草島進一 99年6月定例議会 一般質問  30分。


一般質問:庄内南部広域水道計画の現状と今後の措置について

                            草島進一 

                        1999年6月 16日

議会制民主主義に基づき、鶴岡市民2968名の志の代表として質問いたします。

 庄内南部広域水道計画は、月山ダムの堤体工事が9月にほぼ完成する予定であり、また、広域水道の導水管も90%が完成していると聞いております。計画は、給水の開始に向けて着々と進んでいるといっていいでしょう。しかしながら、今、この計画が実現されるにあたって2つの重大な問題が、われわれ市民の前に立ちはだかっております。一つは言うまでもなく、今後長年にわたって非常に大幅な水道料金の値上がりを余儀なくされることであります。

もうひとつは、これまで慣れ親しみ大切にしてきた地下水からの水道用水がダムからの表流水にかわることによっての、水質、安全性、味の面での大きな変化の問題であります。

1、今後の水道料金の値上げについて

 まず、水道料金の大幅値上げに関する問題について問うてみたいと思います。

鶴岡市の水道事業経営にとって現在、もっとも切実な懸案となっているのは、予定どおり行けば2年後に迫った平成13年度から始まる広域水道からの受水にともなう費用をどうまかなうか、ということであります。 

 市水道部が平成9年度に「水道料金協議会」に出した資料によりますと、平成13年度の受水費の総額は、24億4476万円と試算されております。その前年までまったくゼロであった経費が一気に24億円以上も激増するという、たいへんな事態が起ころうとしています。しかも、この負担額は、平成13年度一年こっきりのことではなくて、平成14年度も15年度も、それ以降毎年毎年、ずっと将来にわたってかかってくる経費なのであります。

 現在、鶴岡市水道の年収はほぼ20億円です。これに対して維持費用、受水費併せて約45億円。24億円余りの新たな負担が今後ずっとかかってくることが明らかですから、このまま行けば当然のことながら、水道会計は毎年数十億円の赤字を積み上げてゆき、近いうちに経営破綻に追い込まれることは必須です。

そこで市水道部としては、「水道料金協議会」にはかり、まずは第一弾として昨年平成10年10月から平均30%の値上げの承認してもらう答申を得て、実際に、市民の水道負担は重くなりました。

現状、県からの受水費が明快に提示されておらず、水道料金の試算については、村山広域水道をもとに算出されていますが、それによると、値上げ前の2.5倍、平均家庭で使う水量20mlで2037円だったのが5092円になります。鶴岡市の平均水量の23mlだと、2285円だったのが、5712円。この値はほぼ全国トップクラスというべき水道料金負担です。

2、広域水道の人口・水需要計画について

 水道料金協議会は、平成10年度1月に富塚市長に出した答申の中で、次のように述べています。諮問された49.53%という改定率についてですが、「市民生活への影響が大きく、また、受水前の改訂でもあり市民の理解を得ることが困難であると思料されることから、改定にあたっては市民生活及び低所得者層等へ及ぼす影響を十分に考慮し、水道財政の維持を損なわないことを考慮しつつ、35%以下に抑えるべきである」というものです。

 実に、水道料金の値上げというものは、市民の生活への影響が多大であります。第1弾の値上げを35%以下に抑えたからといって、その後の市民負担が減るどころか、かえって後の負担増が大きくなるわけです。たいへん残念なことですが、鶴岡市民は今、水道料金に関してたいへん過酷な負担を新たに背負わされようとしていることだけは事実であります

では、なぜ市民にこのような過酷な負担を強いなければならない事態におちいってしまったのでしょうか。「庄内南部広域水道計画」の中身について点検したいと思います。

 

当計画は、昭和55年に県によって策定され、鶴岡市も55年の市議会でこれに参加することを決定しました。厚生省の認可も受けたこの広域水道事業計画の目標年は、平成17年、西暦2005年です。当初その時点での鶴岡市の給水人口は、11万5420人と見積もられています。その後、昭和60年に一度修正され、計画給水人口11万人とされています。

現在、鶴岡市の人口は10万549名人です。ここ数年、人口は10万人代をほぼ横這いの傾向をたどっています。

 計画策定よりずっと前の昭和40年(1965年)ごろは、どうだったでしょうか。

9万5000人台です。ということは、この30数年間で鶴岡市の人口は、4000人から多くて5000人しか増えていないのです。

 さて、この先はどうでしょうか。厚生省の人口動態予測をごらん下さい。全国の(グラフを提示)人口は、2007年にピークを迎え、年間60万人づつ人口が減少するということです。また、この青色のグラフは山形県なのですが、山形県の人口、約125万人の人口は、なんと、ピークが昭和25年だそうで、それからほぼ横這い。そして、95年からは、年間4000人あまりづつ、減少の傾向にあります。

 このような全体的な傾向と、鶴岡市のこれまでの人口推移からみて、今後の鶴岡市の人口は、減ることはあっても11万人台に到達することは考えられません。仮に現状を維持できたとしても、広域水道計画だと給水人口が1万人余り、過大予測となるのではないでしょうか。

 

○計画給水量はどうでしょうか。一日最大給水量が7万2602トンと設定されています。これはいったいどれくらいの量かと言いますと、現在、鶴岡市の1日最大使用実績が多めの平成8年で5万3301トンです。1日ざっと2万トンもの水を、今よりも多く保有する勘定になります。2万トンの水の量というのは、現在平均的に鶴岡市で使っている1日の水量の半分弱にあたります。言ってみれば、この広域水道計画は、これまでの1・5倍もの水量をまったく新規に確保する、どう考えてみても過大な計画だといえましょう。

また、料金制度が、使用量制ではなく、いくら使っても料金は一定という責任水量制をとり、その基礎数値としてこの7万2602トンが使われておりますのでなおさら問題です。

 最も過大な見積もりとして指摘できるのが、1人1日あたり最大給水量673リットルという数字です。これは、全国的にみてもあり得ないことで、東京都でさえ500リットルそこそこですから、いかに異常な数字であるかということです。これは各家庭、水を新しく変えたお風呂にもう一回ずつはいらないといけないぐらいとんでもない数字です。

私が何を言いたいかと申しますと、このように庄内内部広域水道計画そのものが、どの要素一つとってみても、いかに過大な計画であるかということであります。

次に水質の変化について指摘します。

ダムの表流水、それも月山ダムの場合、薬品を多量に使用する急速濾過という方式をとるわけですが、その水は、地下水とは水質が明かに異なります。

表流水は、大気と接しているわけですから、浮遊物質や細菌、有機物質が含まれますので、それを除去するために、凝集剤として、ポリ塩化アルミニウム、凝集補助剤としてカセイソーダ(水酸化ナトリウム)、そして消毒としてジ亜塩素酸ソーダが加えられます。

表流水源水は、一般に有機物が多く、梵字川も地下水1.1mg/lに対し、その約5倍である4.9mg/l含まれます。(平成10年6月16日)

ここで問題なのは、ジア塩素酸ソーダの処理過程で、この有機物と塩素イオンが結合し、世界中で発ガン性物質と認知されているトリハロメタン類を発生することであります。

月山ダムのケースとほぼ同じ規模で、同一の濾過方法をおこなっている村山広域水道浄水(平成10年度)と、鶴岡市水道浄水(平成9年度)を比べると、総トリハロメタン値、で鶴岡市水道が0.0002〜0.0015mg/lなのに対し、村山広域水道では平均で0.0128mg/lと、一ケタ多いのです。つまり、10倍から60倍多いということです。

水道水として最高品質といわれる最もおいしく、安全な地下水が、「薬漬けの危険な水になることは明らかです。」(いいすぎでした!「」部分は後に取り消しました!)

特に、現状の鶴岡の地下水は、きわめて良質な事で知られます。ごらん下さい(ミネラルウォーター「DEWA water」のボトルを見せる)

現に、鶴岡市の水道水とほぼ同様の水源の深井戸170mから業者が採取し、加熱殺菌処理をしている水が出羽三山の名水、デワウォーターなどとして、販売されています。首都圏、関西では、よく売れている水なのだそうです。この水は、硬度が46と中間値で、質が良く、そして価格も1ケ95円と最も安いのだと、担当者は自慢げに話しておりました。

世界的に言われる水資源の常識からいっても、地下水は、降雨などの自然変動にほとんど左右されない安定水源であると同時に、水質変動もほとんどない良質な水源である。ということが言われています。

まとめるとするならば、

この計画は、すべてにおいて右肩あがりの昭和55年の計画のままで建設が進み、現状とはそぐわないものになっています。

この計画が実行されますと、私たちは、日本全国でも地下水の宝庫である、有数のブナ林や万年雪で知られる月山のふところに生活しながら、質のおちる、発ガン性物質のおそれのある水、そして料金は全国でトップクラスの水を飲まなくてはいけなくなります。

料理は水が命といわれています。全国でも旨いものが多いとされるこの鶴岡。お寿司やさんは、うまいしゃり。そば屋、とーふ屋、味を追求するほとんどの飲食店では、水が変わって料金も2.5倍という中で、商売がなりたつのか、みんな心配しています。

都会の喧噪でもまれて田舎に帰ってきて、この水を飲むとほっとする。私自身もそうでした。この「ほっとする」心のやすらぎ。21世紀に価値あることというのは、このような事なのではないでしょうか。この水は鶴岡を支える大きな魅力だと思います。

月山、朝日連邦の豊富なブナの森に支えられた地下水は、

日常生活、産業、観光、健康、すべての面からいって、大きな文化財産であり、これを失うことはその総ての面で大きな損失です。

また、私も震災後の神戸の現地で、完全に広域水道が壊滅的で使いモノにならなかった時、びくともしない宮水などの地下水が大いに機能することを体験しましたが、大きなパイプラインに頼らざるを得ない広域水道に比べ、地下水による水道水は大きな災害対策でもあります。

私たちの代でこの水を失うことは、これまでこの文化を受け継いでこられた先人たちに恥ずべき事だし、良質な地下水とのつながりを絶たれ、過大投資のツケを払わされる未来のこども達にとって、本当に申し訳ないことだと考えます。

私は、このおいしい、安全な鶴岡の水を昔話にしたくありません。

この計画は、過大すぎる水需要を想定した、現在の市諸情勢と全く適応しない、根本から見直しされて当然の計画と私は思います。今のままの人口推移、水需要からすれば、この計画は明かに破綻しています。それに良質な鶴岡の地下水には、今や特別な価値があります。

まずこのような諸事情を踏まえる中で、ダムからの受水をしないことを含めて、この広域水道計画を見直しをするお考えはないのか、市長のご見解をおたずねいたします。

その後、自席にて、追加質問いたしたいと思います。

この後、市長が答えました。

えーま、あのただいまの諸説をもって立候補された、一番議員のご意見、また改めてお聞きしましたが、またこれからもいろいろと議論は、お聞きをすることになるだろうと思います。結論から申し上げますと、市長の立場において、これは私個人ではなくて、昭和55年に計画を決定して、関連の市町村、並びに、県、国との組織的協議を通じ、民主的に決定した計画でありますので、これを改訂するということは申し上げかねます。変更する気はありません。で、その間、しかし、私どもこの問題について、当時の議事者、行政政治を預かる立場の方々、本当にこの将来の事を考えて、まず地下水は実際に人々の必要とする水量に十分あるだろうか。ま、当然そのころは、私も県の現職にて、地下水の過剰汲み上げ、その地球の尊い水を搾り取るそのことが、果たしていいのだろうか。しかも地下水のかんようというのは、何十年もかかって、わずかずつ、水が蓄積されるそういう地球のメカニズムの中で、無尽蔵に汲み上げていく、ということが、許されるだろうか。というのが、地下水の規制を考えていく、国全体の動きであったはずであります。そして、現実に地下水であっても議員指摘されているような、いい水だけでは、ありません。鉱物の含有地下水、あるいは、有毒の鉱物の地下水も存在する可能性があるわけでありまして、常にどこでも、地下水は、飲料に適当かということではない。たまたま、鶴岡の場合は、この東部のほうに水源がある。ただそれも、地元の地権者のご了解を経て、田圃をお借りして、井戸をとって、そして約束をしながら、供給をしてきているということであります。

まもっぱら、まず、一義的には、市民のみなさんにこれからの事を考えて、本当に安心して水を供給していく社会的な責任を果たすにはどうしたらいいだろうということを真剣に考えてこの55年の計画に踏み込んでいかれたものと思います。

そして、ここ数年前のことでありますけれども、私も終夜、水道部にいって心配しながら監視した冬期間、大寒の時のことを思い出すのでありますが、みるみる貯水池の水が枯渇をする。とうてい高台の方に必要な時に水を供給できる水位を確保できない。いうふうな事で、必死になって、職員は徹夜をしながら、タンクの監視をしながら水の調整をしたのを、私も深夜、見つめていたことを思い出していますけれども、当然、夜は断水をして、自宅には、ある夜間の営業をしている方に、商売ができない。その商売ができないところを、市長は損失を補填すべきである。などという提案をいただきながら、その切なる声も、ごもっともだなあと、いう風にお聞きしながらおりましたけれども、冬も夏もそういう経験を現実に水道部の職員は、なめているわけであります。これから大いに、議論は議論として、やっていただきたいと思いますし、水道料金を安くする。そしてうまい水を確保する。ということは、現行計画の中で、最善の努力をするということを、水道部長は、本日もたとえば、三浦議員に答えているとおりでありますので、ま、その趣旨に沿うて私は、進めていく。かりにこれを、どのような事を議員は期待されているのか、よく存知あげませんけれども、この計画を廃止する。ということになりますと、極論でありますから、いささか問題かもしれませんけれども、国民の立場からすれば、この地域の人のために、税金を供給した、1千なにがしかの内、我々が負担する部分以上に、国民が負担している部分の損失を、どうして保証してくれるのだというような、新たな責務も事務的には、行政的には生じる。そういう責任も念頭におきながら、総合的に、これまでの長い間の民主的手続きを踏んで積み重ねてきたことに対する、配慮も欠かすことなく、しかし、科学的に、客観的に、あなたがいうのが、本当に、学会のレベルにおいて、適切かどうか、私もわかりませんし、ま、その辺は客観的、科学的に、冷静に判断できるような、事も今後、ま、あなたのいろんなご討議の中に水道部もはいるでありましょうから、その辺のことも十分に検討させるということを踏まえつつ、これから対処していきたいと、こう思っております。

その後、手をあげて、追加質問をしようと思いましたが、議長が水道部長を指名し、水道部長が長時間説明したため時間がアウトとなりました。

それから、「議事進行!」が自民系議員よりかかり、

「発ガン性物質」ということについて、著しく住民に不安を与える恐れがある。とおっしゃり

会議は休会。議会運営委員会がはかられました。

「トリハロメタンが発ガン性物質と世界中で認知」

「危険で薬漬けの水」

「発ガン性物質のおそれのある水」

この3点の箇所について、議論されました。

水道部長が「トリハロメタンは発ガン性物質である」ということを名言。しばし、みなさん納得するも、「しかし日本の基準値は0.1なので、この値ならば健康に害はないとされている」と発言。

「表現がいけない」と主張する方あり。

これを傍聴しながら、「薬漬けで危険」はとりけそうかと、議長に申し入れ、

議会開会後、水道部長が、「トリハロメタンは確かに発ガン性物質として認知されている。しかし、基準値は0.1なので、それ以下ならば、一生飲んでいても健康になんら被害がない」とされているので安心していただきたい。と発言。

1番、草島は、さきほどの発言の中、「薬漬けで危険な水は明か」とは言い過ぎたと思うので、その部分のみの取り消しを求めると発言。

ここでまた議事進行がかかり、。

「発ガン性」という箇所はどうなのかということになり、再び 議会運営会議。

「市民に動揺を与える」などと発言する方あり。

結局、そこの訂正をするのかと私に聞くことになり、別室で、私に質問される。

私は、取り消しをする気はない、が訂正はありうる。しかしながら、この「発ガン性のおそれ」にも様々データを照らし合わせてみたいので、1日待っていただきたいと発言。

結局、いろいろおっしゃる議員もいたが、結局24日の本会議上で、決着をつけることになった。


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