公共図書館職務一覧表2000年版(案) 3 資料管理

公共図書館職務一覧表2000年版(案) 3 資料管理
      項目 解説・コメント
3.資料管理       資料を収集・整理・保管し、求めに応じて利用できる状態にしておく一連の業務を指す。
  (1)資料の選書および収集      
      資料収集方針(除籍も含む)の立案 「図書」「新聞・雑誌」「AV」「郷土資料」「障害者」等すべての資料について立案する。これらの資料の収集についての基本的考え方や蔵書構成の方向などを示すもの。
      統計の評価・利用  
      出版社・書店、セールスマンとの交渉 情報を得たり、資料を注文する場合など、最も効率的な方法を考え又は交渉する業務。
         
  (2)図書の選択      
      選定会議の運営 収集方針や収集計画を具体的に実行する組織作りとその運営。
      資料購入計画の企画および立案 収集方針に基づいて、中・長期および単年度の計画を策定する業務。
      選定ツールの収集 選定に必要な資料やデータを収集する業務。
      資料の選択 収集方針や収集計画に基づき、具体的に資料を選択する業務。
      寄贈資料の受入の決定 収集方針や収集計画に基づき、具体的に寄贈資料を選択する業務。
      書庫入れ・除籍資料の選択 分館から中央図書館への移管も含む
      端本・欠本の調査・補充 全集・シリーズ本の端本・欠本の調査とその補充を行なう。
         
  (3)図書の発注      
      発注方法の決定 通常ルートでの発注か、出版社との直接取引にするのか、インターネットを使うのか、といったもの。
      発注先の選定 取次に注文するのか、書店組合に依頼するのか、出版社に注文するか。
      発注監理 契約から納品までスムースに流れているかどうかの管理。
      図書購入の契約・執行管理 通常図書の場合、消耗品かあるいは消耗品的扱いの備品として扱うことが多い。このような場合の購入契約や執行管理は他の消耗品と基本的には同じであるので、非専門的業務とした。
      資料の装備・補強等委託契約 外部委託する場合の事務。
      定期購入図書の発注 購入あるいは寄贈依頼する資料の内容については「資料の選択」で既に決定しているので、ここではそれに基づいた実作業を指す。
      見計らい購入図書の発注  
      リクエスト購入図書の発注  
      直接購入図書の発注  
      発注作業  
      寄贈の依頼・礼状の送付  
      資料交換に関する業務 他図書館、他機関等との交換。または、地区、県で開催される資料交換会など。
         
  (4)図書の整理(目録・分類・装備等)      
      目録方法・分類の方針の確立 自館でどのような目録を使うのか、どのような分類表を採用するのかといった方針。
      分類作業 各館の分類法に基づき、分類記号・請求記号を決定する業務。
      目録作業 自館で採用した目録法に従い資料の記述をし、標目や所在記号等を付与する業務。
      件名目録作業 受入した資料に件名を付与する業務。MARCを購入している場合でも、件名を追加する場合が多い。
      抄録作業 特に郷土資料などの場合、必要に応じて作成する。
      MARC作成 郷土資料のように自館入力する場合を指す。
      JAPAN-MARCの活用 自館作成データや、民間MARCをJAPAN-MARCに置きかえる場合など。
      民間MARCの活用 TRCや日販、大阪屋のMARCを、それぞれの特徴を熟知した上で自館の利用に合わせて活用する。
      ローカルデータの付与方針決定 どのようなローカルデータを付与するのかの決定。
      別置・参考図書等配架の決定 別置・参考図書等どこに配架するのかを決定する業務。
      検収 注文と納品された物が同一であるかどうかの確認。
      データチェック 資料と書誌データが同一か、また別置などローカルデータが正確かどうかなどのチェック。
      電算登録  
      寄贈図書の受入および電算登録 MARCのない資料を登録する場合の業務。
      書誌ネットワークへの参加 総合目録への寄稿等も含む。
      装備 ラベルを作成・貼付したり、フィルムをかけたりする業務。
      配架位置の修正 まちがって配架されたものの修正や、購入や除架によって配架位置を修正する業務。
      目録の整理 カード目録の場合の繰り込み作業など。なお、正しく繰り込まれているかどうかのチェックは専門的業務。
         
  (5)新聞・雑誌      
      購入計画の作成 収集方針に基づいて、中・長期および単年度の計画を策定する業務。
      整理基準・方法の策定 新聞・雑誌の整理基準と整理方法を決める。
      選定ツールの収集 選定に必要な資料やデータを収集する業務。
      新聞・雑誌の選択 収集方針や購入計画に基づき、具体的に新聞・雑誌を選択する業務。
      雑誌の検収 雑誌名・巻号などの確認。
      雑誌のデータ入力 書誌登録や巻号登録を指す。
      新聞の検収 新聞名・発行日などの確認。
      新聞・雑誌の保存期間の決定 保管スペースなどを考慮して保存期間を決める。保存協定等がある場合には、それに基づき決定する。
      索引類の作成  
      パンフレット類の整理基準・方法の策定 各種パンフレット、リーフレットなどの整理基準や方法を定める業務。
      寄贈新聞・雑誌の受入方針・方法の策定 収集方針や収集計画に基づき、具体的に寄贈新聞・雑誌の受入を決めたり、受入方法を定める業務。
      契約及び執行管理 購入の契約およびその執行状況の管理。
      雑誌の装備・補強 バーコードの貼付、フィルムコートなど。
      雑誌の配架 雑誌を自館の配架方法に沿って所定の位置に納める作業。
      新聞の配架 新聞を自館の配架方法に沿って所定の位置に納める作業。
      新聞・雑誌の製本 合冊製本など。
      パンフレット等の整理 整理基準に基づき整理実務を行なう。
      出版社パンフレット整理 整理基準に基づき整理実務を行なう。
      新聞・雑誌の欠号調査と補充 欠号の調査と再発注、あるいは他館廃棄資料のチェックなど。
      寄贈新聞・雑誌の受入・整理 受入方針・方法に基づき実務を行なう。
         
  (6)AV資料      
      選定ツールの収集 選定に必要な資料やデータを収集する業務。
      AV資料の整理基準・整理方法の策定 AV資料の整理基準と方法について定める。
      購入契約・執行管理 購入の契約およびその執行状況の管理。
      装備・補強の委託契約 ラベル等の装備や物理的な補強を委託する場合に発生する業務。
      館内用機器の保守・点検またはその委託契約 館内視聴用の機器の保守・点検業務。および業者との委託契約業務。
      選品と発注 収集方針や購入計画に基づき、具体的にAV資料を選択する業務。
      受入点検 発注したものと納品されたものが同一かどうかの確認。また、破損・汚損等の確認。
      電算入力 外部委託しない場合は、自館の整理基準に基づき入力を行なう。
      寄贈資料の受入・電算入力 選定基準及び整理基準に基づき受入と入力を行なう。
      著作権処理 自館で著作権処理を行なう場合の業務を指す。
      民間MARCの活用 日本図書館協会やTRCのAV-MARCの活用を指す。
      目録の作成・整理 OPAC目録や冊子目録などの作成。
      館内用機器の選定 館内視聴用の機器の選定を行なう。
      装備・補強(自館装備の場合) ラベル等の装備や物理的な補強を自館で行なう場合の作業。
      汚破損のチェック 利用に供している資料について汚破損がないかチェックする作業。
         
  (7)郷土資料      
      収集方針の作成・見直し 地域の範囲、対象の確定
      資料整理方針の作成・見直し  
      独自分類の場合の分類表の作成・維持  
      情報源の把握  
      情報源のチェック  
      資料からのチェック 図書・新聞・雑誌等から
      資料加工方針の作成  
      在住者・団体等のファイルの作成・維持  
      行政資料入手のための連絡・調整 都道府県および所属自治体内の連絡調整。ルール作り。
      分類作業 各館の分類法に基づき、分類記号・請求記号を決定する業務。
      データ入力 郷土資料の場合MARCがないものが多いので、自館で採用している目録規則に則ってデータを入力する業務がかなりの量となる。
      目録の作成・整理 OPAC、冊子体目録、カード目録等を必要に応じて作成する。
      製本資料の調査 一般に郷土資料は製本を必要とするものが多い。ここではその調査と、製本方法の決定などを指す。
      製本資料の検収 指定通り製本されているか、背文字などが正しく入っているか、順番が正しいかなどのチェック。
      貴重資料の複製 著作権をクリアした上で、複製を行う。
      装備と補強 フィルムコートをかけたり、補修用テープで補強したりする業務。
      配架 資料を開架または閉架の棚に並べる作業。
      資料の複写 郷土資料は貸出禁止資料が多いので、必要な場合複写を行う。
      製本委託契約 製本を外部に委託する場合の契約を指す。
         
  (8)その他上記に該当しない資料(視覚障害者用資料等)      
      収集方針の立案 奉仕的業務の各該当項目参照。
      選品ツールの収集 選定に必要な資料やデータを収集する業務。
      選品と発注 収集方針や購入計画に基づき、具体的に資料を選択する業務。
      受入点検 発注したものと納品されたものが同一かどうかの確認。また、破損・汚損等の確認。
      電算入力 外部委託しない場合は、自館の整理基準に基づき入力を行なう。
      寄贈資料の受入・電算入力 選定基準及び整理基準に基づき受入と入力を行なう。
      目録の作成・整理 OPAC目録や冊子目録などの作成。
      購入契約・執行管理 購入の契約およびその執行状況の管理。
      装備・補強(自館装備の場合) フィルムコートをかけたり、補修用テープで補強したりする業務。
      装備・補強の委託契約 装備・補強を外部に委託する場合の契約を指す。
         
  (9)資料管理      
      資料管理計画・管理基準の立案 配置計画や保存方法、弁償方法、督促など資料の管理全般の管理を定める。
      蔵書点検計画の立案および実施 点検方法、日程、作業手順などの立案と、実施中の進行管理。
      配架計画の立案  
      納架手順の決定 返却資料を書架に戻す場合の手順を決める。
      製本資料の調査 補修製本、合冊製本などを行なう資料を調べる作業。
      盗難防止 盗難防止の方針と方法を定める。
      資料の劣化防止 劣化防止の方針と方法を定める。
      配架 資料を自館の配架順に従い所定の位置に納める作業。
      書架整理 棚の乱れを直すなど、利用しやすい状態にする作業。
      AV棚の点検・整理 棚の乱れを直すなど、利用しやすい状態にする作業。また、形態が破損しやすいものなので、物理的な状態を定期的に点検する作業。
      書庫出納 閉架書庫の資料を出し入れする作業。
      弁償資料の処理 資料管理計画・管理基準に基づき行なう具体的処理。
      督促、延滞処理 管理基準に基づき処理(電話・文書等による連絡他)を行なう。
      蔵書点検作業 計画に基づき実際に点検を行なう作業。
      簡易な製本と修理 自館で行なえる簡単な製本や修理。
      資料の除籍手続き ここでは除籍の具体的作業を指し、何を除籍すべきかは「選択」の一環で行なう。
      除籍資料のリサイクル・廃棄 リサイクルの方法を工夫したり、リサイクルに適さない資料を廃棄したりする作業。
         
         
         
4.情報管理        
  (1)インターネットの活用      
      情報管理方針の決定 自館の持つ情報の管理方針を決める業務。自治体内の情報管理要綱等を参考に策定する。
      ホームページの企画・作成 自館のホームページの企画と作成。
      情報提供 ホームページに自館の蔵書検索ができるようにしたり、館内のシステムをイントラネット化し様々な情報を提供できるようにする。
      他図書館との連携 詳細は「広域ネットワーク」参照。
         
  (2)広域ネットワーク     域内図書館の情報および物流の一元化をはかる。
      広域ネットワーク方針の決定 広域での利用をどうするか、自館の考え方や方針を決める業務。
      近隣自治体との連絡・調整 広域利用を行う近隣自治体との連絡・調整や協議を行う。また、協定締結後は、広域利用の運営について、問題点の整理や協議等を行う。
      協定の締結 自館の方針や近隣自治体との協議等に基き協定を結ぶための業務。
         
      分担収集の調整 図書・雑誌・新聞等の分担収集。
      分担保存の調整 図書・雑誌・新聞等の分担保存。
      職員交流の企画 ネットワークのより進んだ形態として専門職の交流を自治体を超えて行なう。
      電算システムの調整 運営だけでなく、電算システムも横断検索や利用者情報の共有などができるよう、調整を図る。
      検索ソフトの開発・導入 市販品で代替可能ならば市販品で。
      連絡車の運行計画 協定を結んだ自治体間で独自に連絡車を運行するための計画。
      分担金の支出 協定に基き、分担金を支出する。
      連絡車の運行 運行計画に基き、実際に運行を行なう。
      利用統計 広域利用に関する統計資料を作成する業務。
         
  (3)先進技術の研究と導入      
      先進技術の図書館への応用の研究 ICカード、3次元バーコード等。
      先進技術の図書館利用への具体化 図書館で利用可能な技術を具体化するための方策を探る。
      企業・大学等との連絡・情報交換 先進技術、特にコンピュータを使った技術は企業や大学が進んでいるため、情報交換や情報収集を行なう。
      郷土資料のデータベース化 画像またはテキストデータ。

ページの作成者: 図書館問題研究会職員問題委員会 日付: 2000年9月15日.