パドル「地球の声通信5号 水問題総括。


2001年10月20日、広域水道の水になって、

鶴岡の大切な宝を失う日。


鶴岡の水が10月20日午前0時、ダムの水に切り替わろうとしています!

20年前の先ず「ダムありき」の過大な水需要計画を強行するために、強要される広域水道水です。

庄内南部広域水道事業は、当初予定していた人口11万5000人(鶴岡市)1人あたり716リットル、8万2602トンという過大な水需要を想定し、1万トン下方修正したもののその後、人口が増えず、節水が進んでいるにもかかわらずそれを見直すことなく、強行されてきました。
 持続性補給量、日量25万トンという東北最大規模の地下水源から最大5万800トン取水できる第3次拡張計画を実施した昭和55年からは、ほとんど水不足になる事なくバランスを保ってきたものの、地下水源のずさんな管理、井戸のメンテナンス不足から、今まで幾度となく、政策的な水不足をひきおこし、市民の皆様に多大な迷惑をかけてきました。
 ダムの水をアピールしたいからとはいえ、昨年には夜間断水まで引き起こすという政策誘導策には、大きな行政責任を問わずにはいられません。昨年、能力が低下していたにもかかわらず放置しておいた井戸2本は、今年6月に修繕し、おかげで今年の夏は水不足ひとつおこりませんでした。
 3万トンもの地下水が、ムダに放棄される。大胆かつ無謀な計画!

地下水調査をおこなった大学の先生方は、口をそろえて、「これは明らかに井戸の問題で地下水が足りないのではない」と主張しています。日本の地下水の権威、柴崎達雄先生が、昨秋、鶴岡の現地を訪れ、良好な地下水資源と評価しても、市長をはじめ当局や、与党各党の議員は、地下水調査ひとつせず、無視をし続けました。

 今、鶴岡の地下水井戸は、深井戸28本、浅井戸5本です。10月20日よりこのうち、浅井戸はすべて放棄し、深井戸は、7本を除いてすべて放棄されます。現状随時4万トン取水できる井戸のほとんどがムダになり、そしてダム水を3万2439立方メートル優先的に供給し残りを地下水で補おうという計画です。


 ダムの水は地下水源より、2ランクも水質が劣る「まずい水」です。

9月議会私の一般質問で「1ヶ月前なのに水質データひとつ示さないのはなぜか」との問いに、当局は、渋々9月20日に水質データを建設常任委員会で公開しました。結果は次頁のとおりです今まで飲んできた地下水がいかに優れている「おいしい水」かがわかるはずです。広域水道の原水には、「大腸菌」や「一般細菌」が含まれています。それを殺菌するために今までとは比べものにならない大量の塩素を加えます。そして、薬品を加えて濁りを沈殿させ、急速に濾過する、まさに薬品と機器に頼った処理方法で浄水されます。この方法は、「急速ろ過方式」といい、水の精製過程で発ガン物質トリハロメタンやクロロホルムを発生することで問題視されたり、浄化が不十分で、原虫クリプトスポリジウムや、合成洗剤成分、カビ臭などの原因物質などに対処できないことから、「見直し」が迫られているろ過方式なのです。この事は、先日、鶴岡で講演した信州大学教授、中本信忠先生が明解にお話して下さいました。
 水道水は、46項目の水質基準を満たさなければ供給できません。でも誰もが「まずい」と感じる東京の水も大阪淀川の水も基準値内です。「基準内でも味は水源や浄水方法によって、特級品から3級水までの差がある」と中本先生や、厚生省おいしい水研究会委員だった小島貞男先生は指摘しています。小島先生のの基準では、いままでの水は特級水。ダム水は2ランク下がります。


ダム湖に朝日村の集落の汚水が流れ込んでいる!
6月に指摘したのに!

 
 水源のダム湖に15軒の家庭雑排水が流れ込んでいる問題を6月議会で取り上げ、受水までの解決を求めたにも関わらず、全く対処ひとつありませんでした。今議会、その姿勢を再度問いましたが、平成17年までに解消するなどと、漫然とした当局の態度です。水を利用する下流域で費用負担するなど、特例措置を提案。このままだと原水の汚染を見逃したまま、その水を飲まされることになります。みなさんは納得できますか?

料金は5年で2倍
水質は明らかに落ちる。
水道受難を強いていいのか。

 鶴岡市民は受益者よりも受難者では?
結局、この広域水道事業は、料金は平成10年、30%、今年の28%そして、2年後に17%値上げが予定されており、結局2倍の料金に膨れ上がる。また、節水が進めば値上げせざるを得ない悪循環。破綻がまっている無謀な広域水道計画と指摘されています。水質の面でも劣る水ということは、住民サービスとして低下の一途をたどる計画なことは明らかです。



けっしてあきらめないで。

おいしい地下水が育む鶴岡の風土を未来へ。

私は98年、WWN(ウォーターワッチネットワーク)を立ち上げ、また、議会活動を通じ、月山ダムの広域水道の問題を徹底的に追及してまいりました。研究者の方々と論点を整理し、昨年12月には市民のみなさんの1万2735名もの直接請求署名をもって住民投票活動を行い、この問題を徹底議論する場を求めた訳ですが、力及ばず、今回の水源の切り替えの根本を止める事はできませんでした。
 しかしながら、運動の成果として、若干水道料金の低廉化に貢献できたかなということと、この広域水道政策の問題点が、鶴岡を例として
メディアを通じ、全国に問題提起する事ができました。ダムの負担金などで、デフレ時代に水道料金だけが高騰している事。豊富な地下水源をもちながら、それを大胆にも放棄しなければいけない現状。水需要予測が大きく外れても見直しできない構造などといった事。これはこれまでこの運動を支援してくださったみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。 運動の中、調査する内に、同様の状況の中で、料金や水質を維持しようと市民の声に応える努力を懸命におこなっている自治体の方に多くお会いしました。しかしながらどうも鶴岡市だけは、いくらこうした事例や研究者の助言をいただいても、一切市民の声に耳を傾けない姿勢を貫いているとしか思えません。 
 庄内で強行されようとしている広域水道事業は、20年前の甘い見通しが完全に外れ、また、よりおいしい水を求める昨今の状況の中、結局、料金高騰、水質低下を招き、サービス低下を引き起こすことが次第に明らかになってきました。 市民の大多数の方が、今飲んでいる「おいしい水」を町の誇りとして大事に思っていると私は確信しています。全国の水道水の水質が悪化し、安心できなくなり、ペットボトルや浄水器に頼らざるを得ない、まさに「水道難民化」している中で、同様の地下水源より隣町で業者が堂々とペットボトルにいれて全国販売していることを思えばなおさらです。
 飲食店のみなさんのご心配、主婦の方の子ども達に対しての不安。こうした事をいくら訴えても、どうも「ダムの水はおいしい」だの、「はったり」だのという力で押さえつけられてきました。でも私は声を大にして訴えたい。
 鶴岡の風土を支えてきた水道資源を、この市では多くの市民の声に耳を傾けずにダムの水にしようとしている。21世紀、地域の自然風土に根ざした地域文化を創造する時代への逆行をおこなおうとしている。切り替わってからも決してあきらめず、生活者の視点で追求し、この風土を守っていきたいと強く思っています。

水道問題のこれから

「決してあきらめない」それが原則です。みなさんもぜひ一緒に力を合わせていきましょう。よろしくお願いします。
●声を寄せて下さい。声を挙げてください。--皆さんの水道に対するご意見を徹底的に集約します。 
 今までも様々な自治体で、こうした水源切り替えがおこなわれ、市民は泣き寝入りの状態でした。鶴岡からその悪連鎖を断ち切りたいと思います。どうか何でも結構です。水の味、困った事などなど、声を寄せて下さい。まとめあげ、提示していきます。
●広域水道の水質チェックと情報開示
 地下水源とは違い質が変化しがちな広域水道。月1回の水質チェックを促し、ホームページなどでみなさんにお知らせします。
●鶴岡の地下水源の活用方法を徹底調査、提示していきます。
 今放棄されようとしている水源地付近に地下水をくめる場所をつくる計画が進んでいるようですが、最大1万トンしか使わない計画のようです。東北随一の水源の3万トンもの水を放棄するべきか、徹底調査、有効利用の方策の検討をしていきます。

●鶴岡並びに周辺市町村の地下水調査を徹底させ、地下水保全条例の制定をめざします。

●情報開示、市民参加
 都合の悪いことは教えない、都合が悪い人は排除する。そんな行政姿勢を正します。

●ダム、広域水道事業は、全国の研究者、NGOとタッグを組み、脱「水道難民」を果たす、水の復権運動を展開していきます。


 9月議会そのほか

●鶴岡公園そばにできた慶応義塾大学と市民の共有施設として建設した「致道ライブラリー」は、1日、入館者数30人程度、市図書館は650名とすればほとんど利用されていない。入館目標もたてない漠然とした運営でなく戦略をもって取り組まなければ、血税を投じた市民は納得しない。反省と改善を求む。

●米国テロ事件と戦争に思う。
比較文明学会が10月6、7日に行われ参加した。闊達な議論を聞きながら、やはり、「報復の応酬」とか「戦争」は答えではない。生きとし生けるものの権利を尊重する時代、「和の国」日本から、平和的な支援や発信をすることが大事。という意見に共鳴。その次の日に「報復ミサイル」が飛んだ。このままでは戦争の20世紀から私たちは何も学んでいないといわれかねない。広島を思い出そう。狂った社会を再生せぬよう。動き出そう。
戦争反対! LOVE & PEACE!