異文化論への招待  「違い」からの自文化再発見

黒木雅子著/朱鷺書房/1998年/1854円


    著者から

 「異文化というと外国の話と思っている人は多いだろう。
 本書は、外国の文化だけでなく、性、セクシュアリティ、世代、 地域、職業なども含めて、自分とは異なる文化をもつ他者の経験が いかに理解ができるか(できないか)、その可能性と限界や問題点 をさぐろうとしたものです。」

 

目 次

第一章 文化によってつくられる私たち 第二章 異文化と出会う私たち
第三章 変容する私たち 第四章 多文化を生きる知恵
 
 
第一1章 文化によってつくられる私たち
 
1 異文化体験とは何か
2 異文化体験にパスボートは必要か?
自文化の中の様々な異文化 「違い」の重層性
3 文化とは何か
自明性に気づく 自文化気づきのゲーム 自文化の偏り
4 アイデンティティ
IDカード アイデンティティと仕事 アイデンティティの葛藤 日系アメリカ人の場合 アイデンティティの複合性とダイナミズム  
● もう一つの足許を揺るがす体験--ある地震ノートから
 
第二章 異文化と出会う私たち
1 様々な異文化接触
異文化接触の契機 異文化接触の期間
2 出会いは人を変える
出会いがもたらす態度 出会いがもたらす変容 短期接触による自文化変容
3 異文化とコミュニケートする
言語と文化 非言語行動 アイコンタクト 接触 コミュニケーションとコンテクスト コミュニケーションからコミュニオンヘ クロスカルチャルカウンセリング 話す技術と聞く技術 「国際的」コミュニケーションの方法とは?
4 異文化と自文化の間の葛藤
カルチャーショック 異文化移動と地位の変化 逆カルチャーショック
● 味にみる自文化変容
5 自文化変容はマージナルパーソンから
準拠集団  女性は異文化で生き延びる?  誰もがマイノリティ マージナルパーソンの可能性
6 マイノリティ
数ではなく力 ミドルマン・マイノリティ 負から正のアイデンティティヘ 「これかあれか」から「これもあれも」へ 第三の目から エスニシテ 「バナナ」と「ゆで卵」 ステレオタイプがつくるマイノリィ像 文化の自律性をめぐって ステレオタイプの背景を読む
7 日本の中の多文化
マイノリティの経験 「見える」ようになった多文化 ローカルなものさし 異なることの権利
8 日本の中のサブカルチャー
地域と言語 性という近くて遠い異文化
9 自文化変容プロセスと癒し
「違い」に敏感、差別に鈍感? 被害者の落ち度? 被害者からサパイパーへ
● 一枚のポストカードをめぐって
 
第三章 変容する私たち
1 多文化意識
異文化から多文化へ 多文化意識への疑問 多文化共存のジレンマ--平等と公平をめぐって アファーマティプ・アクション 「人種のるつぼ」から「サラダボール」へ 一つだけではない「違い」 日本の中の「サラダボール」
2 エスニシティ・性・宗教のはざまで--変容する日系アメリカ女性
「良い母」「良い妻」「良いクリスチャン」からの変容 個人も家族も 日本とアメリカの「女らしさ」のはざまで エスニシティ・性・宗教--「違い」を 力に
● 政治的に正しくないお話
 
第四章 多文化を生きる知恵
1 異文化に対してマージナルだと感じるとき
2 自文化に対してマージナルだと感じるとき
3 心理的位置について
4 二つの文化の間での葛藤
5 葛藤への対処
6 多文化をどう生きるか