オルタナティブ・グローバリズム 2002・10・25 文責:高垣直尚

皆さんは、「オルタナティブ・グローバリズム」という言葉を聞いたことがありますか?これは、最近フランス(もしくはATTAC)で使われている言葉です。元々、96年のシアトルの事件に始まる「反グローバリゼーション」運動はケルン、沖縄、ポルトアレグレ、ジェノバとその勢力を拡大してきました。初期のころは、2000年末の債務帳消しを訴えるジュビリー2000関連団体を含む雑多なNGO団体の集まりとして認識されていましたが、そのうち、ATTACを中心とした「反グローバリズム団体」が主役となりました。この二つのアクションには明確な違いがあります。前者は署名を集めて各国の首脳に「お願い」をする「懇願団体」ですが、後者は「懇願団体」ではありません(「懇願」が通用しなかったという苦い経験の下に成り立っています)。そのうちに「反グローバリズム」(これはマスコミによって作られた)という言葉が、広く世界に浸透しますが、「現在のグローバリズムに反対する人々」、「グローバリゼーションを拒否する人々」という、正しそうで間違っている認識を植えつけてしまいました(この論法を使うと関連NGOがパソコンを多用するといった矛盾に陥ります)。そこで、フランスで使われ始めたのが「オルタナティブ・グローバリズム」という言葉です。

さて、今回の学習会ではフランスの農民であり、「反グローバリスム」運動の急先鋒に立っているジョゼ・ボベ氏について考えます。彼の行動から「反グローバリズム」もとい「オルタナティブ・グローバリズム」の一面を見てみましょう。(ついでにフランスの戦後史にも触れます)(注)ボベ氏の生涯を通しての活動歴(?)をなぞっているため、一般に「反グローバリズム」と呼ばれていないものも多々含まれている

1.良心的兵役拒否者


フランスでは、以前徴兵制を取っており10ヶ月の兵役、もしくは20ヶ月の国家奉仕が義務となっていた。96年にシラク大統領が職業的軍人を作る(徴兵制の廃止)を宣言した。2002年から段階的に廃止になった模様(新聞記事は確認できていない)。

2.ラルザック陸軍基地造営

陸軍が、基地の拡大を検討。
これに反対して、ラルザックの地へ住み込む。
1976年、基地へ潜入して、土地買収に関する資料を盗み出す。
羊を飼い、チーズ作りをはじめる 
1981年 ミッテラン大統領誕生、ラルザック基地拡大計画断念
1987年 ラルザックで農民同盟できる

3.GMO(遺伝子組み替え作物)

 
 
 

○世界農薬販売額の上位企業
45.1
ノヴァルティス(スイス)
30.0
モンサント() 26.4 ゼネカ()

○世界種子販売額の上位企業
17.2
パイオニア・ハイプレッド()
9.9
ノヴァルティス(スイス)
5.5
リマグラン(フランス)

○批判される点:農業者の自分の種子をまくと

いう権利を奪う(種子を扱う多国籍企業に完全
に依存する)、ターミネーター技術、生物多様
性を減少させる、健康被害(?)、正体不明の
アレルギー
○ボベの行動:ノバルティスの倉庫を襲う
○農作物の問題についてのボベの言及:
食糧主権:各国、各地方が独自の食糧生産様
式を選択できる権利(関税障壁を設ける権利)
先進国における輸出農作物への援助金の廃止
○予防原理

4.土地問題

ブラジル:農民の道(ビア・カンペシーナ)、土地なき農業労働者の運動→資料参考
フィリピン(?)→ネグロスの人に説明してもらえたら

5.ムルロア環礁侵入

1995年にムルロア環礁で行われた核実験再開に反対して、グリーンピースの団体と一緒に抗議行動に出る。反対派に加わっていた、タヒチ島第二の都市の市長:オスカー・テマルらと共に逮捕される。
150ヶ国が反対し、400万以上の署名が集まる。日本においてもこの事件は大々的に報道された(おぼえている人も多いのでは)。

6.マクドナルド解体

   EUがアメリカからのホルモン牛肉の輸入を禁止する
  →WTOはこの行為を1億6800万ドルの損害を与えていると判断
  →アメリカは、対抗措置としてヨーロッパ産の商品に重税を課した
      (この中に、ボベの作っていたロックフォールチーズも含まれていた)
  →ボベ、フランス政府に抗議に行く
  →ボベ、警察情報部へ行き、マクドナルド解体を予告する
  →1999年8月12日、マクドナルド解体
  →19日、逮捕(牢屋へ)
  →9月6日、釈放

7.まとめ

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8.生い立ち

1953年 ボルドーに生まれる
           幼少をアメリカで暮らす
1968年 フランスでリセの1年生(作文が原因で退学させられる)
そのご、バカロレアに受かる
1971年 大学中退
1975年 良心的兵役忌避者となる
1976年 ラルザックに腰を落ち着ける
羊を飼い、チーズ作りをはじめる
1981年 ミッテラン大統領誕生、ラルザック基地拡大計画断念
1987年 ラルザックで農民同盟できる
1995年 シラク大統領、核実験再開を決定。
グリーンピースとともにムルロア環礁に侵入
1999年 マクドナルド解体

9.参考資料と参考HP

「ジョゼ・ボベーあるフランス農民の反逆」つげ書房新社 1700円 2002年10月出版
http://www.parc-jp.org/world/opinion/portale.html  (ビア・カンペシーナについて北沢洋子氏語る)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/france/index.html (外務省・フランス共和国について)
http://www.ilyfunet.com/ovni/2001/471/sp02.html (オヴニー新聞より)
http://www.netlaputa.ne.jp/~kagumi/index.html  (ルモンド・ディプロマティーク日本語版)
http://www.tsuji.ac.jp/hp/ecole/index.html   (フランス校だより)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/top.html    (日本農業新聞)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020201206.html  (WIRED)

例会前企画後感想:この学習会は、直後に予定されていたジョゼ・ボベ氏来日に備えて行いました。京都では、法然印で行われBeGoodCafeがオーガニックフードを出していました。ユニセフからはT垣、T内、Y田のトリオで参加しました。いろいろ食べましたが、カレーはうち(ユニカフェ)の勝ちやなと思いました(←講演会はどうした??)。