、資本家はさらなる資本を探していた。それは、過剰生産のための価格破壊と売買の減少、(先進国での)労働価格の上昇(社会福祉保障の必要性などから)、などが原因であった。よって、利潤を増やすためには金融市場の再調整と資本の移動を自由化させることが必要と思われた。そのため、経済生産と社会経済システムの構造改革をもとめ、次のような方策をとった。 1)国際レベル IMFと世界銀行を自由化を押し進めるために利用する (発展途上国の)経済自由化の為に政府やODAを利用する 政治力、軍事力を利用する 2)資本レベル 関税と社会福祉を切り下げる 労働価格を切り下げ、労働市場を再調整する 資源を資本へ再配分する(公的サービスの私有化) b. 反自由貿易の動き 1)先進国政府 関税により自国の資本を守る 発展途上国に関税自由化を求める ダンピング 2)IMFと世界銀行 発展途上国の輸出を促す − 経済成長率の増加のため 無限に生産させる(資源をかえりみない) 輸入の自由化を促す 3)WTO 一部流通の関税引き下げ 貿易中心の編成(国の利潤を考えない) 4)企業 利益重視 c. グローバリゼーションの理論と実体 1)ひとつの世界的経済機構 → 経済発展国の資本が支配する経済機構 2)グローバリゼーションと自由経済 → 地域機構などで自由ではない (EU、NAFTAなど) 3)貿易の自由化 → 先進国は自らを守っている(関税など) 4)多数国の平等な参加 → 必要時のダンピングや経済制裁 5)自由貿易 → 資本によるコントロールされた貿易 6)全生産物の自由な移動 → 労働力や技術までも自由に移動してしまう 7)合理的な市場の自由選択 → 通貨危機 8)自由で独立した市場 → 政策と関連/国のあり方を経済が決めてしまう 9)資本と国家の相互支援 → 政策と資源の間の緊張 10)意見を取り入れた決断 → 排外的クラブの存在(パリクラブ、G7など) 11)民主化とよい政府 → TNCなど政府が管理できない地域の存在 12)相互関係と自由参入 → 貧しい人々は周縁化され、排外されている 13)すべての人へ利潤 → 資本の極部化と貧困化 14)無限の経済成長 → 限られた資源 15)世界的合意 → 内政と外交 d. TRIMS、TRIPS、GATS WTOで決議された新しい協定に関して論文を読み、これらの協定が南の国にどのような影響を与えるか考えました。 TRIMS(Trade Related Investment Measures) 外資がその国の権利を尊重する事なく投資と開発を行える協定。結果、政府は自国の利益を守る事ができない。 TRIPS(Trade Related Intellectual Properties Rights) 利潤を生み出す、その民族独自の伝統文化や生活に関わるものを資本に取り入れられることを許す協定 GATS(General Agreements of Trade in Services) 労働市場/流出入を目的とした協定であり、発展途上国の労働者の搾取につながる。 これは、経済発展国の労働市場も脅かす。 3. 債務危機 債務はどのようにして生まれたか、また債務帳消しの運動を簡単に話していただきました。 a. 債務はどのようにして生まれたか? 債務は、植民地支配の産物である。 1)植民地であったため、発展できなかった 2)1970年代の経済危機 3)内戦(植民地支配を引きずった国のあり方) 4)単一作物/資源 b. 構造調整プログラム(SAP) 構造調整プログラムが求めている事 1)輸出中心の経済 2)平価の切り下げ 3)政府支出の引き締め 4)貿易の自由化 5)公的サービスの私有化 6)完全雇用ではなく、労働の不安定さ c. 債務帳消し運動 ジュビリー2000/ジュビリーサウスの運動を皆で検証した後、どのような運動を私たちは推進していこうかという話をしました。 - グローバリゼーションに関する勉強会 - はっきりとした目標をたてる - 協力団体や教会と協力する - インターネット上で情報を集め、広報していく このモジュールは以上です。難しかったし、よくまとまっていなくてごめんなさい。 Module3 Issue Oriented Groups このモジュールは、参加者の興味に従って3つのグループに別れて行われました。 私は、PEACEに入りました。 このワークショップでは、仲介者としてどう働くかということを柱に、平和教育のリーダーを育てる目的の下行われました。平和運動を行っている、Olivia MartinとAlyn Ware さんがファシリテートしてくれました。 目次--------------------------------------- 1. ゲーム 2. 感情の制御 a. 怒り b. 衝突を克服するために c. 仲介のプロセス 3. 非暴力と法律 a. 国連の働き b. 非軍事的方法 -------------------------------------------- 1. ゲーム 様々なゲームがされました。また、ビデオや瞑想の時間もありました。それらは、のちのち紹介します。 2. 感情の制御 a. 怒り 自らの怒りをどう調節するかという話がありました。 1)時間を置く 2)肯定的な発言をする 3)自分の価値観を整理する 4)アクションプランをたてる b. 衝突を克服するために 1)自分の考えや感情を言う 2)状況を説明する(youを使わないで) 3)自分の考えの理由を説明する 4)自分に何が必要かを述べる c. 仲介のプロセス 1)仲介する事を了承してもらう 2)仲介のルールを了承してもらう - 名前をきちんと呼ぶ事 - 同時に多数の人が話さない事 - 両者にとって了承できるゴールを見つける事 - 誠実に対応する事 3)それぞれの人に、何が起こり、どう感じているかを話してもらう 4)(3)を整理する 5)それぞれの人に、どのような解決策があるか聞く 6)解決策を整理する 7)了承した事を確認する 8)時間がたった後、再度確認する 3. 非暴力と法律 非暴力の方法でどのように解決できるのか、国連などの世界機構を例にして話されました。 a. 国連の働き 1)戦争回避 2)非軍事的方法で軍事的衝突に介入する 3)何が起こっているのか、起ころうとしているのか調査する b. 非軍事的方法 1)調停 2)交渉 3)仲介 4)仲裁 5)裁判 - ICJ(International Court for Justice) ICC(International Criminal Court) 6)平和維持活動 7)経済制裁 まあ、このような事が話されたわけですが、私としてはひとつのケーススタディーもなく、平和平和と言っているこのワークショップには疑問が残りました。確かに、平和は大事だと思い、人権を守るために働く事が決まりましたが、スリランカからの参加者は、かなり不服のようで、私の国の問題をどう取り上げてくれるのかと言い放つ場面もありました。(それに関しては、宣言文をつくる事になりましたが。。。) どこかみんな、紛争から一歩ひいて考えていて、違和感が残るものでした。世界的に平和を考えるという事は難しい事ですね。ひとつひとつの紛争に身をおいている人たちは、それがすべてですし、簡単に他の例を参考にしたり、他の考えを受け入れる事はできません。ひとつひとつに固有の問題があるのだと思います。それを、身につまされて、考えました。 資料はたくさんもらったので、国際平和運動関係の資料が欲しい人は、問い合わせて下さい。 まとめでは、個人的な振り返りとともに、アクションプランが策定されました。 個人的に 1)報告会をしていく 2)アクションプランにそって協力していく アジア太平洋地域において 1)アジア太平洋同盟のユースアクションプランと協力して、各国のYMCAに世界ユースフォーラムの要請を伝えていく 2)アジア太平洋同盟のユースメーリングリストに報告する 3)アジア太平洋同盟のホームページと世界ユースフォーラムのホームページをリンクさせる 4)世界ユースフォーラムで関わった問題をアジア太平洋同盟のユース委員会でとりあげ、さらなるアクションプランをつくる 世界規模で このコミュニティーを持続していくために、 1)メイリングリストをつくる 2)ホームページをつくる 3)世界同盟の冊子にニュースレター的に情報を載せあう 宣言文は、電子資料でまだもらっていません。 かなり長いので、今打ち込めません。。。 電子資料でもらったら、すぐに転送します。 長かったですけど、一連の報告終わります。 お疲れさまでした。 ●昨年の希さんの報告、一部はこちらです。 |
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