VOW特集 「渡辺和子さんを偲んで」


No.220 (2001.4.3) から

「渡辺和子さんを偲んで」を読んで


青木利子

 

 VOW NO.218,219が手許に届いてから心の中でざわわ、ざわわして落ちつきませ んでした。昨年12月26日に松本澄子さんから渡辺さんの訃報を戴き、弔電を打 つだけでいいのだろうかとずーと思っていたからです。日本女性学研究会の多くの 人たちに影響を与えた渡辺さんから私も影響されたくて、手許にある年報を読み直 すことにしました。そしてホームページの渡辺さんの笑顔から、やっと私の中でゆ っくり発酵し輪郭ができました。

渡辺さんがアメリカで闘病しながら積極的な 活動をしていることは、松本さんからお聞きしていましたが、渡辺さんの「生」に対す る姿勢に真摯な衝撃を受けました。
また、VOWWW談話室の書き込みから、私も 一度お会いすることができていたことが解かりました。1999年11月29日に 初めて、ドーンセンターヘ行き『女性学年報』20号発刊記念パーティーに私も参 加していたからです。自己紹介があったのですが、上がっていた私には上野さんの 近くに座っていた方だろうと想像するのみで残念です。

 私の手許にある8冊の年報から渡辺さんの寄稿文を拾い出して見ました。
第11号年報 アメリカ・フェミニズムのゆくえ −第4回学際的国際女性会議とパークシャー女性史会議から−
第17号年報“ロマンティック・フレンドシップ”オルコットのアダムス・エデン
第18号年報 座談会 『女性学年報』って何!?−歴代編集委員 大いに語る−
第19号年報 海外情報 米国におけるセクシュアリティをめぐる二つの会議 −「全米女性学会」と「セクシャル・ハラスメント社会学者会議」に参加して−
第20号年報 第7回国際学際女性会議「ウィメンズ・ワールド‘99」の報告
第21号年報 北京+5国連特別総会「女性2000年会議」「成果文書」そしてNGO

 中でもオルコットの『若草物語』は私も十 代の頃読みましたが、渡辺さんの論文 からジェンダーの視点分析を学びました。「10代の女性向けに書かれたために女 性向けの教訓がちりばめられている。」にすっかり嵌っていた自分であったと再認 識しました。「ロマンティック・フレンドシップを結婚より理想的な女の生き方と して描こうとした姿勢は評価されるべきであろう。」とまた「家父長制に対して、 女同士の親密な関係の表現は一つの挑戦となるからである。」と結んでいることは 日本女性学研究会の存在に通じるものと思います。

 そして、第21号年報の「女性2000年会議」「成果文書」の活き活きした文 章は、私が会場にいるような臨場感で読みました。国際会議の情報も届きにくい地 方の私に女性2000年会議の成果文書が刻々と変わり、女性たちが食事の時間や 睡眠を惜しんで、リアルタイムで情報提供していたようすが、テレビ中継のように 伝わってきました。今回資料の再構築で私のように直接お話する機会を持てなかっ たとしても、年報や書籍からいつでも渡辺さんは答えてくれるのだと思うことがで き、勇気も戴きました。心からご冥福をお祈りいたします。