角田由紀子/藤井誠二/川畑智子/鬼塚・チェイス・円
SEXUAL RIGHTS PROJECT 編 つげ書房新社 1600円+税
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出版にあたってこの本は、SEXUAL RIGHTS PROJECT が大阪府からジャンプ助成金を受け、1997年に企画・主催した連続セミナー「風俗産業を考える」の講演内容をまとめたものです。
SEXUAL RIGHTS PROJECT の前身は、シスターフッドの会といいます。私たちの出発点は、「女性学年報」(日本女性学研究会発行)の第16号(1995年)が「私たちのセクシュアリティ―いま、<女>であること―」を特集した時に、その巻頭にシスターフッドの会として発表した「座談会『ふしだら』という烙印の正体―売春防止法は誰のためのもの?―」にあります。そこで問題となったのは、売春防止法が、不特定の男を相手にお金と引き替えにセックスをする女性に対して、社会的な制裁として機能していること、そして、それは、「売春婦ではない」女性として存在する娘や妻の性行動をコントロールする機能も同時に兼ねていることでした。
売春防止法は、売春はいけないといいながら、男性の性行動には関与せず、常に女性の性行動のみを規制しています。売春防止法は女性にはなんのメリットもないとうことで、意見は一致しましたが、では、売春自体をどう考えるかとなると意見はわかれました。議論の中で、女性の側にも、「性を売る」女性への差別意識があることが自覚できました。また、売春を認めれば男社会の思うつぼであるという危機意識も売春反対の主な理由として出てきました。
U部は、座談会を通して出てきた売春女性への差別、労働としての売春、発展途上国における売春、そして子どもの売春という4つのテーマについて、より多くの人に私たちの問題意識を伝え、議論をしたいという意図のもとに計画したものです。
講師として招いた人々は、セミナーを企画した私たち自身が一番、話を聞きたいと思っていた人々です。皆さん、快く引き受けてくださいました。この本を通して、私たちの問題意識が1人でも多くの人に伝わり、議論を深めるきっかけになればと思っています。SEXUAL RIGHTS PROJECT