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議第68号、平成10年度水道事業会計決算について、反対の立場で意見を申し上げます。
私が一般質問でも申し上げましたが、
市が水道事業として13年度から移行することになっている庄内南部広域水道計画は、
昭和55年、つまり、すべてが右肩あがりの時代に予測した水需要、人口増加の予測数値のまま工事計画がすすめられたもので、現在、月山ダム本体の提体工事がようやく完成したものの、ダム工事費用は計画当初の約3倍。それに対して、人口、水需要ののびは計画どうりに伸びず、料金計算の基本となる契約水量は現状の水需要から2万トンもずれているといった現状があります。特に、人口は全国的に少子高齢化社会の中で、減少する可能性さえあります。
現在の計画では最終的に年間約24億円の新たな負担を水道料金でまかなう予定になっていますが、水質、水量、そしてこれから大きく負担しなければいけない広域水道計画の負担の真実についての説明義務、アカウンタビリティについて、しっかりととられてこなかったのではないでしょうか。そうした点でも疑問があります。
また、この広域水道計画への移行の理由の根拠が、はっきりしない。つまり、地下水が足りない、枯渇のおそれといいながら、地下水かん養についての取り組みや、工場用水、道路の融雪用水、家庭の井戸などについて「一体どのくらい使っているのか」さえ把握していない管理状況です。
つまり、この広域水道計画は実に過大な計画であり、現状とそぐわない。そして様々な疑問をはらんでいます。
にもかかわらず、この事業に何の疑問ももたず、移行の際、値上げ前の約2.5倍といわれる値上げのショックをやわらげるのを主な理由に、平成10年10月から30%水道料金を値上げし、市民に前倒し、先取り値上げをしている現状には全く納得がいきません。
もう一つ、私はいいたいのですが、21世紀を目前にし、もうすでに時代のステージは変わっている。
つまり、価値観は大きく変化しているということです。鶴岡の地下水のような、良質の水は今や、ペットボトルで牛乳より高い値段で買う時代です。また、海外、特にダム先進国だったアメリカが1994年に「ダムの時代は終わった」とし、その費用対効果が成り立たない点、また生態系の大規模破壊などを理由に大規模ダムを一切中止し、また、日本でも19カ所のダムが計画中止、休止が決定されるなど、一部で見直しがおこなわれている現状であります。
21世紀へむけた鶴岡の市政のビジョンのよりどころというべき、第3次鶴岡市総合計画でも、計画の基本理念の中には、「自然と歴史を愛し、共に生きる町」とし、「鶴岡市を自然と人間の共生についてのモデル都市として位置づけられるよう努めるべき」とあります。
そううたいながらも、高度経済成長期の価値観のままの、ゼネコン、土建経済の目先の利益優先の巨大公共事業というべき月山ダム、庄内南部広域水道事業を鵜呑みにした水道行政がすすめられています。
また21世紀の貴重な財産というべき鶴岡の風土としての地下水を失おうとしています。
これは、やはり、大いなる矛盾としかとらえられません。
つまり、この決算は、21世紀型ではありません。
以上の理由から、反対いたします。