中国大水害について

深川博志


 6月初旬から大雨のため、長江や東北の松花江・嫩江が氾濫している。これらの異常水位が収まるのは早くても10月、台風の来襲が続けば12月になるとみられている。長江の大洪水は、44年ぶりという。経済的な損失は最終的にはGDPの3〜4%に達し、今年の成長率は目標の8%より低い7.5%以下にとどまるとの観測も強くなってきた。

 被災面積は21.2万平方キロ、被災者は既に2億4千万人を超えている。これは中国全人口の5分の1に相当する。死者は3000人を超え、倒壊家屋は約500万戸、家を失った人は1400万人に達していると推定されている。約5カ月間にわたる長雨によって、中国29省は莫大な被害を受けた。

 未曾有の被災規模となった長江流域だけでなく、松花江と嫩江が氾濫した東北部(黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区)では劣悪な衛生状態の中、気温は日毎に下がり、状況が深刻化している。たとえば、黒龍江省では、216万人が家を失った。越冬対策は、「3分の1は友人か親類の家に身を寄せ、3分の1は家を補修・新築する。残りは、綿のシートで作ったテントの中で寒さに耐えるしかない」という(副省長)。しかし、1月には-30℃以下に冷える。

 水害は、エルニーニョ現象と山地の多い地形が原因とされる。一方、森林伐採や土地開発など、人為的要因を指摘する声もある。

 ここまで、朝日新聞の記事、日本赤十字社の発表、国境なき医師団のニュースレターを参照した。また、ユニセフクラブが寄付をした国境なき医師団の活動内容を以下に記す。

国境なき医師団の活動内容

3年前から長期援助を行っていた、中国南部の広西自治区を中心に、地元民政省からの要請により、

をおこなっている。また、被害がもっとも深刻な、湖南、湖北、四川の3省について、

を行っている。さらに8月、新たに云南省へも医師団を派遣した。