羽黒町長 中村 博信 殿
鶴岡市長 富塚 陽一 殿

<鶴岡の“井戸埋め立て”再考のお願い>

国際的な環境・文化NGOであるナマケモノ倶楽部(本部:東京都)は来年から、鶴岡
の美味しい井戸水やそれを活用した産品を関東地方で共同購入することを検討中です
が、井戸を埋めてしまうという話に大変驚いております。多額の費用をかけて作られ
た井戸が、蓋をされるのではなく、砂利で埋められるという話も理解に苦しむところ
です。それらの水は、昔から庄内平野で生を営んできた人々が利用していた「いのち
の水」と私たちは認識しております。その「いのちの水」を、市民からの反対の声が
あるにもかかわらず、人為的に埋め立てようとしていると聞き、事態を憂慮しており
ます。

ナマケモノ倶楽部では、本年7月に「スローウオーターツアー」と題した、鶴岡の美
味しい地下水の視察ツアーを行いました。地元の方の案内で湯殿山の神秘性に触れ、
またそこを水源とする赤川の、扇状地の涵養からなる地下水、井戸水の恵みをいただ
き、それらの水を使って作られた地場料理を堪能しました。(資料添付)地産地消と
いう贅沢を心ゆくまで味わい、またそれらの産業に携わる方々の地元を愛する心と誇
りを通じて、気付かされたことがありました。それは、多くの都市が工業的発展とと
もに失ってしまった、心の豊かさ、文化の深みに他なりません。

地震の多い日本では、井戸の存在が命を救う可能性があります。また、鶴岡の井戸水
の美味しさは、鶴岡を訪れた当会メンバーも一様に認めるところであり、それ故にこ
の美味しい水を活用した産品の共同購入計画が検討されているわけです。地域住民に
愛され、また地域の文化を育んできた「いのちの水」。鶴岡の地下水を軸として行わ
れる地域産業は、今後、新しい地域発展モデルとして注目されることになるでしょ
う。

当会は、国内会員500名、海外会員130名の小さな団体ですが、そのネットワークは全
国に広がり、「スロー」をキーワードに「農のある暮らし」「地域発信型の文化」を
提唱して活動しています。
「スローウオーター共同購入計画」は、都市に暮らす人にとって、顔の見える安心な
水の供給計画であり、鶴岡の水を通じて自分達の暮らし方を捉えなおそうという文化
運動です。

どうか、この貴重な井戸水を活用した私共の計画が、今後発展しますように、関係者
の皆様に再考を心からお願いする次第です。

ナマケモノ倶楽部世話人・辻信一(明治学院大学教授)
ナマケモノ倶楽部世話人・中村隆市(ウインドファーム代表取締役)
ナマケモノ倶楽部世話人・アンニャ・ライト(歌手・エクアドル在住)

ナマケモノ倶楽部事務局・東京(馬場直子)
ナマケモノ倶楽部・府中(吉岡淳:元ユネスコ事務局長、(有)カフェスロー代表)
ナマケモノ倶楽部・千葉(小澤洋祐:(有)スロー)
ナマケモノ倶楽部・宮城(小野寺雅之:食育の里ネットワーク)
ナマケモノ倶楽部・山形(大谷ゆみこ:いるふぁ代表)
ナマケモノ倶楽部・関西(大岩剛一:成安造形大学教授)
ナマケモノ倶楽部・函館(ピーター・ハウレット:南北海道自然エネルギープロジェ
クト代表)
ナマケモノ倶楽部・福岡(矢野宏和:コーヒー画廊「土夢風舎」オーナー)
ナマケモノ倶楽部・熊本(松尾聖子:まちづくりNPO「里山楽縁ねっとわーく」事務
局長)

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