Subject: [reg-easttimor 126] アンボン騒乱の真相(12)
From: Murai Yoshinori <murai@jakarta.wasantara.net.id>
Date: Fri, 07 Jul 2000 03:10:35 +0900
Seq: 126
アンボン紛争で1人死亡 Radio Australia, 00/07/04 アンボンでムスリムとキリスト教徒の間で衝突があり、男性1人が死亡、3人が 負傷したと報じられている。 AFPは、その犠牲者たちはムスリムを支援している軍人とおぼしき集団に発砲さ れたという教会指導者のコメントを伝えている。この指導者は、さらに、ムスリ ムは数軒の家と専門学校の建物に放火したと語った。 今回の衝突は、政府がマルク州および北マルク州で非常事態を宣言してから、 ほぼ1週間たってから起きている。非常事態宣言は、1年半前よりつづいている宗 教紛争の収束させることが目的となっている。 聖戦部隊の船、拿捕される SiaR, 00/07/04 これまでに海軍は、マルク、北マルク海域で武器・凶器を搭載した船何十隻か を拿捕している。 一方、海上保安グガス艦隊Armatimは、北マルクのガレラに向かおうとしていた スター・オビス号を拿捕した。この船はテルナテを出港したものだが、285人の船 客と手榴弾他の武器を搭載していた。この船の拿捕は、沈没したチャハヤ・バハ リ号の捜索途上にモロタイ島付近で発見されたものである。この船はこれまで何 度か聖戦部隊の移動に利用されてきたという。 また、アンボンでは、先に、警察機動部隊の武器庫が襲撃された際に、80万発 の弾丸と823丁の銃が奪われていたが、これまでに返却されたのはほんのわずかで ある。これまで武器の摘発では、MK III、Sten Madsen 56、SKS、MO50 Komando、 手榴弾MO5などが押収されている。 ポカで5人殺される Radio Australia, 00/07/04 軍の情報によると、アンボンの町から12キロ離れたポカで。ムスリムとキリス ト教徒の争いで5人が死亡しているという。 アンボンでまた衝突、4人死亡 Radio Australia, 00/07/06 アンボンで新たな衝突が発生し、少なくとも4人が死亡、今週に入っての死亡者 は19人に達している。この衝突は、聖戦部隊がキリスト者の村を襲撃したことに よる。ある牧師の証言では、聖戦部隊は軍の支援を受けていたという。 以下の2つの記事は笹岡正俊さんがNINDJA MLに流したものです。NINDJA MLの方 にはダブって流しています。ご容赦下さい。 非常事態宣言への期待と不安 Media Indonesia,00/07/02 非常事態が宣言された2州の最高責任者は、内相、外相、治安相、Menkumdang(← ?)、地方自治相、国軍司令官、最高検察庁長官、警視総監、陸軍参謀長、海軍参謀 長、空軍参謀長の支援を受けたインドネシア共和国大統領である。地域の責任者は、 パッティムラ軍官区司令官、マルク地方警察長、マルク地方検察庁長官の支援をうけ た州知事である。 法規によると、非常事態宣言は、地震や平時に解決できない争いが生じた際に発令 される。一方、軍事戒厳令は、ある地域の平和と安寧を脅かす海外からの脅威あるい は反逆行為が生じた際に適用される。 政治治安担当国務相(臨時)スルヤディ・スディルヤは、「もしも非常事態宣言発令 後にマルク・北マルク州の状況が悪化するなら、軍事戒厳令の発令もありうる。しか し、我々はそれを望んでいない。非常事態宣言の発令により事態が回復することを望 んでいる」と述べた。 ユスリル・イザ法相によると、非常事態宣言発令下において責任者は「鉄の規 則」を打ち出すことができ、公務員から意見を求めたり、印刷、出版、報道を規制で きる。また、家宅捜査を行なったり、治安を悪化させるために用いられると疑われる 物品を接収できる。さらに、暗号の使用の制限、盗聴、集会の制限、建物の使用や建 物への立ち入りの制限、野外外出の制限、身体検査、警察機関への命令などを行なう ことが可能だ。 マルク・北マルク州へ派遣された治安部隊は、いまのところまだ住民たちに安寧を もたらすにはいたっていない。いやむしろ兵士の行為が、幾度も新たな争いの発端と なってきたのだ。このため、ウィドド国軍司令官はマルク・北マルク州への部隊の配 置を状況に合わせて調整すると述べている。この地域にはすでに19大隊が駐屯してい るが、今週のはじめにはあたらしく警察機動隊2個中隊が派遣される。 警視総監ルスディハルジョは、マルクにもぐりこみ当該地域の治安を悪化させてい る集団がいることを認めている。彼は、非常事態宣言発令下において、軍は、当該地 域の隔離措置や一斉取締を行なうことが可能だと説明している。治安部隊はマルクを 外界から封鎖し(特に海軍による海域封鎖を行い)治安を悪化させようとするものた ちの進入を防ぐとしている。海軍はすでに武器を積んでマルクに進入しようとした10 隻の船を捕まえている。 マルク地方警察長官フィルマン・ガニ准将は、「我々は非常事態宣言発令を支持す る十分な人員を有している」と強調した。彼は、相争う集団を調整するため、特にこ の間紛争が起きている全ての地域を封鎖するために、警察は陸軍、海軍、そして空軍 と協力できると述べている。また、紛争解決策に関して、非常事態における責任者で ある州知事、パッティムラ軍官区司令官マデ・ヤサ大佐、エティ・サフブルナマルク 州議会議長と合意を取り付けているという。 マルク州知事サレー・ラトゥコンシナは、6月27日に4つの通達を出している。彼 は、住民に対して、紛争の停止と22:00から6:00までの野外外出禁止を呼びかけた。 また、はっきりとした目的もなく10人以上の人間が集まることを禁止し、住民たちに 武器を国軍/警察に提出するよう呼びかけた。武器提出の期限は、6月30日の24:00ま でとされた。そしてもしもこの呼びかけに応じない場合は、強硬な措置を講じるとも 述べた。 ウィドド国軍司令官も、国軍はやがて大々的な武器一斉取締をおこなうとして、住 民たちに武器提出を求めた。 パッティムラ軍官区司令官マデ・ヤサ大佐は、住民たちの武器提出期限を6月1日と した。もしもこの期日を過ぎても住民たちが武器を手にしているようなら、全ての地 域で大々的な武器一斉取り締まりを行なうと述べた。 国家人権委員会メンバー、クスパルモノ・イルサンは、既に多くの犠牲者が出てい る以上、非常事態の宣言は、遅れたとはいえ、当然必要な措置だったと語る。警察で 働いたキャリアーを持つ彼は、「適切な場所で適切な時期に治安維持および秩序回復 のための措置をとるにあたり、治安部隊は法の傘の下で庇護を受ける」と語る。例え ば、外部者がマルク地域に立ち入ることを禁じるなどである。 一方、行方不明者と暴力被害者のための委員会(KontraS)活動家のムニルは、非 常事態宣言発令の成果に関しては悲観的な見方をしている。非常事態の宣言に先立っ て、アンボン、北マルクにおける紛争状態を治安部隊が制御できなかったことに関す る評価がなされていないからである。 マルク・・・非常事態ではない日などない Tempo,00/07/02 治安維持活動における法の庇護が必要だと不満を常に漏らしていた軍当局。彼ら は、非常事態令あるいは軍事戒厳令の発令が無ければ、自由に振舞うことができな い。行方不明者と暴力被害者のための委員会(KontraS)と和解と平和のための委員会 (Lerai)のデータによると、紛争勃発から今年5月までの間に負傷および死亡した人の 70%が治安部隊の発砲によるものであるという。非常事態令の発令に伴い治安部隊に よる人権侵害が生じる恐れがある。 非常事態宣言の発令は、マルク・北マルク州における殺人と争いを終わらせること が出来るだろうか?筆者は、それを5割の確率と見ている。非常事態宣言発令下にお いては、大統領の代理として、知事が地域の最高責任者となっている。これは、事態 に対処する際の知事の権限や能力に信頼を置いていることを示している。 マルク・北マルク州における州知事および地方政府の権限や信頼はすでに失われて しまっており、権限や効果的な指導性を有しているのは地域の指導者からなる「現場 のキャピタン」である。そのため、知事の権限に信頼を置くあらゆる試みは成功する 可能性が低い。 非常事態令の施行が成功を収めるとしたら、以下のいくつかの条件が満たされた場 合である。 第1に、争いに加わっている全ての部隊、海軍、警察機動隊、陸軍戦略予備軍、そ して特にブラウィジャヤ軍官区の部隊、陸軍特殊部隊(制服を着ていたり着ていな かったりする)を現場から撤退させることである。この間、相争う2つの集団と交わっ ている制服を着ていない軍人たちは、すぐにそれぞれの本隊に戻るように召集をかけ るべきである。休暇をとっている者に対しても招集をかけるべきだ。パッティムラ軍 官区の部隊も、すでにかなり宗教抗争に巻き込まれているので現場から引き上げさせ るべきだ。現場に残ることが許されるのは、マルク地方警察の正規の警察部隊のみと する。 第2に、マルク・北マルク両州の指揮権を海軍の指導部に移譲することである。な ぜならこの島嶼地域をすばやく探査することが出来るからである。 第3に、選ばれた兵士により構成される特別部隊を作ることである。兵士の選択 は、大統領および国軍司令官の直接の指導の下に行なわれる。彼らは、大統領の命令 のみを受け、大統領に直接責任を負う。 第4に、それらの特別部隊は、相争う2つの集団を隔離し、武器の接収を行なう。 第5に、暴力のネットワークを絶ち、相争う両集団の民兵を無力化させる。この作 戦はマルク以外の地域から提供される資金の流れを絶つことからはじめられる。 第6に、イスラム教徒、キリスト教徒の避難民を比較的安全な地域に連れ戻す。こ の再定住過程では、すでに破壊された社会的ネットワークを構築されなければならな い。このネットワークの構築は、慣習法組織や宗教組織を通じて行なうことが可能で ある。この取り組みは破壊された村を再建するための社会的協力の基礎となりうる。 政府は、必要とされる物資のみを提供し、祈祷所、市場、学校、保健所などの公共施 設などの再建は住民たちに任せる。 第7に、人道にもとる行いをしたものを捕まえ、法を行使する。 大統領がパッティムラ軍官区や現場にいる中尉の「汚れた手」を浄化し、国内外の プレスが現場の状況を監視することが許されるならば、そして地方議会あるいは中央 議会が月に一度、知事と国軍司令官を訪問し、責任を問うてゆけばこれらの取り組み は実現が可能だ。