2001.7月 例会  

新シリーズスタート!

『子どもとフェミニズム』

第1回 わたしと子どもとフェミニズム      7月例会報告

◎ 日 時/7月 8日 (日) 午後1時30分〜5時

◎ 会 場/ドーンセンター 4階中会議室

◎ 参加者/12人(会員:6人)


新シリーズ『子どもとフェミニズム』の第一回目は、まず3人の話題提供者から「子ども」について、それぞれの経験に基づく視点や、自分自身が今抱えている課題からの投げかけ、または現在関わっている活動分野からの話があり、その後参加者みんなで「子ども」について、自分との関係においての問題や、日ごろ感じたり考えたりしていることなどをざっくばらんに語り合いました。                 
  (報告:松本澄子)

◆「「できちゃった」の前と後 〜工藤静香とわたしの近さと遠さ〜」・・・・MATUMOTO

安室なみえや工藤静香などの大物タレントがいわゆる「できちゃった結婚」をしたことで、最近はTVドラマにもなってるようだが、わたしの場合は16・7年前の話で、わたしも夏の後の妊娠で「結婚」を決めた後「母子手帳」のために先に10月に婚姻届を出し、11月に妊娠4ヶ月で結婚式をした。予定日が同じく5月20日ごろだったが予定より早く生まれた。「近さ」と言うのはこの程度の事である。また「遠さ」は、これからの問題になる。

さて「結婚前に妊娠する」というのは、かつては「足入れ婚」などと言われて(例えばわたしの親なんかもそうなのですが)それは逆に「妊娠できるから結婚する」という形で民間では特にタブーでもなんでもなかった。純潔教育などが叫ばれて「婚前交渉」が道徳的に問題となったわけだが、その規範(タブー)はだんだんに厳しくなくなって、今では要するに「結婚」を前提とする「妊娠」は、それが結果的であれ許されるのであり、問題は「結婚」しない、あるいはできない「妊娠」なのである。いわゆる「不倫」等結婚できない関係での妊娠や、事実婚などの「非嫡出子」は、未だに日本では非難される対象でありタブーである。

近年子の出生におけるシングルマザーの割合は増加しているらしいが、まだまだフランスやスウェーデンの比ではない。だから二人が独身どうしなら周りからは「結婚」を勧められ、そうでないなら「中絶」を勧められる事になる。「妊娠」「出産」という行為は同じであるのに、そこには「二重規範」が存在する。そして「差別」が生まれる。そういう「差別」があるから、また「二重規範」は再生産される。

 また「できちゃう」のには必ずそのための前の行為−セックスがあるわけで、それは同じなのに「できちゃった」後は違ってくる。女には「できちゃう」可能性があり、それは「出産」、「子どもの存在」へとつながっていく。「おんな子ども」とくくられて言われるのには抵抗はあるが、「女」であるということは否応なく「子ども」の問題とつながっていく。

 また人口妊娠や「代理母」等「生殖技術」の問題や遺伝子の問題、「羊水チェック」など「障害」児との問題など、このように「発生」の段階からも「子どもとフェミニズム」のかかわりを考えていきたい。

◆オールタナティヴ・ファミリー/もうひとつ別の形の家族」・・・・・・・・・・・泪谷さん

子どものいるレズビアンのことを「レ・マザー」と言う。「レ・マザーの会」というのがあって、ホームページを開いているが、時々オフミ(顔を合わせての話し合い)をやっている。 参加者は結婚してる人、離婚してる人、シングルの人さまざま。アメリカでは、レズビアンやゲイ、トランスジェンダーの親を持つ子どものホームページもある。レズビアンの親とそのパートナーと暮らしている子どもの声が掲示板に出ていた。ある意味で家族はもう溶解している。いろんなかたちのファミリーがあっていいと思う。子どもを持つレズビアン(レ・マザー)にとって、子どもとの関係性はまた意味の異なる課題を抱えている。

◆「子どもの虐待 と 子どもの商業的性的搾取〜どこがどう違って 何が問題か?〜」
 エクパット・ジャパン・関西(子ども買春・子どもポルノに反対する国際NGO)

・・・・・・・坪井眞規子さん

昨年成立の「児童虐待防止法」によると「子どもの虐待」には、身体的なもの、心理的なも の、ネグレクト(養育の怠慢、放棄)、性的なものがあるが、エクパットが関わっているの はこの中で性的虐待の分野になる。しかしこれでは保護者−主に近親間とか家庭内の虐待 に限定されてしまう。実際にはきょうだい間やおじさんなどの身内の例も多い。

欧米の場合「性的虐待」とは「おとなが自分の性的満足のために子どもを使うこと」と定義されている。 そうすると刑法で言う強制わいせつや痴漢、学校などでの性的虐待も入ってくる。 また商業的―お金の介在するものも入ってきて、エクパットはこの「子どもの商業的性 搾取」に関わっている。 わかりやすいのは、先日判事さんが買春容疑でつかまった事件(レ ジメに新聞記事あり)。こういう場合もこれまでの日本の言い方では「援助交際」と言われ、 子どもの側に非があるように受け取られていた。しかし商業的性搾取は買う側のおとなに 非がある。例えば(資料として2枚のポスターを展示)、この大阪府のポスターの方は「援 助交際は売春です」とあって、売春防止法を持ち出してそれを高校生に適用している。

子どもの側に性的逸脱行為があるとしていて、買う側のおとなの側は処罰対象にはなってい ない。もう一方は、1999年に「子ども買春・子どもポルノ禁止法」ができて、エクパット が作ったポスターで「犯罪です。子ども買春」とあり、買う側に問題があることを明確に している。

このたび、12月17日〜20日にかけて、横浜市で、第2回『子どもの商業的性搾取に反 対する世界会議』がある。この会議には、世界各国から子どもや若者が自主的に参加して いる。あやつり参加やお飾り参加でなく、子どもとおとなの同等な参加をめざしている。

女におこっていたことが今子どもにおこってきていて、子どもは「最後の植民地」とい われる。かつての女性に対すると同様に子どもは「弱いもの、守ってあげなければいけないもの」という観点から「保護者−おとなの枠組みの中にあるもの」という捉えられ方がされてきた。しかしこれからはおとなが価値観を教えるのではなく、子ども自身が選択する、権利を主張するという考え方に立ち、こども自ら意思決定機関にも入っていく。 「子どもが主人公」になるということだ。

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 このあと、参加者全員がそれぞれの立場からの発言をし、そのうちフリーディスカッションとなって大いに盛り上がった。子どもを持っている人からは、不登校の問題や「子どもがかわいいと思えなくなるときがある」、「少しくらい叩いて育てる事と、虐待との違いは?」「いけないとわかっていても、また"支配・被支配"の権力関係だとわかっていても、たたいてしまうときがある」「障害をもっている子どもの場合、やはり保護しなければいけないという面がある。ある程度大きくなってもそれが続くので母子密着が問題になる」等の話や、DVや離婚の問題に直面している人の切実な話もあった。また、シングルの人からは、パートナーの子どもとの関係の問題や、ボランティア等で関わっている子どもとの関わりの話などが出た。


●次回は、9月30日(日)、ドーンセンターにて、「子ども虐待」のテーマで行う。 「性的虐待」についてはちょっとおいて、主に家庭内での「母親」との関係でおこる「虐待」について考えたい。