今年度のNGO寄付について
〜寄付先・寄付金額決定の方針〜

1) これまでのこと

ここ数年ユニセフクラブでは古本市の収益金を関西に拠点があり,しかもある程度ユニセフクラブのメンバーが関わりを持つ国際協力NGOを中心に寄付してきました.収益金は通常のユニセフクラブ会計とは別途設けられた寄付会計として扱われその全額を先に挙げたような性格を持ついくつかのNGOに同額ずつ寄付してきました.

2) 今年度の方針

しかし今年度は古本市開催前の段階で('99年1月)古本市収益金の全額をユニセフ会計に入れ,そこからあらためて他の使途を考え合わせた上でNGOへの寄付額をいくらにするのかを決めようということになりました.その目的の中には古本市の収益をNGOに寄付するということに対して意識的であるためということが含まれていました.巨大な金額にのぼる古本市収益をただそのまま慣例にしたがって右から左へと寄付してしまうのは無責任という感が否めないだけでなく,なんのために古本市をやっているのかがはっきりしなくなって膨大な労力を要する古本市の開催に徒労感が残ることになるからです.
そこでNGOに寄付するということに対して意識的な,つまり「寄付したい」という意思を尊重した寄付先,寄付額の決定の仕方をしたいということになりました.

その結果考え出されたのが寄付額に差をつけることです.せっかくNGO訪問をしているのだからそこで得た情報,感想をもとにして不完全ながらも私たちなりの評価をしてはどうかということになりました.したがって,この方法を採る主な目的はある程度皆が寄付先のNGOについての情報を共有し,議論し,「ここには寄付したい」という気持ちを持って古本市収益を寄付するためです.
以上が7月の例会で話し合われた内容です

3) 実際の決定方法

実際の決定方法については以下のように行いました.

7月にNGO訪問と称して関西圏に事務所のある9のNGOを訪問、それぞれのNGOの活動内容、今後の方針、課題などについてお話を伺いました*。 その報告を各担当者が例会にて行い、同時に寄付希望金額を提示。質疑応答、意見交換を経て最終的な決定は例会出席者(10/1)の多数決にて行いました。

* 実際に寄付を行ったNGOのうち日本ユニセフ協会は関西事務所閉鎖のため資料にて代替、日本ネグロス・キャンペーン委員会は事務所が東京にしかないため '97運営委員の福田健治さんのお話により代替とさせていただきました。


4) 決定結果

NGO名
寄付額(万円)
コメント・理由等
(財)日本ユニセフ協会
8
規模の大きさからくる問題も多そうだが規模の大きさゆえにできることも多いはず。
IACOD 地域自立発展研究所
8
日本にもっとも不足かつ必用とされている分野では?ぜひ応援したい。
JEV 海外教育協力隊
8
使途が明確(小学校の教員確保)
これで活動を休止するということだが、これまでのユニセフクラブとの関係性を考えると最後に寄付をしたい
国際子ども権利センター
6
市民の手で創りあげていく活動方法がユニーク。方向性が若干見えにくい。
多文化共生センターきょうと
6
動き始めたばかりの団体で実績があまりないが、ぜひ京都でこのような活動を根付かせていって欲しい。
日本ネグロス・キャンペーン委員会
6
ネグロスにこだわった顔の見える援助は評価できるが、資金の必要性に多少疑問。
緑の地球ネットワーク
6
コミュニティーづくりと合わせた支援形態がよい。壮大な夢を追っているダイナミックさ。助成金に頼りすぎでは?
CFFC
フィリピンの子どもたちの未来のための運動
6
地道な活動実績。
(財)PHD協会
2
活動・考え方はユニーク
寄付以外の関わり方の方がよいのでは?
APT Asian People Together
2
地道だが専門性が高く確実な活動
資金の必要性には疑問
アムネスティ・インターナショナル 日本支部
2
寄付以外の関わり方の方がよいのでは?


5)雑感

99年始まって以来の一連の議論(古本市を行うかどうかから寄付の方法まで)で繰り返し問い直されてきたことは,結局ユニセフクラブのメンバー一人ひとりがNGOとの関わりをどうとらえるのかということだと思います。なぜNGOなのか?NGOを支援することが普段のユニセフクラブの活動とどう関わるのか?なぜ寄付という形で支援したいのか?他の方法はないのか?そもそもNGOの活動を支援したいのか?そんなところが曖昧なままで古本市を行い、NGO訪問をし、そして古本市の収益金を寄付するといった活動が行われてきました。そこを問い直すための議論をしようと思ったのが今回でした。 個人的にはある場所でユニセフクラブを知る人から「NGOに寄付して楽しい?」と言われたことがとても印象に残っています。
今回の試みは「NGOを評価してしまおう。」という大胆なものです。あとさき考えずにやってみようと決めて、ここまで進めてみて、とても難しいものだと実感しています。例
えばまず、何を基準にして評価するのか。これは私たちがどういったNGOを支援したいと考えているのか、NGO活動というものにどういった価値を見いだしているのかという根本的な問題につながります。また、訪問したときの印象だけでなく長期的な活動のチェックやフォローがきちんとできているのかどうか。(今の状況ではとてもできているとは言い難いと思います)ここでは私たちの普段の姿勢が問われることになります。そういう意味では今回の議論を通して私たちはやっと入り口にたどり着いたところと言えるのかもしれません。今回の評価というものは上に挙げたような問題をすっ飛ばして考えた、非常にある意味いいかげんなものであると思います。しかし、だからこそこれで満足するのではなくなぜNGOなのか?寄付なのか?ということを来年も古本市を行うのかどうかというところも含めてユニセフクラブとして、あるいは個人個人が問い直していく必要があると思うのです。

最後になりましたが、お忙しい中お話を聞かせてくださったNGO事務局の方々に心からお礼を申し上げたいと思います。
(角田 望)