2000.9.例会

シリーズ『離婚』 第5章 『離婚』と子ども

◎これまでの『離婚』シリーズ例会の中で印象に残ったことの一つに、子どもの問題があります。夫からDVを受けているある女性は、子どもも夫(父親)から暴力を受けていることを、またある女性は、子どもとの関係性の修復困難の苦しみを語りました。今回は、この『離婚』と子どもの問題を女性の側からと、子どもの側からの両面から考えます。

◎日 時/9月15日(金・休日)PM1:30 〜 5:00
◎会 場/ドーンセンター  4階 中会議室 
◎参加費/会 員 500円、 非会員 700円

◆わたしの離婚と“子ども”
◇子どもを自分の方が引き取ったケース・・・・Aさん
◇子どもを相手の方へおいてきたケース・・・・Bさん
◆親の“離婚”とわたし
◇親の「離婚」状態のもとで、子どもは…・・Cさん
◆「子ども」の内面の問題
◇お話・・・暴力防止情報スペース“APIS” 代表: 亀井 明子さん


9月例会報告

シリーズ『離婚』 第5章『離婚』と子ども

報告・松本澄子
                                     

これまでの『離婚シリーズ例会の中で印象に残ったことの一つに、子どもの問題があった。 夫からD.V.を受けているある女性は、子どもも夫(父親)から暴力を受けていることを語り、また自 らも子どもに暴力をふるい、子どもが大きくなったら今度は子どもも彼女(母親)に暴力をふるうと いう、△関係を呈していること(しかし夫は常に三角の頂点にいる)を告白した。
 また夫からのD.V.から逃れるため子ども(女の子)を置いて家を出たある女性は、子どもが節食障 害となり、その後子どもとの関係性の修復困難こ苦しんでいることを語った。

 今回、『離婚』と「子ども」をテーマとするにあたって、離婚を選んだ、あるいは離婚したいと思っ ている女性にとっての「子どもとの関係性」の問題にこだわり、そして親が離婚した、または離婚状 態にあった「子ども」である(今は大人の)女性の思いにこだわったのは、その二つを繋ぐ道をさぐ りたい、女性の側、子どもの側、両方のスタンスに立って、『離婚』を選択するということを見つめて みたい、と思ったからだ。

 当日は、A新聞が案内を載せてくれた事もあって、会員外の方の参加が25名あり 〈会員はスタッ フの4名)、お話しをお願いした方とを合わせて31名がぐるっと椅子だけで輪になって語り合った。 以下順を追ってテーマ別にお話しいただいた方の内容を簡単に報告し、参加者が寄せて下さった感想 の一部を掲載させていただく。

●「子ども」の内面の問題

『暴力防止情報スペース≪APIS≫』の亀井明子さんのお話し

“APIS”(Assault Prevention Information Space)は、子どもへの暴力防止プログラムを提供し ているCAPグループと、D.V.被害者のサポートグループCOSMOが共に活動しています。
子どもや女性などへの暴力防止に役立つ情報の収集や発信の拠点と考え、子どもも女性も共に生きやすい社会を 目指していきたいと考えています。
*連絡先:守ロ市京阪本通2-8-11新京阪ビル4F′Tel/Fax 06-6992-9184(受付:月・水・金)

「離婚」は「結婚」を抜きにしては考えられない。多くの女性は結婚しなければならないという、 外からと内からのプレッシャーがあり、結婚すれば、夫と子どものために無償の愛(家事・育児のお 世話や思いやり・心遣い)を与え、他者のために行動する事が当たり前とされ、気に入ってもらわな ければ妻として母として女性として失格(評価されない)。何よりも結婚を持続しなければならないと 思う。だからD.V.の場合も理解が得られにくく、妻の我慢が足りないとか、あんたが悪いなどと言 われ、本人もそう思ってしまう。そのため、離婚を決意しても罪悪感や結婚を継続できなかった事へ の挫折感を持ち、経済的基盤もなく、それでも子どもは母親が引き取らねばならないと思う(社会も 母親自身も)。→不安的要因

 そして子どもに尋ねる、「お母さん、お父さん、どっちと一緒に住みたい?」。これは子どもが一番 困る質問。離婚は「夫婦の」問題であって、それを子どもに選ばすのは親のエゴである。離婚の理由 をきちんと説明して、親の思いや立場を語り、話し合うべきである。また、子どもは必ず親が育てね ばならないのだろうか?児童虐待(「このひとの言う通りにしないと生きられない」という思いから 虐待を我慢する。性的虐待の場合も。)や不安的要因を抱えた中での子育てを考えると、社会的な援助 を求めた方が良い場合もある。(“APIS”での相談例など、いくつかの具体例をあげてお話下さい ました。)

●親の“離婚”と、わたし

◇親の離婚状態のもとで、子どもは…・Aさんの場合  結局両親は法的に「離婚」はしなかったのだが、長し離婚状態が続いたはてに母親は病気で亡くな  り、父親はすぐ再婚した。両親の「結婚」そのものからの問題。「家」どうしの問題。両親の不仲。  そういう状況下での「子ども」の心理状態―摂食障害、受験の失敗、兄弟の反社会的行動、等々…。  一番嫌だったのは、「おまえの○○のところが父親そっくり」といまいましそうに言われた事。顔や身体の事などどうしようもないことを言われることほどつらい事は無い。

●わたしの離婚と“子ども”

◇子どもを自分が引き取ったケース‥…Bさんの場合  子どもは一人(男の子)で小さい時に離婚した。直後は親元を頼ったが、親に理解があり、近所へ  「離婚して帰ってきて良かった」と言い回ってくれたので助かった。こちらが世間体を気にするか  ら回りも冷たい目で見るのではないか。その後子どもと二人で親元を出て、ずっと母子家庭だが仕  事を持っていたので自立できた。子どもとの関係については、離婚前は自分の心理状態が良くなく  てほとんど話しかけもせず子育てをしていたからか、2歳でほとんどしゃべらない子だったのが、離  婚後祖母のもとで急にしゃべるようになったのは驚いたた。子どもに対してもいつも離婚を肯定した   態度を取っていたからか、学校などでも子どもはあっけらかんとしていたようだが、常に自分を気  遣ってくれていた様に思う。「母子家庭でなかったら、自分は非行に走っていたかもしれない」と  言ったのは印象的。ただ、先生から「母子家庭だから」というような差別的発言をされたときは反  論した。父と母がそろっている事ではなく、子どもにとっていい関係であることが大事。「結婚は  失敗、離婚は大成功」というプラス志向で。

◇子どもをおいてきたケース‥‥Cさんの場合 「離婚したい」と自分から夫に申し出たがなかなか承諾してくれなかったのでとうとう自分から家  を出た。子ども(女の子二人)は高校と中学になっていたのと、自分に経済的基盤がなかったので  おいて出ました。子どものその後の経過は、上の子はまあまあうまくいったようだが、下の子はだ  いぶしんどかったようだ。間があってから夫が離婚に承諾し、直後再婚した。 その義母さんと下の子がうまくいってなかったのを自分が知らず、摂食障害にまでなっていたのに何 もしてやれなかった事が今も悔やまれる。今回の事を子どもに言うと、二人がメールで一心境を寄せて くれました。(子どもさんの書かれた文をそのまま配って下さった。)

●参加者からのフリートーキング  発言者19人中、離婚している方が4名。別居中の方が7名(内4名、調停中)。その全員が子ど  もを自分のほうに引き取っている。他、お兄さんが離婚して子どもを引き取っているという方、親  の離婚で父親に引き取られたという方、こういう集まりにいっぱい出ているが今だ最善の方策が見  出せないという方、学生で関連の研究しているという方(3名)。

≪参加者の感想より≫○私は今裁判を実際に迎え、いろいろな方のお話を聞く事はきっとタメになる と思って出てきました。思い出せば苦しいつらい出来事を涙ながらに話される場面が多くありました。 人はそれぞれ課題を持って生きていて、参考になる意見はどの人にもあると思うけど、結局、結論する のは自分です。何ごともポジティプな視点で考え、自分の課題をじっくり楽しく解決していこうと思 いました。○みなさんのお話を聞いていると、成立するまですごいエネルギーがいると思った。6ヶ 月後、今の勢いで…というわけにはいかない分、今日のお話、次の機会のお話も聞いて、実行に移せ るようがんばりたい〇夫は…6ケ月後、すんなり離婚に応じてくれるのか…。私と子どもの幸せのた めに、前を向いて、がんばりたい!