VOW特集 「渡辺和子さんを偲んで」


No.224 (2001.9.4) から

渡辺和子さんへの手紙


川端里奈

 

 もう2年になるのですね。お母様のご葬儀からのその足で離婚例会に来てくださったあ なたが、いままでになくはっきりとした口調でご自分の生い立ち、そして前夫からの暴力 被害体験を包み隠さず話して下さってから。

私はあの例会を行うまでに、かなり躊躇していました。私の目からはおっとりと月えて いたあなたが多くの女性達を前にして本当に口火を切ってくださる勇気があるのかどうか 不安だったからです。でも、例会が進むにつれて参加者各人が自分一人の問題ではない のだという連帯感が生じるくらいあの日は充実していました。3次会までいってもまだ交 わす言葉が尽きない多くの女性たちを見て、私は本当にこの例会であなたに話していただ いて本当に良かったと心から思いました。

また、あの例会案内を見ても来ることが出来なかった女性たちとも私は電話や手紙を通 じて知り合いになれました。その数は10人以上にのぼっています。彼女たちはそういう 会に参加することすら恐ろしい、また外出することすら困難な女性たちでした。しかし、 彼女たちと何度も何度も電話や手紙のやりとりを経て、彼女たちのほとんどは多くは2年 たった今、離婚することができました。その中で、私自身、自分が育ってきた環境や、今 まで選び取ってきた事実婚の生活を見直すいいきっかけになりました。

そして何よりもわかったことは、「私たちの活動はこれからが正念場なんだ」というこ とです1女性はまだまだ力なんかもってはいない。ほとんどの女性は何の力も持たされて いないのに、もう女性運動なんか必要ないかのような論調で来る男たち(一部の女たち) と渡り合っていかなければいけないんだ。そして、例会に来るようなことすら今まで考え て来なかった人達と連帯していける方法を摸索しなければならないんだ」と。

 あなたの蒔いた種はあちこちで育っています。どうか天国でもその行方を見守っていて くださいね。