第 14 回女性学シンポジウム ラウンドテーブルディスカッション

「何のための女性学か?」


 ウーマン・リブから女性学へ、何が伝えられ、何が伝わらなかったのか。「個人的なことは政治的なことである」と目覚めた女達の運動が、今、理論と実践の間でかけはなれていないでしょうか。誰のための女性学? 何のための女性学? 今こそ、恩からか女たちへ本当の her story を語り継ぐときが来ているようです。今回のシンポジウムが、その一つのきっかけになればと思っています。


主催/(財)京都市社会教育振興財団 京都市生涯学習総合センター
企画/フェミネット企画
後援/日本女性学研究会
とき/7月4日(日)10:30 〜 16:00

※京都アスニー(京都市生涯学習総合センター)へ予約してください。
 電話(075)812-7222
 ファックス(075)803-3017
 参加費は 1600 円です。手話通訳、託児もあります(要予約)。


10:00 受付開始
10:30 〜 12:20 Part1 パネリスト・報告者からの問題提起
13:20 〜 14:45 Part2 ラウンドテーブル・ディスカッション
15:00 〜 16:00 Part3 トーク・トーク 会場からの質問・意見の交流・質疑応答


パネリスト

 三木草子(京都精華大学教授・『資料日本のウーマン・リブ史』全3巻編者)
 女性学は 70 年代の女性解放運動から生まれた。でもいま女性学はその女たちの思いから遠く離れたところにある。わたしたちに必要なことは、理論ではなく、感性のレベルで女性解放の思想を身につけることだ。思想は理論のまやかしをかぎとる。不断に「だれのため、なんのためと問うことで、はじめて女性学は女性解放に役立つ学問となるだろう。

 大学時代に女性問題研究会をはじめるが、卒業後、結婚などの体験から 60 年代の女性解放の考え方では不充分であることを実感、70 年のリブ合宿に参加。同じおもいの女たちに出会い、雑誌『女・エロス』を創刊。またミニコミ『女から女たちへ』を鈴木洋子さんと発行。その延長線上で『資料 日本ウーマン・リブ史』全3巻を編集。
 中嶋里美(男女平等運動家・行動する女たちの会)
 男女平等を求めて私が入学した大学でも女性の教授はゼロ。入学手続き時に受けたセクシュアル・ハラスメント。男性教授のひわいな授業。あれから 40 年。教育はじめ、すべての分野が男女平等の視点から変革されなくてはならない。女性学もその拠点になってほしい。行動する女たちの会から学んだ、誰でもできるさまざまな行動を、お伝えしたい。

 企業での性差別を受け、夜間大学で学び高校教師に。教職時代は家庭科の男女共修運動はじめ、あらゆる男女平等教育に着手。病気で退職後は市議会議員に。全国フェミニスト議員連盟世話人。北京 JAC 副代表。女性連帯基金事務局長。著書に『女たちは地球人』『女が政治を変える』『家庭科男子にも』『行動する女たちが拓いた道』。
 上野千鶴子(東京大学文学部教授・社会学者)
 フェミニズムとは何か? 何であってきたか? −−「状況の定義」に関わる権力を、とりわけ女性学は行使してきたように思う。「リブとフェミニズムには断絶がある」「理論と実践との間には乖離がある」という言説もまた、「定義の権力」を行使している。現実はどうなのか? 言説の現実に対する効果はどうか? −−4半世紀を経てフェミニズムの回顧期を迎えた今、世代を超えてフェミニズムを手渡すために、私たちに何ができるかを考えてみたい。

 1949 年富山県生まれ。社会学者。「風を切って先頭を走る」フェミニズムの旗手。挑発で人をひきこみ、かつ論理的に説得する手腕には定評がある。主な著書に『家父長制と資本制』『近代家族の成立と終焉』『女という快楽』『スカートの下の劇場』『キャンパス性差別事情 ストップ・ザ・アカハラ』『男流文学論』『発情装置』『ナショナリズムとジェンダー』

報告者
 赤崎久美(日本女性学研究会)
 菊地夏野(京都大学大学院文学研究科社会学専攻)
 山口智美(ミシガン大学大学院人類学専攻)