「実践 ジェンダー・フリー教育」

小川真知子、森陽子編著/日本女性学研究会「学校と女性学」分科会企画
明石書店/1998年/2500円+税
目 次
第I部 教室から----ジェンダー・フリーの授業実践
 第1章 多様な家族イメージを求めて
  第1節 私には4人の母がいる
  第2節 結婚制度と夫婦別姓
  第3節 「3歳児神話」を問う
  第4節 家族ってなあに 家事ってなあに
 第2章 自分らしさを求めて
  第1節 ワギナとペニスって知っている?
  第2節 高校の国語の授業で恋愛を考えてみた
  第3節 「美」とジェンダー
 第3章 働く女と男の平等を求めて
  第1節 労働の権利
  第2節 命の値段
第II部 女性学を勧める授業のために
 第1章 女たちは”世界”を変えたい
  第1節 「国際結婚」からみえるもの
  第2節 女性議員が少ない国
  第3節 夫に左右される女の年金
  第4節 老いの現場・福祉の現状
 第2章 つくられる女と男
  第1節 童話を読む
  第2節 セクシュアリティの政治性
  第3節 「レズビアン」を選んだ私
  第4節 自分を知る、自分を伝える

 

著者のメッセージ

 副題は「フェミニズムを学校に」で、学校にはフェミニズムが届かないのかと悲憤慷慨している方々に、ぜひ読んでほしい本です。「男女共同参画2000年プラン」に、いくら学校教育全体を通じて男女の平等を推進せよとうたわれても、現実はまだまだです。いまだに男女混合名簿ですら実施されず、「それが男女平等とどう関係するのか分からない」と公言してはばからない人がいるくらいですから・・・・。
 とはいえ、国連人権教育の十年の取り組みや、2002年の教育課程の改訂に向けて、いまこそ教育のなかに「女性の人権の尊重」を根づかせるチャンスです。小学校の教育改革の目玉である「総合学習−人権・環境・平和・国際理解−」の中身に、「男女平等、ジェンダーフリー教育」をきちんと位置付ける必要があります。
 今後は男女平等教育のための教科書を作っていかなければなりませんが、いま現実に学校で教材に悩んでいる人、あるいは学校のジェンダーバイヤスに疑問を持っている人、それから「ジェンダー・フリー教育って何?」と思っている人が読んで面白いようにと、現役の教師が中心になって書きました。
 一部は小・中・高校の教育実践記録、二部は「女性学を勧める授業のために」と題してジェンダー意識の問い直しや、授業に生かすための視点を述べるという構成です。ぜひ読んで、感想をお聞かせ下さい。

'98.9.24 小川真知子