鶴岡の断水は、月山ダムからの試験湛水で引き起こされているのではないか!? 市、月山ダム工事事務所へ申し入れ 2001.1.26 |
元 山形大学教授 環境カウンセラー 桑原英夫氏の分析
1,過去2回の給水制限の教訓が生かされていない。
1月12日夕に、山形県地方気象台は、「異常低温注意報」をだしている(16日現在、継続中)。13日から14日にかけて気温が下がり、14日4時には、-9.6度を記録した(市水道部観測の最低気温は-13.8度)。・水道管の凍結・破裂事故のほとんどは、この寒さで起きたものと思われる。
このときすぐに、凍結・破裂事故の早期発見と節水を市民に訴えていたら、15日からの給水量の増加は、軽減できたはずである。しかし、14・15日の両日、水道部は市民に対して何の働きかけもしていない。(このことは、最低気温を記録した14日昼に水道部を訪れた草島が、女性職員一人で午前中だけで30件ほどの凍結の問い合わせ電話をうけるなどの対応をしていただけということを目撃している)
16日になって、広報車による節水広報を始め、17日午後8時に給水制限に入った。20日午前、水道部は記者会見をおこなった。その際、同日午前10時までの「水道管の凍結・破裂件数」が示されたが、「1996年の給水制限」で問題になった、寒気がゆるんでくると破裂している水道管から見ずが吹き出すおそれのあることについては触れていない。それを知った桑原は、同日夜、草島進一市議とともにNHKを訪ね、至急、このことを報道してほしいと要請した。なお、NHKは、翌21日の朝のニュースでこれを報じた。
2 過去2回の給水制限時とは違う事態がおきている。
今回の寒波によって給水量が増加する前から、給水制限にはいってからまで、取水量の減少傾向が止まらない。その原因は、まだ、よくわからないが、とりあえず、次の2点をあげておく。
1) 地下水取水施設について
取水施設。とくうに井戸を、広域水道移行までの「つなぎ」と考え、十分な手入れをしてこなかった「ツケ」が回ってきた結果である。すなわち、施設の劣化である。
2)地下水源について
地下水源にも、水位低下を含め、これまでにない現象が起きているように思われる。水道部は、今回も「例年にない寒波と降雪量で、水田などからの地下への浸透量が減った」というが、凍った地面にゆきが積もって浸透量が減った「1984年給水制限」とはかなり事情が異なるようである。
ところで、水道部は19日に、赤川の「みおすじ」を水源地のある左岸に寄せる工事をおこなった。また、24日には、河道の一部をせき止め、水位を上昇させる工事を行った。このように、赤川の「水」は扇状地の地下水に深く関わっている。1978〜80年に行った「地下水調査で、赤川は水源地付近の地下水にとって、夏は排水河川、冬は涵養河川になっていることが明らかにされている。
このような観点から、私たちは、「これまでにない現象」につながる「これまでにない出来事」の一つとして、昨年10月2日から始まった「月山ダムの試験湛水」のあることに気づいた。・
「試験湛水」は、24日現在、貯水量4千万トンに達している。その間の日数115日。したがって、1日平均34万8千トンの水がダムで止められ、下流の赤川流量が減っていたことになる。このことが、扇状地の地下水に影響を及ぼしていないのだろうか。
このことを検証するために、1995〜2000年度の赤川の水位データをいただき、2000年度分は26日朝までにコピーしていおくとのことで同所を辞した。そして入手したデータの解析を始めた。・
ところが、26日朝になって、2000年度分データの提供を拒否された。私たち の手による検証はできなくなった。
3)今後のために
1984年、1996年の場合、ともに1月に寒波の襲来があったが、鶴岡水道は、それは切り抜け、2月の寒波でダウンした。今年も、2月に寒波の襲来がないとの保証Hない。そのためにも、「効果があるかどうかはわからないが、井戸の水位を上げるためには何でも試みる」という水道部は、思い切った措置を講ずべきである。その一つに、「月山ダムの試験湛水」の融雪による増水期までの一時中断も考慮していいだろう。
これを受けて、
鶴岡水道住民投票の会で以下のような提案書を市宛に提出した。
提案書
鶴岡市長 富塚陽一様
今回の市水道給水制限並びに夜間断水につき、当会の見解を示し、あわせて今後の解決策として以下のとおり提案します。
1、給水制限などに関わる当会の見解
1)予防的対応の遅れ
1996年の教訓が生かされなかった。
水道部の業務マニュアルには、その教訓をいかすべく、項目が記載されているが、実際の対応は別紙のとおりで、せめて14.15日に広報し、凍結、破裂箇所の発見主薄くに努めているべきだった。
2) メンテナンス不足のツケ
3) 例年とは異なる地下水位の低下
「給水量と取水量のデータ」を解析した結果、取水量の数値が減少し続けるという、例年にない異常な傾向が今回のデータに表れていることがわかった。このことは地下水に大きな異変が起きたことを示している。その原因について解析を進めているところだが、昨年10月2日より開始された月山ダムの試験湛水により、地下水涵養が阻害された可能性は否定できない。
(月山ダム湖の水位は1月24日現在113m、水量は推定4000万M3)
現在のところ気温も上がり、また、赤川での澪筋、堰上等により取水量も回復され、危機的状況は脱したようです。
しかしながら、今冬の寒波は終わったわけではありません。来るべき事態に備えて、地下水の涵養をはかるため、以下のとおり国土交通省に要望することを提案いたします。
2 提案
1、 月山ダムでの試験湛水を中断する(自流量分を流す)
2,可能ならば貯水分から放流する
3,さらに可能ならば、農業用水路への導入を行う。