1998.11 報告

1998.11 例会
「わたしからフェミニズム」発刊記念シンポジウム&バースパーティー
ノラの方舟 〜フェミニズムの未来戦略〜


報告 part3

インターネットとフェミニズムの可能性と落とし穴

竹岡篤永さん



  1. ホームページで簡単・情報・発信!

     みなさん、こんにちは。去年の20周年パーティーの時に「ホームページを作ろう」ということになって、プロジェクトができて、ホームページが実際にできあがって、半年ほどになりますね。そのパーティーで「コンピュータ関係の仕事をしているんだから、あなた、できるでしょう。」と言われたんですけど、わたし、そのときホームページを作ることはできませんでした。確かにコンピュータ、もっと言えば、コンピュータのネットワークに関わる仕事はしているんですけどね。そちらに座っているよしのさんが、本当はとっても詳しくて、ほとんど作ってもらったようなものなんですけど、わたしも作れるようになりました。

     ちょっと余談ですが、みなさん、コンピュータのこと、なんでもわたしに質問するでしょ。コンピュータで食べてるからって、なんでも知ってるわけじゃないんですよ。もっとも、聞かれて調べて覚えるってことが多いので、大いに勉強させてもらってるのですが、、、

     できるようになったってことを証明したいのもあって、今回のこのレジュメ、ホームページにしました。公開されています。数時間でできました。ホームページの一番いいところは、こんな風に簡単に情報が発信できるところだと思います。新聞に投稿してもなかなか載らないけれども、まぁ新聞とは見る人が違うと思うんですけれども、ホームページを作れば多くの人が見てくれる。「女性学」とか「フェミニズム」というキーワードで検索すれば、このページも探し出すことができると思います。これが一番いいところだと思います。


  2. 女の人は増えている、、、でも、まだまだ

     インターネットの世界も、一般的な会社や政治の世界なんかといっしょで、女の人は多くありません。『インターネット白書 '98 』によると、98 年 2 月現在で日本国内の利用者は約 1000 万人。女性の割合は前年の 9.5 %から 23.4 %に増えています。まだまだこれからだと思います。

     この「インターネットの可能性と落とし穴」というテーマで考え始めてから、実は、落とし穴っていうのか、悪いことばかりを思いついてしまったんですけど、それは女性がインターネットの世界に少ないことと関係があると思います。まず、これを改善していかなければならない。そのためにはここにいる一人一人ができるだけフェミニズムの視点で情報発信していくことが大切だと思うんですけど、悪い話から、、、


  3. 落とし穴、、、その1

     わたしがインターネット上でまず最初にすごくびっくりしたことは、2、3年前になると思うんですけれども、ある女性の名前・年齢・住所・電話番号を明記して、この人をレイプしたら100,000円やるぞ、みたいなことがあるホームページで公開されていたということです。これをアエラで見たときは本当にショックを受けました。インターネットではすべてではないんですけど、匿名でものが言えるんですね。


  4. 落とし穴、、、その2

     それからしばらくして今度は、容姿ランク付の女性名簿流出というのが新聞をにぎわしました。覚えていらっしゃいますか? 実はこれね、わたしの隣の席に会社のメールサーバの管理をしている人が座っているんですけど、ちょうどお昼前、その人がですね「さっきからすごい数のメールが外へ出ていっているけど、なんやこれ?」と言ってたんです。わたしも「へぇー」なんて言ってのぞいたりしてたんですけど、これがまさに「容姿ランク付き女性名簿」だったんです。この場合は匿名じゃないので、すぐに身元がわれました。その人、どうなったんですかねぇ、知らないんですけど、、、


  5. 落とし穴、、、その3

     インターネットにはテーマを分けて、だれでもが自分の好きなことを言える、「ニュースグループ」というのがあります。これは少し古い技術なので新しくインターネット等に参加した人はあまり利用することはないと思いますが、例えば、「日本語で社会的なことの中の男性と女性の問題について話し合うグループ」はというと、これには fj.soc.men-women という名前がついています。歴史についてとか、法律についてとか、ワインについてとか、いろいろあります。わたしも一時期ずっとをこれを読んでいたことがあるんですけど、歴史的なことで言えば、南京大虐殺はなかったんだとかあったんだとか、夫婦別姓がいいとか悪いとか、そんなことが繰り返し繰り返し話されています。いろんな意見を持つ人がいろんな討論をすることはいいことだと思いますが、見ているとやはりフェミニズムの視点がほとんどないように思います。

     また、些細なことで揚げ足をとることがままあります。フレーミングって言うんですけど。直接知らない人と、コトバだけのコミュニケーションになると、意図を汲むということができなくなって、罵倒(フレーミング)に陥ることがあるんですね。本当にきっちり、丁寧に説明をしないと、意図が伝わらないもどかしさがあります。


  6. 落とし穴、、、その4

     他にもこんな話を聞きました。ある大学で構内からホームページを見ることのできる施設があって、友人がそこを利用してホームページを見ていたら、隣に座っていた人が「自分はホームページ荒しだ」とその連れの人に説明しながら、「地獄に落ちろ!」だとか「死ね!」だとかいう言葉をアップロードしていたというのです。匿名で発信できるということは、ある場合には非常にまずいことになっていると思いました。こういう人はゼロにはならないと思うんですけど、こんなことに負けないくらい女性がたくさん発信していけばいいなと思います。


  7. いいことはないの? 作っていこう!

     インターネットは何も特別な世界ではないと思います。現実の世界と同じです。そういった意味では女性の進出が本当に待たれると思います。

     あんまり、可能性についてしゃべれませんでしたね。すみません。でも、日本女性学研究会のホームページを見つけて、「こんなん、他にないの?」とか、「応援してます」とか、書きこんでくれる人もでてきました。なにもホームページを持たなくても、掲示板に書きこむことも立派な情報発信なので、インターネットに進出したら、どんどん書きこみましょう。技術的にわからなかったらお手伝いに行きます。