芭蕉トレック99/1/3

鶴岡市第二公園にカヌーをおろすクルー
さあ出発。一度上流部、鶴岡の美しきみゆき橋を望む。うっすらと金峰山が見える。
明治時代までは、この橋のたもとから酒田へいく航路があった。250年前、松尾芭蕉がこの航路を使って酒田まで旅をしたのである。当時の川の流れと今ではずいぶんと風景が違うだろうが、静かな川旅が楽しめる。
石垣の水路を下る。人の内の庭の裏をとおったりもする。鴨がたくさんいてカヌーが近づくといっせいに飛び立つ。
な、なんだあれは、、とこども達が橋の上から手をふってくれた。
内川は、市内をはずれ、細い水路となる。護岸がなくなり、多少ウイルダネス気分。
一カ所、夏だったら強行突破の瀬があるが、沈しちゃいけない今は冬。ということでライニングダウン、ポーテージである。雪の上をそりのようにカヌーを滑らす。

しばらくいくと赤川に合流。赤川は、アイヌ語のWakkaに由来するとか、鉱泉の赤い濁水に由来するとか、また、梵字川など、湯殿山の浄水が流れこむ川なので、仏前にそなえる水、アカという梵語に由来するなどの説がある。年間5000本以上のサケがのぼり、サクラマスがのぼる川としても釣り氏に有名である(解禁は1月1日)。いい川だ。けれども、上流の梵字川に、東北一の規模の月山ダムがつくられていて僕は興ざめだ。なんとかこの聖なる川たちを守れないものかと下るたびに思ってしまう。

この日は、風が強く波が海のそれのようだった。蛾の眉の形のような橋から名前がついた蛾眉橋の下100mぐらいのところでフィニッシュ。約3時間の旅だった。

スポーツでもワイワイガヤガヤの旅行でもない。芭蕉が感じた風景と川の流れに身をまかせ、出羽三山の恵みの川、庄内の大地を感じる芭蕉トレック。

僕らは、今、とりもどさないといけない、以前はつながっていた人間と自然とのつながりの文化を。いつしか忘れてしまっていた神なる川への畏敬と感謝の心を。

ネオ川の民への第一歩、芭蕉トレックへWELCOME!!!  今春開講予定。