鶴岡の地下水は十分にあります。

「20年前と涵養源の状況はほとんどかわら
 ない。この報告書の結果は今でも通用する」


 昭和53年から55年までの3年間にわたって、市の依頼をうけ鶴岡水源の地下水調査にあたった元東海大学教授、柴崎達雄先生は、9月24日、市民が企画した「恵みの水を考える」フォーラムで、こう発言しました。先生は、55年6月に発表されたレポートの内容を解説し、当時の結論として、

◎赤川扇状地の水田で地下水を涵養している鶴岡の水源は非常に豊富。52700Gの取水は赤川扇状地の一部、D地区のみの試算でも25万Gの持続性補給量があるので十分に可能。

◎当時の報告書の最終結論として、以下の3点を市に提言をした。

|地下水は良質であり、水質も年間一定という飲料水源として好ましい性質をもつ。また、取水にあたっての経済性も無視できない。
}地下水利用の短期、長期の利害を調整し、今後とも鶴岡市の水資源として有効利用を図ること。
~たとえダムの水が来たとしても鶴岡市の「隠し財産」として、地下水を温存する努力をすること。

◎「現地踏査によると、涵養源に大きな変化が見られないので、当時のデータはほぼ通用する」

この件が市議会本会議で「当局の説明をくつがえす発言」として緊急質問がおこなわれました。
 市長は@涵養源D地区の水田の15%が減反され、影響がある。A観測井が3E下がっているところがある。また、「思われる」という表現では責任ある判断ができないなどの理由で、地下水が足りないということをくつがえすものではないと答弁。その後、11年度決算の反対討論で私は「レポートの本質を理解していない」と反論。その後、柴崎先生より市長答弁への回答をいただきました。

@減反15%の影響について
D地区全体の平均値だけで論議しても仕方がない。地区内でも地下水の涵養域と流出域があり、減反の影響を受けるのは涵養域。先日の現地踏査の結果では、涵養域に大きな変化が見られないことから、影響はないだろうと判断した。それにD地区の上流にあるA地区からの涵養も皆無ではない。D地区の推定涵養量だけでも、市水道給水量の5倍近くもあり、涵養量は十分にあると思われる。ただし、この数値の確定のためには、さらに調査が必要である。
A観測井戸の水位低下について
長期間の観測資料から判断するほかはない。

なお、水道部の観測井の測定データは、数年間、自動計測と手動データとの調整がされていず、全く信憑性がありません。

●当時のレポートは55年6月に提出されていますが、広域水道移行を決めた9月議会で扱われた記憶がないという当時の議員の話を聞きます。先生の貴重な提言はいかに扱われていたのか、疑問です。10月2日に私が提出した、公開質問状に上げています。
 


広域水道になる前に考えよう!
Q 鶴岡の水不足の原因は?

A 柴崎達雄先生が「通用するだろう」といわれた、52700Gの水量は、現在の最大使用量49500Gを余裕をもって充たす水量です。では、広報や、街宣で言われている「水不足」とは一体何だったのでしょう?
●特に広報などで40年代からずっと水不足のようにとられる表現が見受けられます。鶴岡の「慢性的な水不足」の状況は40年代だけの話です。50年に有望な地下水源が見つかり、第3期拡張事業(約48億円)でほぼ水不足は解消しています。その後の冬期の断水事件は、明らかに人為ミスであり地下水の問題ではありません。また近年夏の「水不足」は、地下水が足りないのではなく、井戸の整備不足が問題ではないかと専門家は指摘しています。「広域水道までのつなぎ」として井戸への資金投入を極力抑えたためのメンテナンス不足によるものと推測されます。現に28本の内、ここ10年間に改修工事をおこなったものは8本しかないのです。
 

 柴崎先生は今回のフォーラムで、水田の地下水涵養を強調しました。農薬や肥料の窒素の問題も、水田の場合は地下水汚染につながらないのだそうです。
90万人の生活用水を地下水でまかなっている熊本では涵養源をつくりだす水田保護政策を市民と農協、行政などが一緒になってやりはじめているとおうかがいしました。減反、自由化、宅地化で、これ以上水田を失っていくことは、コメ文化を育んできた庄内の「命」にかかわる事ではないでしょうか。庄内の歴史ある水田を「水を守る」立場でも保全する政策が必要だと考えます。
 灌漑期には、水が保証される水田を持つ赤川扇状地全体が、地下水を涵養する大きなダムの役割をし、丁度水が集まる非常に優れた位置にある水源地と柴崎先生は高く評価されていました。そして、当時の膨大な調査とシミュレーションのデータは、世界でこの鶴岡が初めてだったとの事です。
  地下水を中心とした健全な水循環は持続的発展を目指す社会にとっても欠かせない要素。貴重な赤川扇状地の地下水資源をしっかりと認識し、保全、活用する事が将来的にも有効と考えます。将来的にも鶴岡には水田のダムで十分ではないでしょうか。みなさんはどうお考えになりますか。      


Q 広域水道を受水しないと、水道料金がかえって高くなるって本当?
 
A まず「受水しなくても、負担分を支払わなければいけない」と決めつける前に、過大な水利権が、現在の状況と全くそぐわないものになってしまった責任を国、県、市で協議し、責任を分担しないといけないのでは?
今のままだと、失敗を正当化して、ツケをそのまま市民に支払わせようということです。「導入してから10年先の事は10年後に決めればいい」などと問題を先送りにしていませんか?また複雑な水道料金試算方法の網の中、都合の悪いことは市民に教えていないのではありませんか?
 将来の水道料金に関わる人口推移、水需要予測のシュミレーションを提示し、生涯にわたって料金を払い続ける市民に、料金にかかわる要素の徹底した情報を開示し、予測をおこなった上で全市民的な議論をしてはいかがですか? 将来的に非常に問題のある、広域水道移行に伴う試算を全て明かにするのが大前提です。市民全体で議論するためにも「私たちが決める」住民投票を実現しましょう。

Q「これからも水不足に悩まされ続ける」「地下水位は低下している」って本当?

A「水不足」については前ページの通りです。地下水源の井戸のずさんな管理と整備が原因の水不足。それに今、東北一の使用量なのに節水政策が全く施されていません。市民サービスの低下を行政がひきおこしていることになります。これは早急に改善するべきです。
 鶴岡の水源地に現在ある観測井は、観測データも「不正確でデータを提示できない」年があるほど。こうしたデータの一点をとらえて「3
Eも低下している」といっても非科学的で無責任な情報です。今、借用地の井戸の土地は1本につき年間3万円でお借りしてきましたが「10万人の水がめを支えてきたにしては珍しい料金」とは専門家の話。地下水資源の貴重さが見直される今、井戸の再契約も考えてはいかがでしょうか?



Q 広域水道は「安全でおいしい水」って本当?

A 鶴岡の水とほぼ同様の水源の水がペットボトルに入れて売られています。ダム水はどうですか?
 ダム水にポリ塩化アルミニウムと大量の塩素を投入する急速ろ過方式の浄水には、発ガン物質 トリハロメタンの発生が伴いないます。そのため米国や英国では、微生物の浄化による緩速ろ過や地下水を再認識しはじめています。発ガン物質は基準値内だから大丈夫というシロモノではありません。研究が進めば新たな危険性が現れてくる可能性も考えられ、「ないに越したことはない」物質です。また特に「おいしい」地下水の特性を活かした鶴岡の食文化への影響が心配されます。またこの浄水場から出る産業廃棄物の汚泥も問題です。寒河江ダムでは年間3千トンでています。


広域水道の抱える問題。
 
ジャーナリスト 保屋野初子  
 「水道がつぶれかかっている」著者
 広域水道に参加すると、市町村は水問屋(庄内地区では県)から水を買って給水するようになります。市町村が県に頼んでダム水を開発・供給する計画を作ってもらい、ダムが完成した時点で県から水を買うのが広域水道。 これは、人口・使用量とも急成長中の地域・時期でないとメリットがなく、かつては20万人、今は50万人くらいの給水規模でないと値段が高くなりすぎて合わないものです。
 ところが20年ほど前、人口増加していない地方で無理して計画人口20万人にして広域水道を計画した所が多数出ました。水不足以前にそこに「ダム計画」があったからです。
 それから10年20年後、水は十分で広域水道の水など使いたくないのに受水費と借金返済に苦しむ市町村を多数生み出しました。いったん広域水道を始めてしまうと、投資費や維持費を市町村住民は水道料金として支払い続けなくてはならないため、結局、自分の水源はあってもみすみす捨てていくことになります。鶴岡市も広域水道から受水開始の時点で、地下水とはお別れ、そして料金高騰の運命が待っているのです。

9月定例議会より

●水道水の井戸が「不安定」を理由に広域水道への移行が促され、市民が水質と料金に不安を唱える中、中央工業団地では、平成2年に団地水道の地下水井戸を7億円かけて1万トン採取できるよう新設している。「地下水源は1トン60円。ダム水は高くてのれない」と、更に広域水道移行後も地下水利用を続けると聞いた。地下水源が不安定ならばこれほど矛盾する話はない。他、東工業団地では地下水は自己井戸として無制限に使われている現状があり、羽黒町では業者が地下水を採取し、全国販売している.。矛盾はないか?

■市長は、県条例や国の法律にも地下水について公共の水として認められていないため、権利問題として侵害できない。などと矛盾点については、まともに答えてくれませんでした。(一般質問)

●昨年、公益大学、研究センター誘致の際の公園敷地利用についておこった署名活動に対して、署名を書いた全員に市がはがきを出し説明した。これにより、不愉快な思いをもった方が多くいた
総括質疑で石川議員が尋ねると市長は「市への提言はがきと同様に返事をお出しした」と答えた。では、これからおこなわれる署名活動すべてにお返事を出すのでしょうか。この行為が、市民に威圧感を与えている以上、これは「何人も平穏に請願する権利をもつ」憲法を冒す行為ともとらえられ、公費でおこなうことは許されない。公益大学と深い関係をもつ鶴岡市として、市民に対して圧力をかけるような行為は公益といえるのか。民主主義、公益性の観点から、こうした行為は改めていただきたい(11年度決算の反対討論より)


大事な事は、みんなの一票で決めませんか?
その権利を得るための署名にご協力を!

このポスターのあるところで署名ができます
貼って下さるスポット店も募集中!私たちの命を支え、毎日使う水。そして水道料金を支払うのは私たちです。でも私たちの声はどこに?
 
今、広域水道の受水をめぐって「なんとかしたい」と立ち上がった市民が、「大事な事はみんなで決める」住民投票を実現させようと署名を集めています。主婦や地下水の研究者が中心となって、、純粋に「鶴岡の水の危機」に疑問を感じ、勉強しながら未来の鶴岡の子供たちに、良い未来を手渡したいと行動をはじめています。私もその一人として活動をしています。
 100%地下水の鶴岡の美味しい水道水。昭和8年から66年も長い年月の間、市民とともにあった貴重な水道です。
広域水道に移行したら、もう二度と、この「美味しい水」は飲めません。20年前の議会の決定から、明かに水需要予測がずれ、負担増が見えているのに、肝心の情報が市民に提供されず、大きな未来の不安を抱えた広域水道事業。これは人ごとではすまされません。私たちの命を支え、毎日使う水の事です。
未来の子供たちのために、私たちの声を反映させないと一生後悔することに・・・。
そのためには、今、一人でも多くの方の署名を集めなくてはいけません。
私たちの声を反映させる。最後のチャンスです。ご協力をお願いします。
将来、子供たちに「誰が決めてこの水になったの?」と聞かれたとき、「私たちが自分で決めたのだ」と責任をもって言えるためにも、住民投票を実現させましょう。
11月5日まで、あと約20日間の勝負です。
署名を集めてくださる方、ボランティア、カンパ、大募集中です。一人でも多くの署名にご協力ください。