鶴岡市 断水続く! この理由は?1/24UPDATE

朝日新聞 山形版 1/24

●断水・給水制限続く鶴岡

鶴岡市の夜間断水や減圧による給水制限が続いている。大雪と冷え込みのため地下水を水源とする配水池の水位が低下しているためだ。市民の苦情も日ごとに増え、給水車が団地や病院、ホテルや学校を回っている。「思うように製品がつくれない」と、食品加工業など生産現場にも動揺が広がり始めた。

 「雪のための断水」という全国でも珍しい事態に、市民の間から「鶴岡市の水道行政はどうなっているのか」と、疑問の声も出ている。
     
(加藤 安彦)

 配水量急増でバランス崩れる 

 鶴岡市には配水池が高坂、湯田川、豊浦、田川南部と四カ所あるが、九五%以上を高坂配水池でまかなっている。この高坂配水池の取水量が配水量をはじめて下回ったのは今月五日。七日以降、いったんはバランスは回復したが、十五日に配水量が急増、取水量を千四百二十トン上回った。十六日には二千七百六十トンもオーバーした。

 あわてた市水道部は十七日、市街地を中心に全世帯の七五%にあたる二万五千世帯で配水ポンプの圧力を二〇%減圧する給水制限を実施。しかし効果はなく、十八日に三〇%、十九日に四〇%、二十日には六〇%と制限を強化。

 それでも取水と配水のバランスがとれないため、二十日から夜間五時間の断水に踏み切った。断水、取水制限は二十三日現在も続いているが、高坂配水池(満水時八メートル)の最低水位は下がり続けている。

 経験生かせず

 鶴岡市は一九九六年二月にも九日間の給水制限(うち四日間夜間断水)をしている。しかし、今回は二十三日までに九百二十八件の水道管凍結の届けがあり、破裂は二百八十二件と五年前を大幅に上回っている。

 市水道部によると、最低気温が零下四度以下になると水道管の凍結が始まり、零下六、七度より下がると破裂被害が増える傾向にあるという。鶴岡市の最低気温は十三日が零下一〇・六度、十四日に零下一三・八度を記録。この時期の対策が後手に回ったことが響いている、との指摘もある。

 地下水を水源とする鶴岡市の水道は、水をくみ上げる深井戸が二十八本、浅井戸が五カ所ある。ところが、新しい井戸の掘削や旧来の井戸の手入れや整備をしていないのが実情だ。

 市は前回の断水後、細い管を使っていた部分を太い管に取り換えたが、凍結や破裂に備えた抜本的な「危機管理」はしていなかった。今秋に始まる月山ダムによる広域水道への切り替えが大前提となり、既存の井戸や取水設備の整備などに新たな投資をしなかったことが、今回の断水の背景にあるようだ。

 水問題に詳しい桑原英夫元山形大学教授によると、地下水位は水田に水が張られる五、六月ごろに最も高くなり、夏、秋には下がり、真冬の二月ごろ最低となる。この循環を毎年繰り返している。

 しかし、浅井戸はとにかく深井戸は、雪で地表が覆われたからといってすぐ水位が極端に下がるなどということはないという。その上で、地下水位の低下について(1)寒さによる水道管の破裂(2)融雪で大量の地下水を使用(3)行政が井戸の整備を怠っていた、などが原因ではないか、とみている。

 断水の影響

 市水道部は山形市から二台、酒田市と月山水道企業団から各一台ずつ給水車を借り受け、二十二、二十三の両日、住宅団地、ホテル、病院、県立中央高校に出動、タンクに給水をした。

 豆腐店をはじめ食品製造会社、クリーニング店、酒造会社など水を大量に使う工場も、水のやりくりに頭を痛めている。大山地区の酒造会社は「水道の圧力減で瓶の洗浄がうまくいかない。あれこれやりくりしているが、これ以上続くと生産調整を考えなくてはならなくなる」という。

 市水道部は「今のところ市民に節水してもらって配水量を減らすしか手がない。あとは天候頼み」と、天を仰いでいる。(1/24)


5年ぶりに夜間断水

鶴岡市できょうから

鶴岡市は20日、大雪の影響で、地下水を水源としている水道の配水池の水位が低下したため、21日から午前零時〜翌朝5時まで水道を断水すると発表した。昼間も40〜60%の減圧給水制限をする。全世帯の3分の2にあたる約2万5千世帯が対象で、市民生活にも影響が出始めている。同市の夜間断水は1996年2月以来5年ぶり。

市では、水道の圧力を17日に20%減圧する給水制限をはじめたが、効果がないとして18日には30%、19日には40%、20日には食事時をのぞき、60%と強化している。例年にない降雪量で、水田などから地下へのしみこむ水の量が減り、地下水が十分にくみあげられなくなった。さらに水道の凍結をさけるため水を出しっぱなしにしている家庭が多いうえ、寒さで水道管の破裂が多発したことなどから使用量が増え、取水量が配水量に追いつかなくなったという。市内にある配水池(満水時の水位は8.0メートル)の水位は下がり続け、19日の最低水位は1.7メートルまで低下、20日には1メートルを切ると見られている。

 市は今年秋、水道の水源を地下水から月山ダムによる広域水道に切り替える計画で、現行の施設に手を加えない方針もあって老朽化が進み、断水の一因になっていると見られている。

朝日新聞 2000年1月21日。



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