Water Watch Network  1998/3/14

第一回ミーティングレポート

1997/3/18作成


3/14に行われた第一回、Water Watch Networkミーティングにて、

3/14、出羽庄内国際村で行われた、第一回ミーティングには、鶴岡市内、酒田市などから、約30名の参加者が集まり、「鶴岡の水環境について」 市の地下水調査などをされた経験、広域水道の問題点などについて1時間20分ほどの熱弁に耳を傾けた後、「鶴岡の水」や、自然環境の保護に取り組んできた方などから、熱心な議論が展開された。本書は、その要旨をまとめたものである。


3/14にスタートするWater Watch Network について

Water Watch Network 草島慎市

●.3/14は、世界河川行動デイ。米国NPO、インターナショナル・リバーズネットワークのよびかけにより、世界中で、この日、河川のダム開発などにむけて、デモや、講演、勉強会などが開かれている。この日をWater Watch Network のスタートとしたい。世界的にもうダムの時代は終わっている。鶴岡の地下水は、とても貴重だと思うし、河川もすばらしい生態系があり、大事にしたい。そこで、私たち市民の一人一人が考え、これからの世代のために行動していきたいなどと申し述べました。

□鶴岡市の水環境について。講師 環境カウンセラー、桑原英夫先生

市、水道部、建設省、月山ダム工事事務所発行の文章にのべられた広域水道の移行の理由をあげられ、解説を述べる中で。

●鶴岡市の水源設備は、地下水の専門家からみても、非常に価値があるものである。

1977年から79年、鶴岡市水道の第3期の拡張事業にともなう調査を柴崎先生にお願いした。そのとき、柴崎先生は、「昭和のはじめ、東北の小さな町で、これだけの事をやっている」と水源地を見て感激された。また、当時の市役所や水道部の建物をご覧になり、庁舎より市民のための施策を優先しようとする市の態度にまた感激された。そして3年間の調査を引き受けてくださった。そうした経緯がある。

昭和8年にはじめた鶴岡市の水源、水道はそれほどすごいものだということをもう一度認識していただきたいと桑原先生は強調された。

●5万2千7百立方メートル/日の汲み上げに耐えうる地下水源である。

第3期の拡張事業の際、調査した結果によると、鶴岡市の地下水源は、1日、5万2千7百立方メートルの汲み上げに耐えうるという結論に達した。

●「地下水枯渇などの水不足の解消のための広域水道への移行」というところについて

その根拠になっている事件として、96年2月の夜間断水などがあるが、当時の新聞にも「配水池枯渇の恐れ」とある。これは、あくまで、急激な水の使用により2基で計2万立法メートルの高坂配水池のタンクの水がなくなろうとしたのであって、くみ取る地下水がなくなったのではないということを強調された。

●「冬期間の地下水位が低下し」ということについて

鶴岡は、冬期間は、地下水位が下がるのは当たり前。赤川左岸の扇状地は、夏になると、潅漑期に田圃の水をいれると地下水は上昇する。そして冬は、地下水は田圃がないために地下水が減少する。

桑原先生は、その事件の一年後、「暖冬慣れが、給水制限を招いた」と新聞に投稿された。暖冬が続いたおかげで、その当時、平均的な気温の低下だったのにもかかわらず、凍結による水道管の凍結・破裂などが相次いだ。鶴岡の不凍栓の普及率が90%を越えているのに、それが当時ほとんど使われていなかった。

●「一昨年の8月の給水制限について」

これは、配水池の水位が減少したもの。水道水の水圧を3割減圧する処置を施した。

96年8月14日。鶴岡市が給水制限。3割減圧。だが、17日は、正常に回復した。これは、ほかの地方でよく起きる夏の渇水による給水制限などとは訳が違う。

●よって、今までの給水制限は、水不足のためとは言えないと思う。水使用量が増えたなと感じたときに、なんとかPRにつとめれば、防げたことである。

「広域水道の水質について」

●流水とため水では水質が違うということ

水道局の説明では、月山ダムから取水される水質は、気温の上昇はあっても水質的には十分においしい水であるとあるが、同じ漂流水でも、流れる水と、ダムにたまった水は、同じではない。ということを強調された。確かに、梵字川の水質はとてもいい。だが、それは流水の場合だけにいえることだ。ということ。

●村山広域水道の4度のトラブルから学ぶ広域水道の欠点と自己水源の利点

寒河江ダムの村山広域水道の上水道で、問題を起こした例もある。平成6年、9月25日、内陸6市6町に供給している、村山浄水場で、処理過程の際、異臭がするため、最長9時間50分にわたって、送水を止めた。その際、自己水源をもつ市町は、それをフル稼働するなどして、辛くも断水を免れた。

それまで、トラブルは、4度目。との報道があった。

自己水源を絶ち、水源がダムにだけになると、こうした異物の混入の際などに弱い構造の水源施設になるし、降水量の不足などの際、渇水をもっと深刻にする心配もある。また、阪神大震災のとき、広域水道の水道施設は全滅状態であり、自己水源をもつ西宮市などの水道施設は強かった。その教訓からして、自己水源、つまり地下水は貴重なのだ。

「料金について」

月山ダム工事費用は、当初は780億円だったと思うが、現在は、1780億円に増えている。そのうち、約7%の130億円を庄内一市6町村が負担することになりその3分の2を鶴岡市民が負担せざるを得ない計算。

97年2月21日の読売新聞

「山河に恵まれた県なのに、日本一高い山形の水道」

山形県の水道水は高すぎる。そのなかで鶴岡市は安いだけなのだということ。

それが、今回の月山ダムにより、村山地区並の水道水になってしまう。

また、水道部の資料によると、地下水源の4割は借りている土地からのもの。ということがあった。

自己水源についてだが、費用面からみても、月山ダムからの水と、自己水源について、両方維持することは無理だと思われる。

「結論として」

今、たよっている水源の水量が十分でない、水質が悪い。というのであれば、他に水源を求めなくてはいけない。けれども、鶴岡の場合はそれにどうやら当てはまらない。

地下には、十分な水源がある。赤川右岸の扇状地に広がる3千ヘクタールの水田が米を昨付けする限り、この地下水は保たれる。

水道部では、地下水源の4割は借りている土地からのものということだが、必要だったら、その水源を買収すればいい。とにかく、今、使用している地下水について、住民の意識をもう一度高くし、今までの使用量を維持していけばという条件付きで、広域水道からの水は必要ないといっていいだろう。

ダムはもう77%完成している。今から何ができるのか真剣に考えよう。


そして、桑原先生は、最後にこうつけ加えてくださった。

人民の、人民による、人民のための政治ということを言ったリンカーン。

私たちは、行政サイドに「人民の」ということや「人民のための」ということは主張してきた。そしてまかせっきりにしてきた。けれども「人民による」

ということをなかなかやってこなかったのではないか。もっと知りましょう。そして自らで、動き出しましょう。


自由討論の場にて 


Qは質問。桑原先生が答えています。Oは意見です。

Q果たして、鶴岡の水道自体が、安全なのかどうか。

水質分析の結果は、水道部の分析結果でしか承知していない。まず、鶴岡市の水源を問題にすると、全国、飲める水がなくなるんではないかと思う。

Q地下水汚染の心配は、ありますか。

現在の地下水源の水質で問題なのは、水源地での砂利の採取ですね。田圃などの、砂利を採取して、その代わりに、山土をいれるということ。けれど、山土の代わりに、どうも建築廃材や、コンクリートくずをいれているようだ。これは、水質の汚染になる。

Qダムの寿命について。

堆砂量ではかられる。

荒沢ダムの堆砂量を調べたが、できて25年ぐらいで、実は、ずっと少なかった。上流に木が十分あって、人間が手をふれなければ大丈夫。

長野、天竜川 ヤスオカダム。できて数年でダムが埋まってしまった。たまった土砂を浚渫することも考えられる。

ダムを埋めてしまった例は日本でもある。京都のシズダム。がそう。山形県でもひとつある。

日本で大きなダムで崩れた例は、1953年京都で、アースダム。という土でできたダムが崩れ、100名ほどの方が亡くなった。

●現在の水源地にお住まいの方。

前から鶴岡市は井戸水で、いいなあと思ってきた。だけれど、最近になって、人間は川の水を飲むべきではないか。と思うようになってきた。鶴岡はあまりにも恵まれすぎている。

酒田は、山形県の下水を飲んでいるわけで、水がまずいですよね。酒田の水をのんで鶴岡の水の良さを改めて感じる。

●それと、鶴岡市水道部は、水源の水、井戸を借りているというのがありましたが、貸している当人としては今、農業事情が、ご想像の通りなので、ずっと貸し続けたいと思っている。

●鶴岡市在住の方

こういう場があってありがたい。でももっと家庭の主婦の方が参加できるような会になったらいい。家庭の主婦などのネットワークを利用したらいい。

東京のオゴウチダム

計画は昭和のはじめ。東京、オゴウチの人が強制撤去させられた。工事がはじまって、戦争があって中止。そして昭和59年。完成。その後、1回だけ満水しただけで、それからは一度も水が満水にならなかった。予測は難しいのだけれども、それが技術者なのではないか。

●自然保護活動家

プロとして仕事をする際には、予測をたてるべきかということ。それは、実は、一般の人も、自分の予測をたて、行動すべきではないかと思う。つくろうとしているときに、反対の声をあげるということは、はじめは、少数派なのだ。けれども、5年、10年たって、ようやく認められることもある。基本的に、川は流れているものだし、その川の水は、飲めるべきものだということですね。

●鶴岡市の井戸の深さは?

第一水源地は、浅いです。

Q今、赤川水系には、荒沢、八久和、とダムがありますが、今度月山もできる。海岸線の浸食については、ダムの影響があるんでしょうか。

大いにありますね。日本の海岸線のあちこちで浸食をおこしているのは、ダムの影響ですね。今、テトラポットをつくったりしてますけれど、あれでたまるのは、どこかの砂ですね。あれで、一時的にたまったりしてますけれど、どこか少なくなっているんじゃないかと思う。

Q土砂を吐き出すダムがあると聞いてますが。

黒部川にある、ダシダイラダムがそう。でも吐き出したらヘドロがでて、川の生物また、富山湾の海産資源にも大ダメージを与えてしまった。

山形県でもキカワダムところでこうした事例があり、アユに大変なダメージを与えた。

Q環境ホルモンなどの関係などで、化学物質が問題になっている。月山ダムに切り替えた段階で、添加する化学薬品が増えるのではないだろうか。そうなるとすれば、やるだけ薬品を使わないように要望したい。

現在、井戸水を利用した鶴岡の水道水に加えているものは、塩素だけと思われる。だが、漂流水をためたダム水には、きっと様々な薬品が想定される。ま、でも梵字川の水はきれいなはずだからそんなには大したことはないだろうけれど。

●今すぐ、鶴岡市で辞めるべきなのは、夏の虫の防除のための農薬をまくことだろう。町内会でもらう薬品。あれは余ると、どんどんドブに捨てて結局内川や赤川に流れることになる。これは、環境ホルモンの問題などで深刻な問題だと思う。

●アメシロ(アメリカシロヒトリ)の農薬、それと、除草剤は、実は環境ホルモンとして作用するらしい。コシミシジミという蝶がたくさんいたのですが、これがピタッといなくなった

●先日、内川の調査をやったら、奇形の魚がたくさんでてきた。確実に土壌、そして水環境の汚染が進んでいる。そのほとんどが、農薬の問題だと思う。NOxによって、酸性雨もすすんでいるが、それと同時進行で農薬を使うことによって、生物がどんどん死んでいる。前はたくさんいたのに、今いくと全然いない生物が多い。

●除草剤は、特に生態系に影響を与え、たちが悪いと思われる。農家の人にもっと考えてもらいたい。有機農業を支持したい。

●薬の問題は、昔からの習慣の問題。私のところにもアメシロの斡旋がくるが断っている。そうなると、変わり者あつかいだ。しなくていいことを惰性でおこなわれているのではないか。習慣で薬をまいて、土壌を汚染し、それと水環境を汚染する。そして、生き物の命がどんどん失われる。そんな悪い慣習を絶つべきなのではないか

●環境問題をみていくと、はじめは少数派なんですね。また、素人の直感がいつも正しいんですよね。おかしいと思ったら、まず、声をあげるということなのではないでしょうか。水俣の問題もそうでした。

また、こんなことをしたって、一人ぐらいやったって、ていってたってしょうがないですよね。せめて一人でもやりはじめないと。と思って私はやっています。


最後は、とにかく、勇気をもって行動しはじめよう!と結びました。


時間延長で講演を含めて約4時間。みなさまお疲れさまでした。

1998/3/18 stern

この文面は、3/14の講演の要旨を、Water watch network  草島が責任編集しています。誤り、訂正希望箇所、ご意見、ご質問などがおありになる際は、ご連絡くださいませ。メール か電話050-652-6586

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