土浦市立図書館への要請文に対する回答
*送付した要請文は『みんなの図書館』9月号13ページに掲載
平成20年9月18日
図書館問題研究会
委員長 中沢 孝之 様
土浦市立図書館
館長 高野秀男 印
文集「つちうら」の閲覧停止及び返却について
今回の件について、まずは経緯からご説明いたします。新聞記事にもあるように、毎日新聞の取材に対して、教育委員会が資料(文集)の提供を拒否いたしま
した。取材目的は、今年3月に土浦市内で発生した、ある事件の加害者及びその家族に関することでした。教育委員会としては、文集の提供により家族とはいえ
直接事件に関係の無い人々のプライバシーが侵害され、報道対象となることを危惧したうえでの判断でした。
さらに、寄贈者である土浦市教育研究会より、「当該文集は一般公開を前提としたものではないため、図書館に寄贈すべき資料ではなかった。」との理由で、
返却の申し出がありました。
同研究会によると「この文集は、授業で書かれた作文のなかから優秀なものを掲載しているものであり、読書感想文等のような他人に見られる前提で書かれた
ものとは違うものであること。また、こどもたちが作文を書くときの参考とするために小中学校内に置くことを目的として作成したものであること。販売といっ
ても、対象を市内小中学校の保護者のうち希望者に限定しており、広く一般に販売しているわけではないこともあり、不特定多数の人が見ることになる図書館へ
寄贈すべき文集ではなかった。」というものでした。
この申し出に対して、図書館内部で検討した結果、同研究会の要請を受けて当該文集を閲覧停止とし返却することといたしました。理由としては、寄贈者が寄
贈資料を非公開としたいという強い意向を示していることが、「図書館の自由に関する宣言」の資料提供の自由が制限される場合に該当すると判断したためで
す。
今後は寄贈資料についての受け入れ、取り扱い、今回のような場合の対応法などを整備することで、利用者への資料提供という図書館の義務ともいえる活動を
行っていきたいと考えています。
さらにひとつの組織内である教育委員会外、関係部署に対しては、「図書館の自由に関する宣言」の趣旨について十分な理解を得られるよう働きかけを行い、
図書館運営への理解と協力体制を高めていきたいと思います。
この度の新聞記事掲載の件につきましては、貴研究会を始め関係者の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしたことと痛感しております。今後はよりいっそう公共図
書館としての責務を果たせるような運営を心がけてまいりますので、ご理解、ご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。