Subject: [wsfj 705] WSFの2つのセミナー(FTA問題・アジアの反戦平和問題)に参加・報告します
From: " 土松克典( Domatsu Katsunori\)" <k-dmt@par.odn.ne.jp>
Date: Tue, 30 Dec 2003 18:44:53 +0900
Seq: 705
皆さん、こんにちは!
「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーンの土松克典(どまつかつのり)
と申します。
WSFのメーリングリストに初めて投稿します。
私たちはこれまで、日韓の労働者民衆連帯運動を中心に取り組んできました
が、この間、資本のグローバリゼーションが全世界を席捲する中で、WTOと
並行して2国間の自由貿易協定(FTA)や投資協定(BIT)が活発に推進
される状況が生まれてきました。日韓間でも99年から検討されてきたBITが
今年1月1日に発効し、FTAも12月22日に政府間交渉が開始されています。私
たちは、WTOや多国間投資協定(MAI)の危険な内容が、そのまま2国間
協定に持ち込まれ、さらにWTOやMAI以上に危険な条項が2国間協定には
盛り込まれる危険がある(具体的には、労働運動が非関税障壁に当たるとし
て、労働運動弾圧条項を盛り込むことを日本政府・財界が画策するなど)とし
て、2000年3月に「日韓投資協定NO!緊急キャンペーン」を立ち上げ、外務
省行動や韓国の『ハンギョレ新聞』に日韓投資協定の締結に反対する日韓民衆
の意見広告を掲載するなどのNO!キャンペーンを続けてきました。結局、私
たちの力及ばず、昨年5月の国会批准を許してしまい、今年1月の日韓投資協定
の発効に至ったわけです。このBITに続き、日韓FTA交渉を開始する動き
があわただしくなったことから、これに対抗して、03年4月に「異議あり!日
韓自由貿易協定」キャンペーンを新たに立ち上げ、現在に至っています。国内
では、脱WTO草の根キャンペーンやATTAC Japanとともに運動に取り組
み、また韓国側とは「自由貿易協定・WTO反対国民行動」(略称・KoP
A)を中心に交流を行なってきました。
皆さん!今後ともよろしくお願いします。
さて、団体紹介は以上にして、以下は私たちも参加するWSFセミナー情報で
す。
(以下、長文・重複お赦し下さい)
年明けの1月16〜21日にかけてインド・ムンバイで行なわれる2004年世界社会
フォーラム(WSF)に、当キャンペーンの母体のひとつである日韓民衆連帯
全国ネットワーク(略称、日韓ネット)の渡辺健樹さんと当キャンペーン(土
松)とが参加して報告します。
私たちが参加して行なうセミナーは2つあり、いずれも韓国の「自由貿易協定
・WTO反対国民行動」(KoPA)などが呼びかけて、共同で行なうもので
す。
一つは1月18日開催の「アジア地域の自由貿易協定締結の流れと社会運動の対
応」というアジア地域のFTA問題をテーマにしたものであり、もう一つは1
月20日開催の「アメリカの軍事主義と朝鮮半島の危機、そしてアジアの平和運
動」という朝鮮半島とアジアの反戦平和運動をテーマにした企画です。
この間、日韓ネットは、イラク派兵をめぐって他の友好団体と協働して「イラ
ク派兵に反対する日韓(韓日)市民・民衆の共同宣言」(第1次共同宣言賛同
:日本側300団体、韓国側351団体/第2次共同宣言賛同:日本側213団体・韓国
側351団体)の組織化に取り組んできました。また、当キャンペーンも脱WT
O草の根キャンペーンやATTAC Japanなどの友好団体と協働して「日韓
(韓日)FTAの政府間交渉開始に反対する日韓(韓日)共同声明」(賛同:
日本側52団体、韓国側54団体)の組織化に取り組んできました。今回の2つの
セミナーは、こうした実績の上に立って、日韓民衆連帯運動をいっそう推し進
め、さらに戦争と新自由主義グローバリゼーションが表裏のものであるという
認識の下、これに対抗する運動をアジア地域レベルで築いていく端緒にできれ
ば、と考えています。
なお、KoPAはこの二つのセミナーのほか、「WTO反対闘争をつうじて見
た社会運動の現況と展望」というテーマで、世界社会運動ネットワーク(Ko
PAをはじめ、世界の農民組織であるヴィア・カンペシーナ、世界女性行進、
ATTAC、ブラジル労総などで構成される国際ネットワークで、毎年、WS
Fで社会運動のアピールを発表しています)が主催するセミナーも中心で担当
するとのことです。
以下は、KoPA事務局から送られてきた二つのWSFセミナー企画案を翻訳
したものです。
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<世界社会フォーラム・セミナー企画1>
●テーマ「アジア地域の自由貿易協定締結の流れと社会運動の対応」
1.背景
WTO第5回閣僚会議が決裂して、これに続く12月25日の高位級閣僚会議
も何らの合意もなく終わることにより、資本移動の自由化と民衆の生存に欠く
ことのできない公共サービスを商品化して、これを資本の利潤追求対象に様変
わりさせようとするドーハ開発アジェンダ交渉が難航を余儀なくされることと
なった。これは全世界的な次元で新自由主義グローバリゼーション反対闘争を
展開している社会運動陣営の立場が正当であることを立証した。
しかしこのような状況のもとで、地域別、あるいは2国間の自由貿易協定締結
の流れはさらに活発になっている。アメリカ、EUをはじめとした各国は、関
税撤廃、投資自由化など、WTOドーハ開発アジェンダをつうじて実現しよう
としていた措置を、地域別・2国間の自由貿易協定をつうじて試みようとし
て、これに拍車をかけている。アメリカは、グァテマラ、エルサルバドル、ホ
ンジュラス、ニカラグア、コスタリカなど中米5か国と締結する中米自由貿易
協定(CAFTA)を年内に締結しようと急いでいる。そしてこれを土台に、米
州地域自由貿易協定(FTAA)が2005年に発効するよう、交渉の手網をさ
らに引き締めるものと思われる。
こうした状況は、アジア地域でも同様だ。さる6月、バンコクで開かれたAP
EC首脳会議では、“各会員国がWTOの目標の進展に寄与する方向で地域貿
易協定(RTA)と自由貿易協定(FTA)を推進すること”を宣言した。これに
よって、日−フィリピン、タイ、マレーシア、日−韓、韓−シンガポールなど
2国間協定締結のための交渉が開始されたり、開始を目前にしており、ASE
AN+韓・中・日などの地域自由貿易協定締結のための研究作業も活発に展開
されている。
このような2国間自由貿易協定は、WTOをつうじて推進される自由化措置を
そっくりそのまま含んでいるばかりか、もっと強力な措置も目論んでいる。ま
たこれは、労働権を抹殺し環境を破壊して食糧主権および保健医療、教育、
水、エネルギーなど、欠くことのできないサービスに対するアクセス権、文化
の多様性など、民衆の基本的な権利を破壊する方向へと進んでいる。
本セミナーをつうじて、アジア域内で多様に推進されている地域自由貿易協定
あるいは2国間自由貿易協定締結の流れを共有し、これに対するアジア地域の
社会運動の立場を交流して、アジア地域次元の共同対応方案を準備しようと思
う。
2.課題
1)アジア地域内での地域別・2国間自由貿易協定の締結動向の把握
※ASEAN/AFTA、ASEAN+3、各種2国間自由貿易協定締結の論議動向(とく
に、WTO第5回閣僚会議以後の状況)
※各協定の目標および内容
2)地域(2国間)自由貿易協定をどう見るのか?
※アメリカ中心の世界経済秩序から、地域の経済発展を追求するブロックへと
機能することができるか?でなければ、新自由主義金融グローバリゼーション
へと駆り立てるもうひとつの機構なのか?
※民衆の生存にどんな影響を及ぼすのか?
3)アジア地域次元の共同対応方案の模索
※社会運動間の情報および立場を交流して、論議を持続することができる方案
※共同行動プログラムに対する提案
3.プログラムおよび詳細事項
※日時:2004年1月18日(として申請中)
※場所:未定(200名規模で申請中)
※主催:KoPA(確定)、「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン
(確定)、ヴィア・カンペシーナ・アジア地域委員会(提案予定)、アジア地域
の労働組合(提案予定)
※後援:アジア地域内の社会運動と考えられ、セミナー参加と組織化を希望す
る団体
※発言者
―アジズ・チョドリ(ニュージーランド活動家)
―自由貿易協定・WTO反対国民行動(韓国)
―「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン(日本)
―ヴィア・カンペシーナ・アジア地域委員会(あるいは東南アジアの一国家の
農民団体)
―アジア労組連帯会議(もしくはアジア地域の労働組合)
4.プログラム
【第1部】総論発表:アジア地域内の地域別/2国間自由貿易協定締結の現況
アジス・チョドリ(30分)
【第2部】討論1:地域別/2国間自由貿易協定をどう見るのか?
パネル:KoPA/「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン/農民組
織/労働組合(各15分ずつ計1時間)
【第3部】討論2:アジア地域次元の共同対応方案
パネル:第2部の発言者が継続(1時間)
【第4部】自由発言(30分)
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<世界社会フォーラム・セミナー企画2>
●テーマ「アメリカの軍事主義と朝鮮半島の危機、そしてアジアの平和運動」
【企画の主旨】
アメリカは、新自由主義金融グローバリゼーションをつうじて、全世界で生み
出される莫大な経済的富を独占してきました。“金融グローバリゼーション”
は、全世界の多くの人民たちの生活と労働を破壊して極端な貧困へと追いや
り、超国的資本の利益のみを極大化してきたからです。したがって、このよう
な反民衆的なグローバリゼーションに対する不満と抵抗は、全世界のあちこち
で爆発しています。
こんにち、資本による新自由主義金融グローバリゼーション戦略は、それのも
つ暴力性に反対する幾多の抵抗と、それ自身のもつ内在的な限界とにぶつかっ
て危機に直面しています。しかしより深刻な問題は、金融グローバリゼーショ
ンを増強し保護するために、アメリカはより暴力的な手段を動員しているとい
うことです。9・11以後の、いわゆる“ブッシュ・ドクトリン”と呼ばれるア
メリカの新しい軍事・安保戦略は、これをよく反映しています。“ブッシュ・
ドクトリン”は、アメリカの国益を新自由主義金融グローバリゼーション政策
の保護にあると定義づけ、これに対して不安と障害の要因となるものを潜在的
な敵とみなし、それをとり除くための先制攻撃戦略を採択しました。これは現
在、“無限戦争”という極端な形態で現われています。したがって、資本のグ
ローバリゼーションとアメリカの軍事覇権主義の強化は、相互に緊密に連係し
ているグローバリゼーションの新たな段階として理解することができます。こ
の段階におけるアメリカ主導の戦争は、まさに新自由主義グローバリゼーショ
ンの「統治性」の維持に目標が置かれています。
一方、このようなアメリカの新しい世界統治戦略は、東アジア地域においても
可視化されるようになっています。
最近、アメリカの軍事・安保戦略の変化にともなって、東アジア地域の駐留米
軍の役割が変化してきており、各国軍事力の役割もこれに歩調をあわせて変化
しています。また9・11事件以後、アメリカは「テロとの戦争」という名分で
市民権を大きく制約する「愛国者法」(テロ防止法)を制定して、同盟国に同調
を要請しています。このような変化はアメリカだけではなく、東アジアにおけ
るアメリカの同盟国の「戦争国家」化を促進し、軍事力の大規模な増強と市民
の政治・社会的権利を抑圧する憂慮すべき結果をもたらしています。
またアメリカは、東アジアにおける軍事力の増強を「北の核問題」に対応する
「抑止力」の強化という名分で正当化しています。東アジアにおけるアメリカ
の覇権主義の拡大と日本および韓国の「戦争国家」化が進行しています。した
がって、増大している朝鮮半島の戦争の危機が、アメリカの軍事的支配を強化
する方向ではなく、反戦平和運動を強化させる契機となるための役割と課題を
模索すべきです。さらに現時期、反戦平和運動が新自由主義(金融)グローバリ
ゼーションに反対する運動と不可分であるという点を認識することが重要で
す。このような観点からこそ、今後の東アジア地域の平和運動が新しく模索さ
れるべきでしょう。
※日時:2004年1月20日午後2時から
※場所:未定(1000名規模)
※主催:自由貿易協定・WTO反対国民行動(KoPA、韓国)、韓国社会
フォーラム組織委員会(韓国)、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日本)、C
ITU(インド)、Gathering for Peace(フィリピン)
※主要議題
1)新自由主義金融グローバリズムとアメリカの軍事主義
2)アメリカの軍事戦略の変化と東アジア各国の軍事主義拡大の現況と意味
3)朝鮮半島の戦争脅威の平和的解決のための模索
4)東アジア反戦平和運動の共同行動の課題と計画
※プログラム
【開会辞】ホン・グンス牧師(5分)
【第1部】新自由主義金融グローバリゼーションとアメリカの軍事主義
クラウディー・セルファティ(ATTACフランス、20分)
【第2部】(各10分ずつ、計50分)
アメリカの軍事覇権主義と東アジアの平和
チョ・フィヨン(韓国社会フォーラム組織委員会)
東アジア各国におけるアメリカの軍事覇権主義と対応
渡辺健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク、日本)/Cora
Fabros(Gathering for Peace、フィリピン)/未定(CITU−インド労総)/
未定(インドネシア)
【第3部】アメリカの軍事覇権主義と朝鮮半島の危機(計20分)
アメリカの北東アジア覇権戦略と朝鮮半島危機の根本原因:パク・ハスン(社
会進歩連帯、韓国)
朝鮮半島危機の平和的解決のための模索(Chalmers Johnsonまたはアメリカ
UFPJ/ANSWER活動家)
【第4部】東アジア反戦平和運動の共同行動の課題と計画(計20分)
未定(労働者の力、韓国)/渡辺健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク、日本)
【第5部】質疑応答(30分)
通訳:英語を基本言語とし、韓国および日本側提案者の中で英語が不可能な場
合にだけ順次通訳で進行
(以上)
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土松克典 (Domatsu Katsunori)
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