朝日新聞3・17

月山ダム水源 広域水道を考えるシンポ 市民グループ

需要予測めぐり論議

料金の負担心配の声も

月山ダムを水源とする広域水道事業を考えるシンポジウム「どうなる!? 月山ダムの水道料金 水はおいしいの?」が鶴岡市内で14日に開かれた。パネリストには水道事業にかかわる建設省や県、鶴岡市の担当者がそろったほか、水道問題に詳しいジャーナリストの保屋野初子さんや鷲見一夫・新潟大学教授が参加。鶴岡市の水需要予測などをめぐり熱のこもった論議が交わされた。約150人の参加者をまず行政側が事業計画を説明。保屋野さん、鷲見さんが疑問を呈する立場から語り、それから公開討論会に入った。討論には、鶴岡市の地下水を調査したこともある元山形大学教授の環境カウンセラー、桑原英夫さんも加わった。議論になったのが、鶴岡市の水需要予測。市が県企業局から買うダム水量の前提になっており、2010年の目標は、1、1日最大給水量7万2千6百トン。(昨年度は5万トン)。2、給水人口 10万9千4百人(同9万9千9百人)。

民間のパネリストたちは、「実現できるとは思えない」「高度経済成長期の予測をもちこんでいる」と指摘。会場からも「目標が達成できない場合の責任はだれがとる。私たちの水道料にツケが来たらたまらない」との発言があった。

これに対し、県環境整備課は、「鶴岡市として、そうやって発展させるべきだと考えている」。市水道部は「水需要は、92年から横ばいだが、将来は高速道路が整備され、荘内4年制大学の大学院もできる。企業立地も増えると考えており、不可能な数字とは思っていない」と反論した。

地下水源は本当に不足しているのか、との疑問も多くでた。市水道部は「昨年2月は、3万八千9百トン(平均量の約9割)しか取水できない日もあり、浅井戸の取水量は4ー6月の35%だった」などと説明。水質悪化のおそれについては県企業局が「近くにある寒河江ダムの水は、厚生省による「おいしい水」の基準をクリアしている」と理解を求めた。

また、今後の水道料金については、「家庭の平均使用量は改定前の2.5倍、約6千円(1カ月23立方メートル 税込み)になる」との試算を市が示した。

シンポジウムは、水環境問題に取り組む市民グループ「ウォーターワッチ・ネットワーク」」(草島進一代表)が催した。