山形県知事 高橋和雄 様
鶴岡市長 富塚陽一様
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10月20日、庄内広域水道受水にあたり、
山形県、鶴岡市に対する申し入れ書
月山ダムと庄内南部広域水道事業の政策の問題点について、以下のように指摘をし、今後の政策にいかしていただくよう要望する。
又、山形県知事、鶴岡市長の見解を求めるものである。
10月20日、月山ダムからの給水がおこなわれようとしているが、受水の日から生じる水質悪化、水道料金高騰をきたす水源の切り替えを多くの市民が不安を覚えているのが現状である。昨年、広域水道受水の是非を求めて、12735名もの直接請求署名が集まった背景には、こうした市民の思いがあるということを先ず、感じていただき、以下の問題をとらえ、次なる政策に反映していただきたい。
1,水質の問題について
□月山ダム水源地域へ家庭雑排水の流出問題。早急な解決を。
●朝日村田麦俣集落15世帯から家庭雑排水が流れこんでいる事実について、6月の鶴岡市議会で指摘をし、新聞紙上でも大きくとりあげられたにもかかわらず、流域市町村のリーダーである鶴岡市長及び県では協議ひとつしていなかった事が、同9月議会で明らかになった。実に不誠実な話である。
●全国でも有数の「おいしい水」を享受してきた鶴岡市民にとって、できるだけ安全でおいしい水を供給する。それが水道事業の使命ではないか。水源地域としての合併浄化槽の早期設置を求める。そのための県の補助金、流域市町村での設置費用捻出など特例措置を含め早急に協議、解決を求める。
□ダム水の月一回の水質検査データの公開を求める
●地下水源と異なり、ダム表流水は水質が不安定であることが知られている。月一回の46項目、快適項目の検査をおこない、その都度流域住民に公開をすることを徹底してほしい。
●赤川流域はクリプトスポリジウムが発生したところでもある。急速濾過法で事故を起こしたケースも過去にあるので、この調査も月1回毎に調査をおこない、原水、浄水のデータの公表を強く求む。
□水道水源として地下水とダム表流水との水質の違いはあきらかである。全国の先駆的事例に学び、自己水源(地下水)を維持し有効活用する方策を求める。
現在鶴岡の水道水とほぼ同水源から、「ブルボン」が「天然銘水出羽三山の水」としてミネラルウォータを製造している程。それに対し、先日公開された、水質データをみても広域水道水は「おいしい水」の基準を満たすものではない。
ダム水を急速濾過方式で浄化する広域水道水では発ガン物質と認定されている塩素化合物が10倍も増加する。米国で基準値内でも流産の危険性あると指摘され、ないにこしたことはないことは明らかである。昭和8年より水道水として、また、それ以前から、地下水井戸を使用し、これまで全国有数の「おいしい水」を享受してきた鶴岡をはじめとする庄内南部地域在住の市民にとって、水質が劣る「ダム水」を水道水にすることは、食文化の消失、産業の消失をきたすおそれがある。
全国的に今、国の基準値を満たすものの、水道水に対して安心できない人、よりおいしい水を求める人が浄水器やミネラルウォーターを求めている。地方自治体の水道事業は、そうした市民のニーズに応える努力をして当然であり、水質、経済面でも無視できない「地下水資源」を見直す動きが全国で起きている。
神奈川県秦野市では宮が瀬ダムのダム受水をしながらも、地下水源を100%残す計画を掲げている。神奈川県座間市も昭和初期の頃からの地下水源や、借用井戸をフル活用しながらの水源活用をはかっている。東京都三鷹市では汚染を解消しながらも地下水資源の活用をはかっている。東京都昭島市では都の一元化に加入しながらも100%地下水の水道を保持していこうという方向だ。涵養源の減少傾向を地下水浸透マスの設置、水田への冬季導水、涵養田(六郷町)などの施策を実施し、水源維持をしつつ地下水利用をはかっている。こうした先進事例に学び、「おいしい水」を求める市民の声を反映する受水計画を作成しなおすなどの対応を求める。
□水源切り替えを強いられても庄内の良質な地下水は貴重な自然資源であることにはかわりはない。庄内南部の地下水源量の早期徹底調査、管理、利用優先順位の設定などを強く求める。
鶴岡市では実績として最大5万3000トンの地下水源からの水道水を供給してきた。昭和55年におこなわれた地下水調査では、「赤川扇状地の水田で地下水を涵養している鶴岡の地下水は非常に豊富。52700m3の取水は25万トンの持続性補給量があるので十分に可能。地下水は良質であり、水質も年間一定という飲料水源として好ましい性質をもつ。また取水にあたっての経済性も無視できない。地下水利用の短期、長期の利害を調整し、今後とも鶴岡市の水資源として有効利用を図ること。」などの提言をおこなっていた。そして調査主任教授、柴崎達雄氏が昨年秋に踏査した結果、当時のデータは通用するということを確認をした。
地下水源としては十分ある。それにもかかわらず県も市当局も、実地の調査を行うことなく、水源放棄をしようとしている。それが現状である。
そもそも昭和55年の計画時に、柴崎氏より「5万2千トンの供給に耐えうる」といったレポートが提出されながら、1万トンしか自己水源を残さないような計画になっているのか・何を根拠としているか未だはっきりとしない。
●資源としての地下水は、新潟の業者が全国販売していることを考えると、今酒田市で検討がはじまった「海洋深層水」よりもはるかに実績のある有効資源だと考えられるがどうか。
また、地下水源については、工業用水道用の井戸は、平成2年に7億円をかけて整備をし、1万トン取水できるようにした。他の工業地帯や、企業は、敷地内の井戸を規制ひとつされず、無雑作に工業用水や、消雪用水として使用しているのが現状である。特に消雪用水としては、国道、県道、市道で大雑把に計算しても日量3万トンもの地下水が使用されている。
そのようなずさんな地下水管理の中で、市民の水道水用の水源井戸は「足りない」などの理由がつけられ、放棄への一途をたどっている。優先順位がまちがっているとしかいいようがない。
●企業等で、地下水の状況が把握できるよう計測を義務づけ、利用優先順位を定めた地下水保全条例の 制定を求める
●庄内南部地域の地下水調査を早急に実施し、県や市の資源として活用策の検討を強く要望する。また その検討の際には、市民、県民の声を十分聞き入れながら慎重協議される事を望む。
2,水道料金の問題について
□庄内南部広域水道事業は、契約水量の見直しなければ水道事業の破綻の危険性がある。抜本的な見直しを求める。
●今回、給水原価を抑える処理はしたものの、契約水量7万2千602トンというあまりにも過大な契約水量は変更されいない。鶴岡市でも使用量の予測と実績の乖離が開き続けている現状でもあり、少子高齢化、人口減少の時代に対応できるか契約水量を見直すなどの抜本的な見直しを強く求める
□水道料金の高騰(鶴岡市は5年で2倍にあがる結果に)
庄内地方の広域水道参入において、水道料金が全国一高額な山形県を不動のものとした。今後の水道政策において、結果として市民サービスの低下を市民に強いる「まずダムありき」の「広域水道事業」政策を根本から見直す事を強く求める。
●用水供給事業を伴おうとしている1、長井ダム2、最上小国川ダム3、横川ダムについて、月山 ダムを教訓に、既存水源活用についてなどを検討し、できるだけダムに拠らない水源政策へと、再検討される事を強く求める。
以上、庄内南部広域水道事業における問題点の指摘をし、これ以上市民の不利益を生じさせないよう、改善策を山形県、鶴岡市に強く求めるものである。
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