住民監査請求書
鶴岡市 富塚陽一市長に対する 措置請求書
鶴岡市の元水道水源で、放棄が進んでいる井戸は、1基約5,000万円の12ヶ所分、約6億円もの開発費用を投じた市民の財産である。水源切り替えにあたって、水道水源としては不要となる井戸について、大規模災害時の活用や有効活用のための転用を求める市民の提案があるにもかかわらず、再起不能な埋め戻しを断行することは、井戸という財産の管理を怠る不当な財産の処分にあたる。工事費用の差し止めを求める。以下、詳細の理由を述べる。
1,庄内地域においては、庄内平野東縁地震、地震の空白域ともいわれる山形県西方沖地震が想定され、この15、16年で、防災計画の見直しの時期にきている事や又、今般合併の法定協議会もたちあがり、広域的な視点での防災対策の検討を求められている現状において、災害対策で極めて重要な「自己水源」として、近年その有益性が認知されている地下水をくみ上げる本件「井戸」施設は、市の貴重な財産であるから、これを安易に放棄することは許されない。
2, 鶴岡の水道水源については、昭和53年から55年まで、柴崎達雄(元、東海大学・新潟大学教授)らによる調査がおこなわれ、この調査によれば赤川扇状地約2000haの内、880haにおいて25万トンの持続性補給量が存在すると報告されている。2000年9月26日に柴崎らは、現地踏査を行い、9月27日に市民フォーラムの席で「この調査結果は現在でも通用しうる」との発言があった。将来使いうる水資源としてこれは無視できず、これを活用するための井戸は、貴重な市の財産であり、たとえ土地所有者に井戸用地を返還するとしても、可能な限り再利用が可能なように配慮されるべきである。
3, 「砂利で埋め戻す」埋め戻しの手法について、市は「井戸崩壊」「汚水浸透」「地下水源の変動」などが想定されるためとしている(資料参照)が、この根拠となる事実や事例の把握はおこなっていなかったことが水道部担当者の聞き取りで解った。あくまで市独自の想定で、必要以上でかつ、再利用不可能な工事を断行していると思料される。
このことは、最小の経費で最大の効果をあげる地方自治体の職務として不当なものである。又、防災対策上、自己水源を失う方向性にある本件は、大規模災害発生時の市民のリスクを高め、市民に不利益を及ぼすおそれがある。
請求者 山形県鶴岡市道田町21-29
環境NGO
草島進一 印
以上、地方自治法第242条第一項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
平成14年10月18日
10月19日(土)朝日新聞 山形版
鶴岡市の井戸埋め戻し
差し止めを求め市議が監査請求
水道水を月山ダムの水に切り替えた鶴岡市が、使用しなくなった「借地井戸」を埋め戻している事に対して、草島進一市議が18日、埋め戻し費用など工事費の差し止めを求める住民監査請求を出した。同市監査委員はこの請求を受理した。問題になっている井戸は、個人が地権者の井戸。監査請求書などによると、市が埋め戻し作業を進めているこの井戸は、「大規模災害時の活用や有効活用のための転用提案が市民からあるにもかかわらず、再起不能な埋め戻しをしているとして、「井戸という財産管理を怠る不当な財産処分にあたる」などと指摘している。
10月19日(土)読売新聞 山形版
10月19日(土)山形新聞
井戸埋め戻しで監査請求提出 鶴岡の環境NGO
鶴岡市に本部を置く環境NGO(非政府組織)のウォーターワッチネットワーク(代表・草島進一 市議)は18日、同市の監査委員事務局に対し、市が水源として使用していた井戸の埋め戻しを進めていることに関する住民監査請求書を提出した。請求書では●井戸は防災対策上、必要なものであり、埋め戻しは不当な財産処分にあたる。●砂利を入れて埋め戻す手法は、最小の経費で最大の効果を上げる自治体の趣旨に反する__などと主張している。
受理した監査請求書の扱いについて、市監査委員事務局は「今後、対応を協議したい」としている。
10月19日(土)読売新聞
井戸埋め立てで 住民が監査請求 鶴岡
昨年11月の月山ダムの完成に伴う水源切り替えで、鶴岡市が水源だった井戸を埋め立てるのは不当として、市民団体「ウォーターワッチネットワーク」代表で同市議の草島進一さんが18日、市に工事費用の差し止めなどを求める住民監査請求を行った。同市は計12カ所の井戸の埋め立てを進めており、草島さんは、「再起不能な埋め戻しは、井戸という財産の管理を怠る不当な財産の処分に当たる」などと主張している。