VOW特集 「渡辺和子さんを偲んで」


No.218 (2001.2.5) から

和子さん、ありがとう

松本 澄子

SUMIKO wrote:2000年12月28日2時7分<∨OWWW談話室への書き込みより>

渡辺和子さんは逝ってしまわれました。
フェミニズムの朋友、渡辺和子さんが、クリスマスの25日、亡くなりました。

こういうところへも、やっと少し書けるようになってきましたので、お知らせしま す。

26日の夜、和子さんのお通夜に行きました。
今年の6月に撮ったという写真が飾られていて、いつもの少しはにかんだような穏 やかな笑顔でわたしたちを迎えて<れました。

会場には、ご親族の方々の他に、ずっと彼女を見守りつづけて<ださっていたなか またちがたくさんおられて、お世話くださっていました。
彼女の人がらが偲ばれました。

お通夜には、日本女性学研究会の朋友たち、10数名が集いました。
和子さんは、草創期(1978年ころ)からのなかまです。
ずっと、いろいろ、いっしょにやってきたなかまです。

和子さんは、今年の女性2000年会議でも大活躍でした。
認定NGOである日本女性学研究会のオフザーバーの一人としても国連特別総会にも 参加くださって、その報告文を、(内なるそのたたかいの中で)、 今年の『女性学年報』21号(11月に発刊)に寄稿してくださいました。
12ページにわたる力作です。

想い出はいっぱい、だけど、、、、まだなかなか書けそうになくて、、、 なによりも、彼女の状況のことが、どうしても文字にできないのです。
まだ複雑な思いの中でこれを書いています。
だから、彼女のことをあまり知らなくて、わかりにくい方には、ごめんなさい。

ただ一つハッキリしていることは、
彼女が熱意をそそいでいたいろいろな活動や運動や「思い」を考える時、
わたしたちには、まだまだしなければならないことはいっぱいあるということです。

そして、彼女はきっと応援してくれているから、し続けてくれているから、
それを信じて、わたしもがんぼります。

和子さん、ありがとうございました。


 渡辺さんとの一番近い想い出は、1999年の秋、11月29日の日本女性学会秋季大会 に参加の後「『女性学年報』20号発刊記念パーティー」に参加して下さった時。
そして前月10月15日、『横山ノック知事のセクハラ訴訟回避に怒る女たちの会』の緊 急集会ではわたしは彼女と並んで立っていて、共にアピールをした(彼女はキャン パスセクシュアルハラスメントの運動の立場から発言をした)。

そのまた前月の9月例会「シリーズ『離婚』第2章ドメスティックバイオレンス(夫から妻への暴力)と『離婚』」のお話し手として来ていただいた時。それまでの数年彼女とほほとん ど1年に一度会うかどうかだったのに、この年の秋は、彼女と顔を会わせる機会が ホントに多かった。それだけに記憶も鮮明で、あの時この時の“場面”がコマ割の 映像の様によみがえってくる。―不思議なくらい、残っています。

 中でも9月19日、悪条件の中、奈良女性センターで開いた『離婚』例会に出て下 さって、彼女自身からDV体験を語って下さったことは、思えばこの日の参加者に とっても奇跡に近い「出会い」でした。この日渡辺さんは、ちょうど1週間前にお 母様を亡くされて山口の実家ですべてを終えられ、その帰りに「松本さんとの約束 だったから」と言って新幹線からそのまま奈良へ直行して下さったのです。

 以下は例会後にわたしが彼女に送ったメールと、彼女から送られてきたReメール です。

ありがとうございました:sumiko wrote::1999年9月20日 1:23

本日は どうもありがとうございました。
たいへんな情況の中を、そして、いろんな意味でたいへん疲れておられたでしょう に、それを押して例会に「来る」ことを選んでくださって、ほんとうに感謝申し上 げます。その上、遅くまでお付き合いいただいて、「シスターフッドに感謝!」で す。

おかげさまで、ほとんど会員外の参加者の中で、「来て良かった」と思って帰って もらえるような例会とすることができ、20名ほどもの方が2次会まで参加され、 そこからまだ10名が3次会へと行きました。

体験者の方の話を聞けば聞くほど、DVの問題は、単に夫(男)から妻(女)への 「暴力」だけではない、とても複雑にさまざまな要因がからみあった問題であるこ とが見えてきて、何がどうなって、何をどうすれば、一番「彼女」にとつてベスト な情況になるのか、ますますむつかしく、わからなくなってくるのを感じ、自分の 非力を痛感しました。(以下略)

Re: ありがとうございました:1999年9月20日 6:21

松本様
昨日の集会を企画していただき、ありがとうございました。
私にとりましても、母との関係、そのほかのことを相対化することができ、感傷に ばかりふけっておれないと、自分を前に押しやることができるようになりました。

三次会まであったとは、成功でしたね。
ご指摘のように、DVは実に複雑な家族制度、結婚制度、男女関係、セックス、職 場、経済事情などがからまっていることがわかりました。これからも昨日のような 会合を積み重ねていくことで、対応も見えてくるかもしれませんね。
まずは、女性が離婚できる状況づくりをしなければと思いました。
渡辺