Water Watch Network プレスリリース


98/1/14

鶴岡市内では、県道の消雪用に最大1日1万6千トンもの地下水を使っている。これが冬季の地下水位の低下に影響しているのではないか。ずさんな地下水管理が水の都、鶴岡の地下水をおびやかしている。


1/13、14日と、水道部の宣伝カーが市内を巡回し、節水を呼びかけている。鶴岡市水道部によれば、この数日続いた大雪の影響で累計353件の水道管で凍結と破裂が起こり鶴岡への給水が増え貯水池への取水が追いつかないことを聞いた。また、地下水位が夏に比べて冬減少傾向にあるとも聞いた。何が影響しているのか。水道部では、表土の凍結により浸透水が減少したことなどもあげていたが、融雪用の地下水の取水の影響もあるのではないか。とのことだった。上水道用の地下水の井戸と消雪用の井戸は異なる箇所であっても水を引き合う可能性はないとはいえない。なにしろ地下のこと。現在の正確な地下水脈については、はっきりしないのだという。とすれば、慎重に管理するのが当然である。

ではこの消雪に使われる水量はいかほどなのか。1/13、県道の融雪水の管理をしている山形県庄内支庁の建設部、道路計画課 維持調査係主査にお話を聞いてみた。県道の消雪の地下水利用は、庄内管区で50箇所あり、それぞれの区間ごとに井戸を堀り、それに使っている。操作の管理については、それぞれの消雪パイプが埋まっている地域の除雪業者に委託され、ほとんどの場合、気温や湿気のセンサーで水の操作が自動的におこなわれていると聞いた。水量は、360mの管で毎分1t。鶴岡の雪消し水設置道路は9箇所、4.6kmあり、それぞれの取水の総計は、毎分11.2トン。一日24時間フル稼働すると1万6千128トンもの地下水を消費することになるのである。また市企画調整課によれば、市道で雪消し道は5.68kmにわたってあるそうである。とすると、フル稼働すると少なくとも一日約3万トン以上もの地下水を使用していると見積もることができる。これが、毎日4万トンの取水をする上水道の地下水に全く影響しないと思えるだろうか。また、新潟県長岡市のように地盤沈下の恐れもある。

酒田市では、県道も市道も5.6年前に廃止になっている。県では「こうした仕様の道路は、昭和50年代に広がった方法で、だんだん廃止の傾向にある」とのことだった。であれば、鶴岡市は飲料水の保全のためにも早急にこの雪消し水を廃止するべきなのではないだろうか。

また、鶴岡市では、山形市などで実施している地下水保全条例もなく、住民が市への届け出なく地下水を掘ることができる。そのため、消雪用に地下水を掘る事業者や個人が後をたたない。こう考えると、10万人の飲み水を良質の地下水でまかなっている水の都、鶴岡の貴重な地下水は、あまりにも管理がずさんである。

月山、朝日連邦のブナ林からの恵みでもある豊富で良質な鶴岡の地下水からなる上水道は、ずさんな管理の中で、「不足」と叫ばれ、月山ダムの水に切り替わろうとしている。市民の水道料金負担が増大し、また、薬品処理がさけられないダム湖水の漂流水を利用した広域水道への切り替えは、この地下水管理事情からするとあまりに安易としかいえないのではないか。          

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